Twitterフォロワー20万人超のラブホスタッフ上野さんによる「空想恋愛読本」。本連載では、マンガ・ドラマ・アニメ等の登場人物が現実にいたらモテるのか分析。
そこから女性にモテるためのアドバイスを導き出します。

今回のテーマは『名探偵コナン』より「毛利小五郎」で御座います。
作中でも「迷」探偵と呼ばれるようなへっぽこ探偵であり、マンガを見ている限り生活能力もほぼ皆無。工藤新一や服部平次のようなキャラクターと比較すれば、決してイケメンキャラでは御座いません。

それでは何故、小五郎をチョイスしたかと言えば、彼は『名探偵コナン』の登場人物の中で、現実世界でモテるためには非常に重要な「ある特徴」を持っている数少ないキャラクターだからで御座います。新一も平次も安室透も赤井秀一も、確かに顔や能力では非常に高いスペックを持っておりますが、この「ある特徴」が小五郎と比較すると少ないと言わざるを得ません。

ちなみに怪盗キッドは「毛利小五郎」ほどではないものの、この「ある特徴」を持っているキャラで御座います。

毛利小五郎だけが持つ特徴「女好き」


さて、さっそく答えが出てしまいましたが小五郎の最大の特徴は、ずばり「女好きである」ということで御座います。
妃英理と別居中とはいえ法的に妻がいる状態にも関わらず、人気アイドルの「沖野ヨーコ」を筆頭に、美人の女性と出会うとだいたい「褒める」か「食事に誘う」か「鼻の下を長くする」かの行動をとっている小五郎。
彼が女好きであることは間違いなく、そのせいで恋愛にしても事件にしても失敗をしてしまうことが多いのですが、この「女好き」というのは現実世界において評判は物凄く悪いにも関わらずモテるという非常に分かりにくい特徴であると言えるでしょう。


毛利小五郎の才能と「女好きでない男」がモテない理由


女好きな男性は、「浮気しそう」とか「軽そう」といった悪い印象も御座いますが、それを踏まえてもなおモテてしまうもの。とはいえこれは「女好きな男がモテる」と言うよりも、「女好きではない男がモテない(特に“一途”)」と言った方が正しいでしょう。
何故なら「女好きではない男」には、女性からモテなくなってしまう致命的な欠点が3つ存在するのです。

●「女好きでない男」がモテない理由その1:経験不足
女性は「完成品」を求める傾向にあると言うと分かりやすいでしょう。

磨いたらダイヤモンドになるかもしれないものの、磨いてもただの石ころのままな可能性のある石よりも、磨いた結果「鉄」として完成している石の方に価値を感じるのです。
女好きな男というのは、最低限の価値が保証されている「鉄」だと言えるでしょう。

もちろん「鉄」に興味がない女性もいますが、そんな女性は「磨いた結果ダイヤモンドだと判明している男」を好きになるもの。「磨けばダイヤモンドになる『かも』しれない男」というのは序列では完全に負けてしまうのです。

小五郎は、何だかんだ言って女性の扱いがそれなりに上手なキャラクターで御座います。特に「女性を褒める」ということに関して言えば「全く嫌味なく褒めることができる」という類まれな才能を持っていると言えるでしょう。
作中を見回しても小五郎の誉め言葉に対して「品が無い」というような感情を抱く女性こそいるとはいえ「見え透いたお世辞を……」という感想を抱いている女性はほとんどおりません。口で言うのは簡単ですが「嫌味なく褒める」というのは実際にやってみると物凄く難しいスキルです。

仮に小五郎の恋愛能力を50だとしましょう。すると新一や平次の恋愛能力はせいぜい30くらいのもの。これはこの2人が劣っているわけではなく、ただ単純に経験が足りないだけの話で御座います。年齢に20も30も差があるのですから仕方がありません。
どれだけ才能があっても、天才を除けば経験が無い人間は絶対に経験者には勝てないのです。

それでは新一が経験を積めば恋愛能力100になるかと言えば、これは誰にも分かりません。才能の片鱗は見せているので100になる可能性も十分にあるでしょうが、もしかしたら永遠に30のままかもしれない。すべては今後の行動と運次第なのです。

この不確定こそが「経験不足=女好きではない男」の欠点で御座います。

●「女好きでない男」がモテない理由その2:「女好きでない男」のモテ方
さて、続いて2つ目の理由ですが、これは「女好きでない」ということがモテることの担保になってしまっているということで御座います。


分かりにくいと思いますので、実例を出してみましょう。

例えば『SLAM DUNK』の流川楓。
流川はマンガのどの場面を見ても「恋愛に興味があるような雰囲気」が御座いません。そんな彼にはファンクラブのようなものもありますし、ヒロインの赤木晴子からも好意を寄せられているのですが、もし流川が誰かと付き合って「恋愛に興味があること」が判明してしまったらどうでしょうか?

