そこで、先日発売されたばかりの84巻までを出来るだけ簡潔に振り返ってみたい。

懸賞金
初めは3000万ベリーだったルフィの懸賞金も、今では5億に跳ね上がっている。「インフレし過ぎだろ!」と思う人もいるかもしれないが、しっかりとそれだけの悪さはしているから安心してほしい。他の一味は、ゾロ3億2000万、ウソップ2億、サンジ1億7000万、ロビン1億3000万、フランキー9400万、ブルック8300万、ナミ6600万、チョッパー100で、総合懸賞金額は15億7000万とんで100ベリーだ。
「クロコダイル8100万たけー!!」と言っていた時代が懐かしい。ちなみに、現時点で公表されている最高金額は、四皇「カイドウ」の部下「旱害のジャック」の10億だ。部下でこれなのだからカイドウは一体どれほどなのだろう。
空島編
「アラバスタで追えなくなった」という声を良く耳にするので、その次の空島から振り返ってみたい。突き上げる海流に乗ったルフィ達は、上空1万mにある空島に辿り着いた。そこでは、先住民シャンディアと神を名乗る悪のエネル軍団が土地を争い、400年に渡って戦争を繰り広げていた。無敵と思われたゴロゴロの実の雷人間エネルだったが、ゴム人間のルフィに電撃は通じず、あえなく敗れ去った。
色々な事が出来過ぎてしまうダイアルという道具と細かい設定でややこしくなり、一部のファンがここで脱落した。しかし、見事な伏線回収とストーリーとしての出来の良さからトップクラスの人気を誇る。週刊で脱落するも、単行本でまとめ読みをして復活したファンも多い。
ウォーターセブン編
愛船ゴーイングメリー号の修理の為に訪れた島。しかし、造船会社ガレーラカンパニーの船大工たちは、この船は二度と航海出来ないと非情の宣告をする。ルフィは船長として別の船に乗り換える事を決断。これによりウソップが離脱。その上、ロビンが政府の諜報機関CP9に連行されてしまう。ルフィ達は、船大工たちや解体屋のフランキー一味と一緒に司法の島「エニエス・ロビー」に乗り込み、ネコネコの実「モデル・レオパルド」のロブ・ルッチを死闘の末に撃破。ウォーターセブン帰還後、船大工にフランキーを迎え入れ、ロビンとウソップも復帰。新たにサウザンドサニー号を手に入れた。
名シーンも多く、安定した人気を誇るこのストーリーだが、問題は誰も乗っていないはずのゴーイングメリー号がなぜか荒波を超えてエニエス・ロビーに迎えにきたシーンだ。あまりにも荒唐無稽だと、いまだに納得のいかないファンも多い。しかし、一番の感動シーンとして話題に上がるのも事実。筆者は号泣した。
スリラーバーク編
魔の三角地帯を航海中、島ほど大きな巨大船「スリラーバーク」に遭遇し、そのまま船ごと乗船。そこに現れたは王下七武海ゲッコー・モリアを撃破し、音楽家でヨミヨミの実のガイコツ人間ブルックを仲間にする。
空島、ウォーターセブンに比べて短く感動シーンも少ないが、マイケル・ジャクソンのスリラーやナイトメアー・ビフォア・クリスマスのような世界観でワクワク感はすごい。
シャボンディ諸島編
それぞれのルートを通ってきた海賊たちが一同に介すシャボン諸島は、グランドラインのど真ん中、中継地点だ。ルフィを筆頭とする「最悪の世代」のルーキー11人が初めて顔を合わせた。そこでルフィは世界貴族こと天竜人を殴ってしまい、海軍からの総攻撃を受ける。王下七武海の一人、バーソロミュー・くまのにきゅにきゅの実の能力で、一味は世界各地に飛ばされてしまい離散してしまう。
せっかく集めた仲間たちが離散したシーンの衝撃はすごい。この週のジャンプが発売された時、道端でルフィ達に何が起きたか理解出来ないと興奮していた高校生を見たのが記憶に残っている。
インペルダウン編
女ヶ島で王下七武海ボア・ハンコックを味方につけ、兄であるエースを救出する為に深海の大監獄「インペルダウン」に潜入する。しかし、一足遅くエースは処刑場に連行されてしまう。
一味の仲間がいない代わりに、みんな大好きバギーやMr2ことボン・クレーが登場する。ドクドクの実の毒人間・監獄署長マゼランの強さは絶望的だった。
頂上戦争編
エースを奪還するため、世界最強の海賊“白ひげ”が海軍本部であるマリンフォードに乗り込む。白ひげ海賊団VS海軍本部・王下七武海の全面戦争が勃発。ルフィは、インペルダウンから囚人たちを引き連れ参戦した。回想でルフィ、エース、もう一人の兄サボの過去が明らかになる。
作中最大の大混戦。エースと白ひげの死のインパクトは非常に強く、燃え尽き症候群のような症状で一部のファンが離れてしまった。バギーが全世界に名を売った瞬間は、妙に嬉しかった。

魚人島
2年振りにシャボンディ諸島に集まった一味が最初に向かった深海1万メートルにある魚人島。ホーディ・ジョーンズ率いる「新魚人海賊団」から国を守り、英雄的な扱いを受ける。ここにいたしらほし姫が、神の名をもつ3つの古代兵器のうちの一つのポセイドンそのもの。海王類を操る事が出来る。
コミックス10巻から名前が出ていた魚人島がようやく登場した。2年の修行を経て強くなった一味のお披露目的な戦闘シーンだったが、いかんせんこの島のテーマが人種差別だったので、爽快感は全くなかった。
ドレスローザ編
灼熱と極寒に分断された不思議な島パンクハザードに上陸。「最悪の世代」トラファルガー・ローと再会し、四皇「カイドウ」を倒すために同盟を結ぶ。元政府の科学者シーザー・クラウンを誘拐しドレスローザへと向かう。狙いは、王下七武海ドンキホーテ・ドフラミンゴが持つゾオン系人造悪魔の実「SMILE」の工場を破壊するためだ。
とにかく長く、複雑。正直、筆者も週刊ではいまいち理解していなかった。だが、コミックスでまとめ読みすると、ドフラミンゴが大物のボス感が漂っていてかなり良い。
ホールケーキアイランド編
サンジに再会する為1000年も生きる巨大な象「ゾウ」に上陸した。しかし、サンジの姿はない。ここで獣人ミンク族と、ワノ国の大名の跡取りである光月モモの助達と同盟を結ぶ。実は「戦争屋」ヴィンスモーク一家だったサンジと、ビッグマムの娘プリンの政略結婚を止める為、一味はホールケーキアイランドに向かう。しかし、ビッグマムにルフィ達や昔働いていたバラティエを潰すと脅されているサンジを説得する事が出来ない。そのままルフィはビッグマムの部下たちに襲われ、城に幽閉されてしまう。
という所で84巻は終わりだ。
ちなみに、「Dの一族」「赤髪のシャンクスの能力」「ドラゴンの能力」「ひとつなぎの大秘宝」など、連載当初からの伏線はまだまだ回収されていない。
(沢野奈津夫)