連続テレビ小説「ひよっこ」(NHK 総合 月〜土 朝8時〜、BSプレミアム 月〜土 あさ7時30分〜)第1週「お父ちゃんが帰ってくる!」第6回 4月8日(土)放送より。 脚本:岡田惠和 演出:黒崎博 視聴率20.1% 前日比↑
「ひよっこ」6話。ただ稲刈り風景を堪能した
イラスト/小西りえこ

6話はこんな話


谷田部家の家族総出とご近所さんに手伝ってもらって稲刈りが行われた。

日本の原風景だっぺ


土曜日の朝、ゆったりとした時間が流れ、とても心地よかった。
宗男叔父さん(峯田和伸)が「日本の原風景」と言ったのは少年が寝ている姿に対してだが、やっぱり稲刈りは日本の原風景なんだろう。


脚本家の岡田惠和は、とくに何も起こらず15分会話しているだけでも朝ドラを成立させることができると言っていて、実際、稲刈りの1日を15分で描ききった。すばらしい。
稲刈りしながら登場人物たちの会話のリレーを行って話をつないでいく流れは、まさに「口も動かしてっけどても動かしてっと」という宗男叔父さんのセリフのようだ。
増田明美の稲刈り講座的ナレーションもわかりやすかった。

「ひよっこ」には、増田明美の客観的なナレーション、主人公みね子の心情を吐露するモノローグ、狂言回し的な宗男と、何ヶ所にも話をわかりやすくする人が配置されている。このように説明部分を多層化することで、あらゆる視聴者に対応可能となる。
とても考え抜かれた脚本だと思う。

稲刈り中の会話のなかから時子(佐久間由衣)はまだ母(羽田美智子)に東京のトランジスタラジオ工場に働きに出ることを許してないことがわかる。
でも「今日は休戦、ね」で、問題は保留に。

こりゃまた失礼いたしました!


ドラマ開始、稲刈りから6分後、休憩時間になって家で昼ご飯を食べている場面に。

時子に密かに思いを寄せている三男に、お父さんにお願いするようすすめる宗男。
宗男「(稲刈りで共に汗をかいたことで)親近感を抱いているわけでしょ、今言わないでどうすんの?」
三男(泉澤祐希)「あの・・・」
時子の父(遠山俊也)「断る」
(遠くにいる)女性陣「こりゃまた失礼いたしました!」
時計のポーンと鳴る音

「こりゃまた失礼いたしました!」はこの時代、人気者だった植木等のギャグ。コミックバンド・ハナ肇とクレイジーキャッツの一員としてテレビでは「シャボン玉ホリデー」のレギュラーで、歌手としては「スーダラ節」がヒット、俳優としては映画「ニッポン無責任時代」に主演して一世を風靡した。

思えば、植木等効果で高度成長期の大人は全然真面目じゃない印象を抱きがちだが、農家の人たちは谷田部家のようにこんなにも真面目なんだなとギャップに驚く。スーダラリーマン像も真面目に働く労働者たちを裏返すことで息抜きになってたのねと改めて思った。高度成長期も大変だ。

幸せを感じるね 乙女の歌声は


↑こういう宗男の言葉どおり、『ひよっこ』の女性陣は“乙女”ぽい。
そんな乙女と元乙女の歌う「いつでも夢を」は「あまちゃん」でも歌われていた。すずふり亭の鈴子さんを演じる宮本信子(夏ばっぱ)が橋幸夫とうたっていたっけ。
なつかしの「あまちゃんレビュー」はコチラ

父子の連れション場面、かくれんぼ、家族写真撮影と微笑ましい場面が挿入されて、
「私はこの時間が終わらなければいいのにと思いました」とみね子(有村架純)。
最後は「今年も稲刈りお疲れ様でございました」とどこまでも丁寧なみね子です。

第2週も楽しみ。サブタイトル「泣くのはいやだ、笑っちゃおう」は64年の4月にはじまった人形劇「ひょっこりひょうたん島」の主題歌の歌詞(作詞は井上ひさし先生)。
(木俣冬)