今までのプロ野球を振り返ってみると、多くの投手が肘痛や肩痛に悩まされてきた。
原因として、様々なものが挙げられるだろうが、変化球による負担が指摘されることも多い。


その中でも、シュートは一般的に投手の肩や肘に負担のかかる球だと言われている。実際にシュートを武器に活躍した元ヤクルトの川崎憲次郎は、右肩痛に悩まされ続けた。

「勉強すれば当り前」桑田真澄の考え


しかし、巨人のエースとして活躍した桑田真澄は肩や肘に負担がかからないと語っている。
『桑田真澄 ピッチャーズバイブル』では、「一番負担がかかる球はカーブとスライダー」と語っている。これには桑田なりの考え方がある。桑田によると、スローイングは人間の体の作り上、腕は必ずシュートを投げる方向に動く。だからシュートは体に負担がかからないが、スライダーやカーブは腕を逆にひねるため、負担がかかるそうだ。


本書では、「解剖学と運動心理学を勉強すれば当り前の話なんですよ」とシュート=肩肘に負担がかかるという考えを一蹴している。

東尾修との対談が参考に?


また、同書でシュートの投げ方について、桑田は「ストレートと同じように投げる」と語っている。

この投げ方については、ある大投手のアドバイスが生かされているのではないだろうか。
1989年に行われた東尾修との対談(『完本 桑田真澄』に収録)で、「シュートはどう投げたんですか。ヒジに悪いとかいわれてますけど」と大先輩にあたる東尾に質問した桑田。
この質問に対して東尾は、あくまでシュートを投げる時は変にひねったりせずに、シュートの握りでストレートの投げ方をしたとアドバイスしている。
これなら肩肘に負担がかかることがないという。

とはいえ野球界全体をみると、「打球は正面で捕球しなさい」などといった凝り固まった"常識"がまだまだ根強い。桑田はそんな野球の誤った常識を変えるべく、著書『桑田真澄の常識を疑え!』を発売するなど、精力的に活動している。


※イメージ画像はamazonより桑田真澄の常識を疑え! KUWATA METHOD―父と子に贈る9つの新・提言 !