
秋田の県道沿いなどで、ピンクと黄色のカラフルなユニフォームを着た年配の女性が販売している「ババヘラ・アイス」は、秋田県民にはお馴染みのスイーツだ。
イメージは高知名物の氷菓「アイスクリン」に似ている感じだろうか。シャーベット状のさっぱりした風味で、昔懐かしいアイスだ。ピンクと黄色は、イチゴ味とバナナ味のミックスで、路上では売り子さんがヘラを器用に使い、2色のアイスを花びらに見立ててバラに形作ってくれる。
このババヘラ・アイス。冬季は売れ行きが落ち込むため、一時生産をストップしていたが4月1日から販売が再開される。

このババヘラはどのような歴史を持つアイスなのか? 製造・販売をしている進藤冷菓の社長、進藤博永さんに電話で問い合わせた。
「今のところ、うちの売り子さんに若い女性はいませんね」
「今年で創業65年になります。秋田の方言でいうおばあちゃんの『ババ』が、ヘラでアイスを盛るので『ババヘラ』といいます。ババヘラ・アイスは秋田では駄菓子感覚で売られています」
――路上販売はなぜ始まったんですか?
「この辺りは昔から農家が多い地域です。4月は田んぼの稲刈りが終わり、いくらか暇になります。その時期に行う副業の1つがアイスの売り子さんです」

――バラ型に盛って売るようになったのはいつ頃から?
「10数年前からです」
――けっこう最近なんですね。
「花びらを重ねて盛ったら喜ばれるんじゃないかと思い、試行錯誤しました。ユリなどの様々な花を試してみましたが、結局バラが一番きれいだったんです」
――売り子さんのユニフォームや販売形式はどのように変わっていったんでしょうか?
「創業当時はリヤカーを引いて販売していました。今は車で移動して、現地で売り子さんと機材を降ろして営業しています。ピンクと黄色のカラフルなパラソルと制服はバラ盛りを始めた頃に、ババヘラカラーとして統一しました」
手練れの売り子さんでも、バラ盛りの達人はごくわずか
――売り子さんの中でバラ盛りが上手な人はどれくらい、いらっしゃるんです
か?
「今従業員は30人近くおりますが、バラ盛りが上手い売り子さんは3、4人くらいです」
――ちなみにどこに行けばババヘラ・アイスの路上販売の方に会えるんでしょうか?
「路上販売は天気や売り上げの関係で、毎日場所を変えています。道の駅やスーパーマーケットなどの施設にも出店していますが、秋田に来たら昔ながらの路上販売を楽しんでいただきたいですね」
のどかな風景の中で売り子さんと世間話しをしながらアイスを買うのは、魅力的かもしれない。ただ秋田県まで行くのはちょっと遠い。そんな場合は通信販売もお薦めだ。自宅でババヘラ・アイスの優しい甘さを堪能しつつ、「ババ」に負けないバラ盛りに挑戦してほしい。
(石水典子)