0にこそならないでしょうが、彼の女性からの評価は暴落します。それは付き合った相手すら含まれるのです。何故ならば、「恋愛に興味がない」という特徴こそがモテる理由になってしまうから。

流川のことが好きな女性というのは、多かれ少なかれ「誰とも絶対に付き合わない流川」が好きなのです。つまり流川が、自分も含め誰かと付き合ってしまったその瞬間「誰とも付き合わない流川」という存在が消えてしまう。

女性とは不思議なもので、「自分のことを女性として見られたい」という感情と「自分のことを性的に見ないでほしい」という感情が入り交ざった生き物で御座います。そのため「自分のことを性的に見ないでほしい」という感情の方が大きい女性にとって、「女好きではない男」は非常に都合が良いと言えるでしょう。どれだけ彼のことを好きになっても「決して性的な対象になることはない」という安心感こそが、流川型のモテ方の特徴です。

ですので、「女好きではない男」というのは、それなりにモテることが出来るものの、決して誰とも付き合うことが出来ない、という非常に厳しい環境にある場合が多いのです。

●「女好きでない男」がモテない理由その3:「女好きでない男」はいない
さて、そもそも論になりますが、マンガの世界以外に女好きではない男性がどれほどいることでしょうか?

確かにモテない男性はいくらでもいますし、「女なんて興味ねーよ」とか「現実の女には絶望している、女は二次元が最高」というようなことを言っている男性はおりますが、果たして彼らは本当に女に興味がないのでしょうか?

もちろん、まったくいないとは申し上げません。ただ「女に興味がない」とか「Aさん以外の女には興味がない!」と言っている男性のほとんどは、自分がモテない事実を認めたくなくて、強がり半分で「女に興味がない」と言っているだけなのではないでしょうか。。戦いに負けたのではなく、そもそも戦いに興味がないという体裁を保ちたがる。

ここで反論がある方もいらっしゃることでしょうが、強がり半分で言っていないにしても、実はその点はあまり重要な要素では御座いません。

何故なら、女性は「強がりである」と判断してしまうから。

本当に二次元にしか興味がないとしても、1人の女性にしか興味がないとしても、そんな男性を女性は「あの人は本当に女に興味がないんだ」とは思いません。まず間違いなく「モテない男のひがみ」と捉えることでしょう。真実か偽物かなどということは関係ありません。女性が「そう判断してしまう」というのが致命的な欠点なのです。

これは「商品を売る」ということを考えると分かりやすいでしょう。

完全無農薬の有機栽培で育て、鮮度にも徹底的にこだわり、人件費を極限まで減らして安くした商品であっても、ユーザーがそう思わなければ決して売れません。

良いものが売れるのではないのです。良い男がモテるわけでもありません。
売れたものが良い商品であり、モテた男が良い男なのです。

真実かどうか、本当に良い物かどうかなんていうことは重要ではない。
このように考えると「女に興味がない」と言うことがどれだけデメリットであるかお判り頂けるでしょう。


“一途”は武器にならない


女好きでない方の中には、特定の女性にしか興味がない、いわゆる「一途」だという方もいらっしゃると思います。しかし、非常に厳しいことを言いますが「自称“一途な男”」と言うのは、他に何一つ武器になるような能力のない男の心の拠り所で御座います。

お金を武器にするには、大金を稼ぐという成果が必要で御座います。そこには努力もあることでしょう。
女性の扱いの上手さを武器にするには、経験が必要で御座います。
顔を武器にするには、圧倒的な才能と努力が必要で御座います。

しかし「一途」。これは口にするだけでいい。
特に彼女がいたことのない男性の場合、本人が「一途」と口にしたら疑いようが御座いません。
これほど簡単に手に入れられる武器がほかにあるでしょうか? 0勝0敗の人間が「俺は負けたことがない」と言っているようなものです。そんな、何の「実績」もない武器を、一体誰が信用すると言うのでしょうか?

そう、女好きではない人というのは基本的に女性に決してモテは致しません。
確かに一途な男は恰好が良いもので御座いますが、それは「たくさんの異性からモテているにも関わらず、既に特定のパートナーがいる女性にしか振り向かない男性」という意味での「一途」であった場合に限ります。

そしてそんな男性がもし「奥さんがいるけど君が好きだ」なんて言ってしまった日には、その価値は暴落。つまりこの場合でもやはり「モテるけど浮気は出来ない」という状態であると言わざるを得ません。

もちろん、私は浮気を推奨するつもりは御座いませんが、このコラムは「モテるためにはどうすればいいのか?」ということだけに特化したコラムで御座いますので上記のような言い回しになってしまったことをお許し頂ければ幸いです。

毛利小五郎に学ぶ"モテの極意"


もしある女性がとある男のことが気になっていたとして
「いや~本当に美しいですなぁ。どうです? 今度食事でもいかがですか?」と言ってくる男と
「あん?わりいが俺は恋愛には興味が無いんだ」と言ってくる男のどちらに好感を持つかということを考えて下さいませ。

文章だけ読むと前者の男がモテ無さそうな感じがしますが、性格や身だしなみに問題がある場合を除けば、人間は基本的に「自分のことを口説いた人」を好きになる傾向に御座います。これは男女の差も御座いません。何が悲しくて「お前に興味がない」なんて言っている相手のことを好きになると言うのでしょうか?

それならば「一途」はモテそうなものですが、現実を見回してみると「付き合う前から一途」なんてことはまずあり得なく、単純に「一途」と言うこと以外にPRポイントがないことがほとんどで御座います。

モテる男は基本的に「女好きであり、なおかつそれを隠さない」

もちろん品がない女好きはモテませんが、それは「品が無い」からモテないのです。別に「女好き」だからモテないわけでは御座いません。

「じゃあ女好きじゃない俺はどうしたらいいんだ!?」という話になりますが、「女が嫌い」なら別にモテなくたって良いではありませんか。つまりはそういうことで御座います。
(上野)