過酷すぎる管理者養成学校
静岡県富士宮市にあるこの学校は、サラリーマンの幹部を養成することを目的としている。今回は30代から40代後半などの、出身地、職業がそれぞれ異なる男性が合宿を行う様子が放送された。中には妻子持ちの男性の姿もあったのだが、合宿中は携帯電話は没収され使用を一切禁じられている。
合宿の内容は、番組内で「地獄の合宿」とも言われていたとおり相当ハード。大声での返事、自己紹介や、起立と着席を素早く何度も繰り返す行為をさせるなど、まるでスパルタ強豪高校の部活のよう。身だしなみの指導として、指導員が剃ったばかりのヒゲを見て「まだ少し残っている」と、剃り直しを命じる場面もあった。
また、靴は必ず綺麗に並べなければならないのだが、それを忘れた訓練生の靴が指導員によって校庭に放り投げられ、裸足で靴を取りにいく姿も。
他にも学校が掲げている500文字以上の「行動基本動作10ケ条」というものを丸暗記しなければならず、施設の掃除も全て訓練生が行うといった規則が。入浴方法にまで「1.頭からお湯を1~2杯かぶる」「2.シャンプー又は石鹸で頭を洗う」といったルールがある。就寝場所は大部屋で、みんなが集まるため合宿中はプライベートが一切ない。
主な一日のスケジュールは、
5時30分~ 起床・朝礼
6時30分~ 訓練
7時00分~ 朝食・清掃
8時00分~ 訓練
12時00分~ 昼食・休憩
13時00分~ 訓練
19時00分~ 夕食
19時30分~ 報告書作成
20時00分~ 入浴
20時30分~ 自主特訓
22時30分~ 就寝
となっている。
ネット上で特に大きな反響が起こったのは、駅前にスーツ姿で1人で立たせ、「〇〇県から来ました、〇〇(名前)です!」と大声で言わせるという訓練。校長先生曰くこれは、公衆の面前で大声を出すことで恥ずかしさを捨てるためのものであり、管理者として堂々と意見が言えるようにするという目的がある、という。
これには「駅前での個人情報暴露大会とかないわ」「ありえない思考、考えが古すぎる」といった批判が。
実際にこの現場を目撃した人は、この番組を見てその時の状況が理解できたようで「あの迷惑な駅前大声選手権はこれだったか」「変な団体かと思って怖かったわ」と声をあげていた。
13日間におよぶ合宿「管理者養成基礎コース」の値段は37万3960円(前泊・食事込み)。訓練を受けた後の生徒は「自分が当たり前のことができていないのを実感できた」「終わってみたら行ってよかった」と満足しているようすであった。
満足している訓練生もいるようだが、ネット上では「こんなのただの洗脳だわ」「ブラック企業を合法だと思わせるよう仕込んでるだけだろ」「こういう思想が付いた人が社会に出てくると考えるだけでも最悪」「完全な社畜兵を作り上げる素晴らしい学校だね」といった意見が見受けられる。
体験者や、知人が行ったという人も反応しており「良くも悪くもひたすら根性で仕事しろと教え込まれる」「金の無駄だって言ってた」と言う人もいれば「確かにブラックと思われる企業もあったが、ここを利用する経営者=ブラック企業経営者とは限らない」と言う人もいた。
過酷研修で訴訟が起きた例も
こういった厳しい研修を行い、過去にトラブルが起きた企業もある。
2014年には、中華料理のチェーン店を運営する会社にて行われた、絶叫しながら抱負を語らせる社員研修がテレビ番組で放送され、ネットで話題に。その後同社の公式サイトで釈明文が掲載される事態になった。
また、2016年、当時50歳の男性が過酷な研修で障害が残ったとして当時在籍していた会社に対して訴訟を起こした。研修には24kmを4時間で歩かせる訓練が複数回あり、連帯責任で同僚に迷惑をかけること、解雇されることを恐れて脚を痛めながら続けたため、関節可動域が狭まる障害が残ったとのこと。同男性は障害のため休職し、退社していた。