序盤こそ視聴率が振るわなかったものの、ネットやSNSでは今までにない盛り上がりを見せ、スリリングな展開やセリフの掛け合いなどが、ブームのような人気を得ているようだ。
月9ドラマのヒットメーカー・坂元裕二
そのドラマ「カルテット」の脚本家でもある坂元裕二氏は、実はドラマシナリオ作家としてはヒットメーカーとしても有名な人物。90年代初期、不朽の名作といわれた「東京ラブストーリー」は、何を隠そう坂元氏の脚本によるもの(原作は柴門ふみ)。
「月9」と呼ばれるフジテレビ月曜21時枠の数々のドラマの中でも、印象深い人間関係とセリフの巧みさは坂元作品の特徴だといえる。鈴木保奈美が演じる赤名リカが叫ぶ「セックスしよ!」というセリフは、ドラマを知らなくても知っている人は多いはず。
そんな坂元氏は19歳で「フジテレビヤングシナリオ大賞」を受賞・デビューし、その4年後に「東京ラブストーリー」が大ヒットしたのだというから、驚くべき早咲きっぷりだ。
そのほかにも坂元氏が脚本家として手がけたドラマには、同じく柴門ふみ原作の「同級生」(1989年)や、牧瀬里穂と稲垣吾郎が主演の「二十歳の約束」(1992年)、孫悟空を香取慎吾が演じたことでも話題になった「西遊記」(2006年)、芦田愛菜が脚光を浴びた「Mother」(2010年)など。このラインナップを見るだけでも、坂元氏が次々とヒット作に携っているのがわかる。
脚本家だけではない……坂元裕二の素顔
坂元裕二氏は現在でも脚本家としての活動が主のようだが、以前には作詞提供などもおこなっている。
「カルテット」でも主演をつとめる松たか子が、1997年にシンガーとして歌い自身の代表曲にもなった「明日、春が来たら」は、NTTのCMソングとして作られた歌だが、この作詞提供は坂元氏なのだ。軽快なメロディとドラマチックな詩のフレーズがとても印象深い曲に仕上がっている。その他にも、深津絵里や星野真里、小室哲哉にも作詞提供をおこなっている。
また、1996年には映画「ユーリ」の制作に原案・脚本・監督として携わったが、その作品に出演していた女優・森口瑤子と結婚している。
若い時代から数々のヒットドラマを手掛けてきた坂元氏だが、テレビの在り方が変化してきた今、作家として円熟味を増して、今後もどんなヒューマンドラマを見せてくれるか楽しみにしていたい。
(空町餡子)