ココリコ、ロンドンブーツ1号2号、おぎやはぎなど、極楽とんぼと親しい後輩芸人たちがかけつけたこの番組は、地上波では放送できない過激な企画が盛りだくさんの放送であったと言えよう。
そんな極楽とんぼは、もともと過激な芸風の毒気あるコンビである。
その代表作といえるのが、DVD「極楽とんぼのテレビ不適合者」シリーズだろう。現在は上下巻合わせたDVD-BOXが発売されている。
元工作員ネタも収録された上巻
上巻は小ネタが満載の短編集だ。「失業者の実態」ではスーツ姿の加藤浩次が、河川敷のダンボールハウスを訪ね、ホームレスの実態をレポートしようと試みる。そこに現れた山本扮するホームレスの荒瀬さんの微妙な関西弁のイントネーションがおかしく、加藤自身が吹き出す様子もそのまま収録されている。
さらに「○作員の真相」では、山本が全面モザイクで、某国の元工作員としてインタビューに応じている。企画では伏せ字となっているが、もちろんこれは北朝鮮の工作員を意識したものだろう。DVDが作られた2004年のホットな話題が取り込まれている。
最後はナイフを持って乱入? 極楽とんぼが密着
下巻は、上巻とは異なる長編ドキュメンタリー作品だ。ある不良高校の卒業までの半年間に極楽とんぼの2人が密着する企画として始まる。
学級担任の曽我は、さえない中年男性であり、極楽とんぼから教師になった動機を尋ねられると「ほかに就職がなかった」と本音を吐露する。最初は単なるやる気のない先生に見えた曽我が暴走してゆくのが作品の見どころだ。
援助交際で補導された女子生徒に行為の詳細を根掘り葉掘り聞いたり、免許を取得したばかりの男子生徒に車を貸し事故を起こされると、生徒の怪我よりも保険料を気にしたりと、とにかく自分本位の曽我。
しまいには学校にも来なくなった曽我に、極楽とんぼの2人は愛想を尽かし、自分たちだけで生徒たちとの卒業式をむかえようとする。
ところが、卒業式当日、包丁を持った曽我が卒業式に乱入する……。
このように毒気たっぷりの作品に仕上がっている。
極楽とんぼと組んでこの作品を作りあげたのは、敏腕テレビマンとして知られるマッコイ斎藤だ。彼が得意とする真面目なドキュメンタリータッチの基軸が、だんだんとズレてゆき、最後は破綻に至る手法が本作でもぞんぶんに生かされている。
※イメージ画像はamazonより極楽とんぼのテレビ不適合者 DVD-BOX