ウルトラマンとどことなく見た目は似ているものの、ウルトラシリーズとはまったく違ったヒーローがいる。その名は『電光超人グリッドマン』。
ウルトラマンと同じ円谷プロが手がけた、93年から94年にかけてTBS系列で放送された特撮ヒーロードラマだ。

時代を先取りしすぎたグリッドマン


早すぎた名作「電光超人グリッドマン」が現代になって再評価された理由
画像はAmazonより

今でこそ「サイバー犯罪」や「ネットワーク上の攻防」といった言葉を目にする機会も増えてきたが、『電光超人グリッドマン』が放送されていた当時はWindows 95ですら発売される前の時代。「インターネット」という言葉の意味すらあやふやな時代だった。

そんな時代に放送されたにもかかわらず、グリッドマンの物語はコンピュータ・ネットワークの世界から現実世界の支配を目論む魔王と、それを阻止しようとするグリッドマンとの戦いを描いたものだった。簡単に言い換えると、セキュリティソフト(ヒーロー)とウイルスソフト(怪獣)の戦いだ。先述した通り、インターネットという言葉が一般的でなかった時代に描かれたがゆえに、視聴者が置き去りにされている感は否めなかった。

インターネットの普及でグリッドマンが再評価された


Windows 95が登場し、一家に1台、個人に1台とパソコンが普及していくと同時に面白い現象がおきた。『電光超人グリッドマン』の再評価である。インターネットやウイルスソフト、セキュリティソフトの意味がわかってくるにつれて、『電光超人グリッドマン』の世界観も一般視聴者層に理解されるようになっていったのだ。

もちろん放送時期にリアルタイムで人気がなかったわけでは決してなく、ヒーローものとして純粋に面白い物語としての評価はされていた。だから、世界観がわかることでグリッドマンへの理解が深まったというほうが正しいかもしれない。

20余年の時を経てアニメ化が実現


早すぎた名作「電光超人グリッドマン」が現代になって再評価された理由
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94年に放送が終了した『電光超人グリッドマン』はインターネットの普及とともに約10年近くをかけて再評価されるまでの作品となった。そこからさらに10余年の歳月を経て、誰もがインターネットなしで生活することが難しい時代にすらなると、この早すぎた名作は完全新作のアニメ作品となった。『電光超人グリッドマン』を原作としたTVアニメ『SSSS.GRIDMAN』が、2018年10月からTOKYO MXほかにて放送されている。


当時は存在しなかったスマートフォンやユーチューバーなども登場する現代版アニメを楽しむ傍らで、原作版ドラマにも手を伸ばしてみると、当時と今でどれだけ世界が進化してきたのかもわかってより物語が楽しめるかもしれない。

(空閑叉京/HEW)
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