ドラマは2000年の春に放送されたが、当初は期待されたほどの反響は呼ばなかった。
あの俳優も出演していた!
ドラマのキャストの中には、当時はまだ駆け出しだった俳優も多く、この作品をきっかけに活躍するようになる者が数多くいたのも特徴。主役を演じた長瀬智也はすでに人気のある役者だったが、カリスマ的なリーダー役を演じた窪塚洋介はその後ドラマ・映画に大躍進する。
ほかにも山下智久、妻夫木聡、坂口憲二、小雪なども、その後活躍してゆく足がかりとして、この作品でかなり人気を得たといってよいだろう。
ちなみに、最近放送されたドラマ「カルテット」でも一躍脚光をあびた高橋一生も、第3話でマコト(長瀬)の中学時代の同級生役で出演。秀才だが完全な引きこもりというキャラで出ている。
脚本を担当したのは宮藤官九郎
また、このドラマによって広く名前を知られた人物としては、脚本を担当した劇団「大人計画」に所属する若手作家の一人であった宮藤官九郎(クドカン)もそのひとりだった。この後、続くTBSドラマ「木更津キャッツアイ」や、映画「ピンポン」などの脚本も手がけることに。
ちなみに、同じ劇団「大人計画」所属の阿部サダヲが知名度を得たのも「I.W.G.P」への出演によるものが大きい。
「I.W.G.P」はクドカンの真骨頂!
ドラマで描かれるのは「チーマー」と呼ばれた池袋の不良たちの物語なのだが、血が流れる暴力や抗争シーンも多く、リンチ、援助交際、薬物、引きこもり、マルチ商法など、至る所でシリアスな社会的トラブルを扱っている。
それにもかかわらず、クスっと笑えるようなギャグ展開のシーンも散りばめるなど、社会問題や小ネタを、随所に見せながらも共感をよんでいた。
キャラクターそれぞれがとても際立っていてわかりやすく、全体的に次へ次へとテンポよく引っ張っていく展開。まさに当初からクドカンワールドの真骨頂が見せられていたのだとおもう作品になっている。
マコト(長瀬)の正義感や、キング(窪塚)のカリスマ性にだけ目を向けさせることなく、まんべんなくキャラクターにスポットライトを当てるという、のちの「あまちゃん」などにも通ずるクドカン流の作劇的な脚本はさすがだ。
ドラマから生まれたブームも
当時はマコトが得意なボウリングにならって、世間でもボウリングが流行ったり、キングの独特な口調で話している者がいたり、ドラマ派生のブームがいろいろ生まれたのを記憶している人も多いのではないだろうか。
また「B-BOY」と呼ばれるファッションや、カラーギャングと呼ばれ着るものを色分けした不良グループなどを世に広めたのもこのドラマがきっかけになった。
ちなみに、舞台となった「池袋ウエストゲートパーク」というのは、実際には「池袋西口公園」いう名称で、東京芸術劇場などやバスターミナルがあり、ドラマのような不良がたむろしているような不穏な雰囲気ではない。
いまでもレンタル率の高いドラマ作品なので、当時を思い出しながらあらためて見てみるのも面白いだろう。
(空町餡子)
※イメージ画像はamazonよりWITH LOVE(1) [VHS]