2016年12月6日、坂本龍一がアメリカ音楽界最高の栄誉『グラミー賞』のサウンドトラック部門にノミネートされたことが分かりました。選出されたのは、ドイツ人音楽家と共作した、レオナルド・ディカプリオ主演の話題作『レヴェナント: 蘇えりし者』のテーマ音楽。

これまでも、3度に渡って同賞にノミネートされている同氏。今回受賞すれば、1989年の映画『ラストエンペラー』のテーマ音楽を手掛けたとき以来の戴冠となり、2017年2月12日の授賞式に向けて期待が高まっています。

輝かしい実績を残してきた坂本龍一


上記のような『グラミー賞』での実績に加えて、米アカデミー作曲賞を受賞したり、バルセロナオリンピックの開会式の音楽を作曲したり、インストゥルメンタルのシングル『ウラBTTB』が日本で180万枚のセールスを記録したりと、国内外で数々の輝かしい活躍をしてきた“世界の坂本”。
御年64歳。最近では、サッカーの三浦知良と対談しているキリンFIREのCMも話題に。あのCMにおける、エスプリのきいた渋い表情でカズと対峙するその姿は、彼のことをよく知らない若い世代が見ても「選ばれし特別な存在」だと分からせる凄みがあります。

『ガキの使い』を坂本龍一が観覧、そこから全てが始まる


そんな栄光に彩られた坂本のキャリアの中でも、一際異彩を放つ経歴があります。それは『ごっつええ感じ』におけるコント挑戦です。
きっかけは1993年。もともと大のダウンタウンフリークである坂本が、『ガキの使いやあらへんで!!』の番組観覧にやってきたところから、全ては始まります。そのことを引き合いに、後日松本が同番組のフリートークで「いっちょやな、世界の坂本にですよ、曲を書かすんですよ」と発言。「ゲイシャガール!」とその場で、ユニット名も決めていました。

これを受けて、番組スタッフがダメもとで交渉をしたところ、すんなりOKを貰い、かくして坂本の楽曲提供により『GEISHA GIRLS』は本当に実現。全米デビューまで果たしました。

その後も3人の交流は続き、1995年、ダウンタウンの2人が坂本を『ごっつええ感じ』に招待します。その際に演じられたコントが『AHO AHO MAN』です。

『ごっつええ感じ』に登場した世界の坂本


『AHO AHO MAN』は、上半身はショートケーキのアップリケが付いた黒いシャツ、下半身は股間と尻が黄ばんだ白のブリーフ一丁といういでたちの、松本演じるヒーロー・アホアホマンが活躍するコント。坂本の役どころは、そのアホアホマンの幼馴染“アホアホブラザー”。上半身はソフトクリームのアップリケが付いたピンクのシャツ、松本のものよりもさらに汚れたブリーフという姿で登場します。
音楽の巨人・坂本龍一が見せたまさかのこの異形は、絵面だけでインパクト絶大。しかも、ピアニカで代表曲『Merry Christmas Mr. Lawrence』を演奏するというオマケ付き。音程を外して浜田に突っ込まれるという“仕事”もしっかりと果たしていました。

『野生の王国』では浜田にボコボコにされる


『AHO AHO MAN』だけでなく、坂本は『野生の王国』というコントにも登場。これは、浜田をはめるためのドッキリ企画となっており、ライオンの子どもの着ぐるみを着た人物をほんこんと思い込ませておいて、本番直前にこっそり中身を坂本に摩り替えておきます。
そうとも知らずに、浜田扮するライオンの父親が、子ライオンをひたすら崖に突き落し、シバキ倒し、挙句の果てには股間を顔に擦り付けたりするのですが、頃合いを見計らい坂本だと明かすと、浜田の態度が一変。土下座して許しを請うものの、覆水盆に返らず。怒った坂本にシバキ返されるのです。


このように、音楽・笑いそれぞれの土俵でコラボしてきたダウンタウンと坂本龍一。おととしの年末には、浜田と小室哲哉のユニット『H Jungle with t』が一夜限りの復活をしたと話題になりましたが、GEISHA GIRLS、もしくは、アホアホマンのコントも何かの機会に再演してもらいたいものです。
(こじへい)

※イメージ画像はamazonよりSWITCH Vol.20 No.12 (2002年12月号) 特集: 坂本龍一「世界は音」
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