豆本と聞いて、小さい本、通常サイズのミニチュア版なのだろうと思って行ってみた。しかし、そこで分かったことは単なるミニサイズの本ではないということ。豆本の世界は奥が深く、そして広かった。
豆本は通常サイズの縮小版ではない
小説を紙の本ではなくデジタルでも読める現代だからこそ、本の持つ紙の質感、装丁の丁寧さ、活版印刷の温かみにこだわっている赤井さんの作品。大きさは手のひらに収まるサイズだ。

国際ミニチュアブックコンペティション2016(アメリカ)で最高賞を受賞した「月夜のまひる」をはじめ、さまざまな作品が展示されている。小瓶に入ってしまうくらい小さいのに、ページ番号がちゃんとふってあったり、皮表紙に銀色箔押しがされていたり、装丁はしっかりしている。ため息が出るほど小さいのに非常に精巧だ。




自分の小説を際立たせるのが豆本だった
赤井さんは小説家で「すばる文学賞」の最終候補に残ったこともある。「文学フリマ」に自作を出そうと考えた時、経費を節約するため自分で製本をしたのをきっかけに製本に興味を持つようになったそう。
赤井さんの小説は短編が多く、例えばA4用紙に印刷すると、物語の結末が読む人の目に入ってしまう。そこで小さいサイズ、いわゆる豆本に印刷すれば、短い話でも次のページをめくりたくなるワクワク感を味わってもらえると考え、豆本の自作へと進んでいった。