今にも増して90年代の紅白出場の意義は、アーティストにとってさらに大きかったといえる。そんな中1997年より活動開始した一組のバンド、Hysteric Blue(ヒステリック・ブルー)もメジャーデビューからわずか2年あまりで第50回の紅白歌合戦に初出場を果たした。ちなみにこの年は、浜崎あゆみも初出場している。
人気バンドだったHysteric Blue
「ヒスブル」という愛称で親しまれたHysteric Blueは、ボーカルのTamaとドラムのたくや、ギターのナオキによる地元大阪からの3人組バンドとして、弾けるようなTamaのガールポップな歌声と勢いのあるサウンドで若い世代を中心に人気を得ていた。代表曲となった「春~spring~」など、次々とヒットチャートを賑わしていたこともあって、紅白出場も頷ける状況ではあったといえる。
それもそのはず、Hysteric Blueのプロデュースを任されていたのは、その時期に数々のメジャーバンド(JUDY AND MARYやGLAYなど) を手がけていた名プロデューサー佐久間正英氏だったのだ。
解散の原因となった強姦事件
紅白出場まで果たし、順風満帆な活動を続けていたと思えるHysteric Blueだったが、紅白出場翌年頃から当初のような活動が滞りはじめる。
そして、バンドメンバーにはよくある理由ではあるが、「方向性の違い……」という主旨の説明で、2003年に突如として活動休止を発表してしまった。この時点では解散までは至らなかったものの、かなりメンバー間の関係にも不協和音があったのではないかと察する。
決定的な事件となるのは、2004年にヒスブルのギター担当であり、リーダー役であったナオキ(赤松直樹)が都内で強姦・強制わいせつなどの罪で逮捕されるという衝撃的なニュースだった。彼には懲役12年の判決が下され、それをもって休止状態であったHysteric Blueはすぐに解散に至ってしまう。
この事件からの解散のために、ヒットチャートで知られた楽曲、リリース物の数々も、いまでもCDはもちろんのこと、配信販売なども一切されていないそう。
しかしHysteric BlueのメンバーであったTamaと楠瀬タクヤは、本来のソロでの活動をしながらも2011年より2人での音楽ユニットを結成し、あらたな活動を始めている様子。耳馴染みのある楽曲も多くあるだけに、また新たな今後の音楽活動にも期待したい。
(空町餡子)