社会に揉まれながらたくましく生きる少女の成長物語ともいえる『家なき子』に対し『家なき子2』は、中途半端なサスペンスドラマであった。
『家なき子2』のあらすじ
母親の陽子(田中好子)を病気で亡くしておよそ1年後、相沢すず(安達祐実)は、下半身不随で車椅子生活となった父親の悟志(内藤剛志)と再会し、一緒に暮らしていた。
そんな折、すずはかつて所属していた、田畑光江(菅井きん)率いる窃盗団の兄貴分であった圭太(松田勝)と再会する。圭太が運転手を務める資産家の一条家が、行方知れずの孫娘を探していると知ったすずは、自分が本人だと名乗り一条家へ乗り込んだ。
だが、海外から帰国した一条家の親戚の娘である木崎絵里花(榎本加奈子)に素性をバラされ、徹底的にいじめ抜かれることになる。
本作ではすずを支えるヒーローとして、ボクサーを目指す青年、牧村晴海(堂本光一)も登場する。晴海は幼いころ、一条家に追い込まれた両親が目の前で焼身自殺を遂げており、一家への復讐を誓うという役どころだ。
「ペンキごはん」も…過激だったイジメ描写
さらに、前作『家なき子』に登場した意地悪な親戚のおばさん京子(小柳ルミ子)の娘、真弓(西田彩香)も、絵里花の子飼いの一条家住み込みメイドとして登場。
前作ではトイレにわざと落としたおにぎりを「便所おにぎり」として食べさせるシーンが登場したが、今作ではペンキをかけた「ペンキごはん」が登場し、食べ物イジメがパワーアップした。
すずをイジメる場面で絵里花が発する「エリカが例えてあげる」のフレーズも話題となった。「エリカが輝くダイヤモンドなら、貴女はそうね、道端で蹴られるただの小石」といった風に、自分と相手の境遇を比較するものだが、「エリカがフランス料理なら、あなたはそうね、ねこまんま」と“貧乏側”のフレーズのチョイスが絶妙だった。
晴海に対しても「エリカと付き合えば、将来は豪邸暮らし。でも、相手がすずなら一生四畳半」と迫る。榎本加奈子は、このフレーズと高飛車キャラでブレイクした。
20%超えだった平均視聴率
こうしたシーンばかりが印象に残り、肝心のドラマの内容は忘れられがちなのが『家なき子2』の特徴だろう。ストーリーは、一条家の莫大な資産をねらう人物たちが、血みどろの争いを繰り広げ、次々と死んでゆくというありがちなものである。
それでも平均視聴率は20%超え(関東地区・ビデオリサーチ調べ)を記録する人気番組となった。
意外にも『家なき子』シリーズは、1、2、劇場版ともにDVD化がなされていない。いま、あらためて見返したい90年代ドラマのひとつだと言えよう。
※イメージ画像はamazonより家なき子 VOL.4 [VHS]