
フランスのスーパーには「しらたき」が当たり前のように売られている。そして女性を中心に、パスタの麺に代用され、ダイエットフードとして活用されているという。
フランスでは「しらたき」はどれくらいポピュラー?
フランスでは、「しらたきダイエット」が数年前からブームだという。実際、現地では、この「しらたきダイエット」はどのくらいポピュラーなのだろうか。フランスの美容事情に詳しいエステティシャンのヴァンデック詩帆さんに聞いてみた。
「10年ほど前までは、しらたきはオーガニックショップや日本食材店で売られているだけで、日本食に興味がある一部の健康思考のフランス人にしか知られていませんでした。
こんにゃくのカロリーの低さ、空腹を抑えることができる点、食物繊維が豊富で体の中をきれいにしてくれる点などが注目されるようになったのは、ここ数年のこと。ダイエットや美容に適した食材として、メディアでしばしば取り上げられるようになり、浸透しました。
また、フランス人にとって日本人は華奢で痩せているイメージなので、“日本食=ヘルシー”というイメージも手伝って、今ではほとんどのスーパーのダイエット食材コーナーやオーガニック食材コーナーで見かけるようになりました。こんにゃくを手作りするセットも売られています。パリでは和食レストランが人気のこともあり、こんにゃくを知っているフランス人も増え、日本のしらたきやこんにゃくは市民権を得ていると感じています」
フランス人は「しらたき」の何が好きなのか?

しらたきはもはやフランス人にとって慣れ親しんだヘルシーフードのようだ。しかし、「しらたきは日本食」といっても、日本では“好きな食べ物はしらたきです”という人はほとんど見かけない。
おでんの具としてもさりげない存在感であるし、称賛されるときも、たまにダイエットの置き換え食として活躍するときくらいである。フランス人はそんな地味なしらたきやこんにゃくを、なぜそこまで好むのだろうか?
「そもそも味があるものではないので、こんにゃく自体は美味しいとは感じていないようです。多くのフランス人は“ナチュラルな味”と表現します。
味よりも、むしろ食感で好き嫌いが分かれます。嫌いな人は、ゴムのような食感がダメなようですね。また、忙しいフランス女性は、調理が短時間で簡単なことに魅力を感じているようです。レシピ本もたくさん出版されており、パスタの代替え以外にも前菜、メイン、デザートと、飽きずにダイエットできるようバラエティに富んだ調理法が紹介されています」
ソースの色がきれいに見える

フランス人は、しらたきの時短になる手軽さにも魅力を感じているようだ。ところで日本とは異なり、白いしらたきが主流のよう。やはり黒いこんにゃくは色や見た目としてフランス人のセンスに合わないのだろうか?
「しらたきは、カロリーオフするために、米やパスタ、ジャガイモの代わりに使用するので、ソースや他の食材の色がきれいに見える白色が使いやすいようです。そもそもフランスでダイエット食材として売られているしらたきは、白色が主流ですので、黒いこんにゃくがあること自体、知らない人が多いでしょう。ほうれん草入りの緑色のしらたきもポピュラーです」
日本こんにゃく協会の意見
ところで、このように日本の伝統的な食材が、世界で愛用されているとは嬉しいものだ。そこで、このようなフランスにおける「しらたき」人気やダイエットへと利活用されている事実について、一般財団法人 日本こんにゃく協会の事務局長・原田都夫さんに意見をもらった。
「一昨年のミラノ博覧会でも、肥満とアレルギーに悩むイタリア人が、ローカロリー&グルテンフリーのこんにゃくパスタに大注目したと聞いていますが、フランスでもこんにゃくの人気が高まっているようで嬉しい限りです。
センスの良いフランス人がしらたきを、ファッションと同じようにオシャレかつヘルシーに、また、美容のために食べていることが、日本でもっと広がればと思っています。バラエティに富んだ調理法で飽きずにダイエットしていることにも感心しました」
(石原亜香利)
取材協力

ヴァンデック詩帆(ヴァンデックシホ) さん
パリ7区でサロンCHICHI(シシィ)を運営する、フランスのエステティック・コスメティック国家資格を持つエステティシャン。
http://www.chichiparis.com
https://allabout.co.jp/gm/gp/1693/
一般財団法人 日本こんにゃく協会
http://www.konnyaku.or.jp/