2009年9月、いまや世界中の子ども達に人気のマンガ『クレヨンしんちゃん』の作者臼井儀人氏が登山中に亡くなった。

遺体となって発見された臼井儀人氏


2009年9月、「荒船山の登山に出かける」といって家を出たまま行方不明となっていた人気漫画『クレヨンしんちゃん』の作者・臼井儀人さん。家を出てから8日後の19日、群馬・長野県境にある荒船山の艫岩(ともいわ)の下の岩場で遺体となって見つかった。


発見のきっかけは登山中だった男性からの「人が倒れている」との通報だった。現場は200~300メートルの絶壁が続く巨岩。北側の登山道近くのがけから約100メートル地点の場所だったという。現場付近は捜索隊もすぐには近寄ることができないほどの急峻な崖であった。

「自殺ではないか」との憶測も


登山関係者によると、荒船山は子どもでも高齢者でも登れるような山。臼井さんが見つかった場所も、比較的楽な岩場だという。おそらく臼井さんは通常のルートから外れて、がけ近くに迷い込んでしまったのだろう。そこで何かの拍子に滑落したと考えられる。
なお、地元の観光関係者によれば滑落死は「年に1件あるかないか」ということだ。

臼井さんは登山を趣味としており、リフレッシュのため頻繁に出かけていた。山歩きには慣れていることも考えると、「自殺ではないか」との憶測も飛びかった。
だが家族は「信仰している宗教の教義上、自殺はありえない」とその憶測を否定した。

「おら、本当に幸せ者だぞ!」


同年11月には青山葬儀所で「思い出を語る会」が行われた。
午前中は、生前に親交のあった関根勤、小堺一機ら400人余りが出席した。

会の最後には、『クレヨンしんちゃん』の主人公しんのすけが「うほほーい、オラ、臼井先生に生み出してもらった世界のスーパー5歳児だぞ。本当に本当に幸せ者だぞ」と、アニメでのいつもの調子で挨拶。会の進行役となったテレビ朝日の下平さやかアナウンサーに駆け寄りナンパするとなど、いつものしんちゃんぶりを発揮して、会場には温かい笑い声も広がった。

臼井さんが亡くなったことで『クレヨンしんちゃん』は今後どうなるのか? と心配する声もあったが、アニメ・漫画ともに現在まで続いている。死してなお、臼井さんが残した作品は受け継がれていくのだ。
(せんじゅかける)

※文中の画像はamazonより新クレヨンしんちゃん(1) (アクションコミックス)
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