司会者は逸見政孝。アシスタントは渡辺正行。回答者には、山城新伍・野沢直子・高田純次・ジャイアント馬場など、90年代のバラエティ番組を支えたタレントたちが勢ぞろいしていた。
そのブームはテレビを飛び出し、ボードゲーム・ゲームボーイソフト・アーケードゲームも発売されている。
この圧倒的人気の要因として、「何を作っているのでしょうか?」というクイズと、ジャイアント馬場による破壊力抜群な珍回答の数々があげられる。
看板クイズ「何を作っているのでしょうか?」
番組の名物だったのが、早押しクイズ「何を作っているのでしょうか?」だ。その名の通り、様々な工場で撮影された製造工程VTRを見て、早押しで完成品を当てるというもの。
この「何を作っているのでしょうか?」のコーナーで、回答者のプロレスラー・ジャイアント馬場が視聴者の度肝を抜く珍事を巻き起こすこととなる。
■ジャイアント馬場、回答者席破壊事件
1990年10月の特番で事件は発生した。「何を作っているのでしょうか?」の1問目が終わったとき、数人の回答者が「早押しボタンが壊れている」とクレームを口にし始めた。ボタンを押しているのに機械が反応しないというのだ。
逸見は「じゃあ皆さん、次の問題の前に一度ボタンを押してテストしてみてください」と提案する。すると馬場は、こぶしを握りあらん限りの力を込めて早押しボタンを殴り始めた。3発ほど殴ったところで回答者席は破壊されてしまう。
スタジオは驚きと笑いでパニック状態となった。
馬場はなぜ力加減を間違えて回答者席を破壊してしまったのか。それは現在も謎のままだ――。
■ジャイアント馬場、赤べこ事件
もうひとつの怪事件も、「何を作っているのでしょうか?」クイズで起きた。
「何を作っているのでしょうか?」は、3回お手付きをすると失格というルールとなっていた。その日の問題ではVTR前半で出演者が次々と失格になり、回答権があるのは馬場ひとりとなった。
馬場はひとりでVTRをギリギリまで見て答えればよいという状況である。正解はVTRの途中でボクシングのグローブなのは一目瞭然だった。終了1秒前までじっくりと映像を見た馬場はボタンを押した。
次の瞬間、馬場は「赤べこ」と答えた。
赤べことは、首がゆらゆら動く赤い牛の民芸品だ。あまりの珍回答に、他の出演者たちは笑い転げてしまいしばらくしゃべることもできなかった。
なぜ馬場にはボクシンググローブが赤べこに見えたのか。
番組を支えた逸見政孝のバラエティ力
全盛期の『SHOW by ショーバイ』は、毎回視聴率20パーセントを超える怪物番組だった。
『SHOW by ショーバイ』を語るうえで欠かせないのが司会の逸見政孝という存在だ。見るからに真面目そうな逸見が、ボケ回答を連発する野沢直子や高田純次、回答者席を壊してしまうジャイアント馬場らに翻弄される姿はお茶の間の笑いを誘った。
ところが逸見は93年、がんのため他界してしまう。その後、『SHOW by ショーバイ』の司会は福沢朗に引き継がれた。しかし逸見が司会だったころの勢いを取り戻すことはできず、96年に番組は終了している。逸見が健在だったとしたら、現在まで続く長寿番組となっていたのかもしれない。
(近添真琴)
※イメージ画像はamazonよりジャイアント馬場―王道十六文 (人間の記録)