連続テレビ小説「べっぴんさん」(NHK 総合 月〜土 朝8時〜、BSプレミアム 月〜土 あさ7時30分〜)第21週「新世界へ、ようこそ」第120回 2月24日(金)放送より。 
脚本:渡辺千穂 演出:安達もじり
「べっぴんさん」120話。「なんかいやな気持になる」その気持わかる
イラスト/小西りえこ

120話はこんな話


キアリスで新人研修がはじまった。先輩女性社員はさくら(井頭愛海)と健太郎(古川雄輝)を見て「なんでやろ、実力で入ったと言われて納得したのになんかいやな気持になる」と複雑な顔をする。


小山と悦子


小山(夙川アトム)が大急の社長になっていた。
悦子(滝裕可里)も玉の輿に乗ったものだ。少女時代は上から目線のお嬢様、戦争で夫を亡くして、
子供のために水商売をしていたが、キアリスで働けるようになって希望を取り戻し、やがて小山と結婚。なかなか波乱万丈な悦子様のドラマのほうが盛り上がったかもしれない。

新入社員のさくらと健太郎と阿部(上川周作)に、万博テーマソング「世界の国からこんにちは」の歌をBGMに、お辞儀の仕方を3日もかけて教える悦子様の喋り方は小山に似てきていた。
「お辞儀。いまのが」など短いセンテンスを強い語調で話すところがそっくりだ。

言霊


「表情、声のトーン、お辞儀、この3つであなたたちだけでなく、会社の印象が決まるんです」
「おおぜいのひとの努力と愛情を店に立つ者が背負っている。そのことを忘れないでください」
悦子の妥協を許さないお辞儀教育に、ついに途中から巻髪をひっつめるさくら。
その厳しい研修に嫌気がさしてぶつぶつ言っていると、阿部が「言葉には力が宿っているんです」(言霊)と言いだし「気を紛らわすために愚痴る」ことを諌める。
真面目で前向きな阿部の考えに打たれた健太郎は「すみませんでした」と真摯に謝ると・・・。

阿部「そのお辞儀見てゆるそう思いました。上手なお辞儀とはそういうものなんや」
さくら「やったね健ちゃん」
何か戸惑う顔の健太郎(古川雄輝巧い)。

さくらのこの態度、先輩社員と同じくいやな気持になる。


阿部を演じている上川周作は君枝役の土村芳と同じ京都造形芸術大学出身で現在大人計画所属。紀夫役の永山絢斗の兄・瑛太が昨年主演した『サンバイザー兄弟』(宮藤官九郎作、演出)にも出演していた、これから期待の若手俳優(93年生まれ)だ。

あるよ


勝二のつくった店は“名前のない喫茶店”。開店の日、看板がないと言われて、↑こう応えた。
木村拓哉の代表作『HERO』(2001年)を思い出す台詞「あるよ」。知る人ぞ知る映画の名バイプレイヤーとして活躍していた田中要次が、何を頼んでも「あるよ」と応じるバーのマスターを演じたことで、全国区の認知度を獲得した。

復活の西城


キアリスをさっさと辞めた、酒グセ悪く、若干女性蔑視のきらいのある西城(永瀬匡)が、商社KADOSHOの社員として再び登場。
コバンザメキャラはふたりも要らないと思われたのか、玉井(土平ドンペイ)の不在が気になる。Wコバンザメとして楽しませてほしいものだが。

今日の、栄輔


さくらがキアリスで研修中と聞いた栄輔の目線カメラの中心が、なぜかさくらでなく明美(谷村美月)。
意味深過ぎる。

今日の、しーん


小山が栄輔に「えらい出世ですね ははは お互い様 ははは」というとカメラが引いて、微妙にしーんっとなる。笑ってるのは、KADOSHOの社長古門(西岡徳馬)だけで、コホコホと咳してごまかす小山。
119話のテレビ見てる坂東ファミリーといい、他人の出世話になるとしーんっとなる正直な人たち。
(木俣冬)
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