わらび餅とくず餅と桔梗信玄餅。似て非なるものである。
どれを好きかと言われたら、どれも同じような気がして答えに困る。いずれも素人からすれば、黒蜜をかけていただくと美味しい、ということくらいしか分からない。

そこで和菓子の専門家、及び桔梗信玄餅の製造販売をする桔梗屋に、その違いを聞いた。

わらび餅とくず餅はどう違う?


わらび餅とくず餅と桔梗信玄餅の違いとは?
くず餅

まずはわらび餅とくず餅の違いから。デコ和菓子 認定講師の池ノ内裕子さんによれば、次のような違いがあるのだそうだ。

「『わらび餅』はわらび粉でできており、モチモチ、プルプル弾力があります。関西地方の『くず餅』は葛粉でできており、ツルン、プルン透明度が高いです。関東地方の『久寿餅(くずもち)』は、小麦粉を乳酸菌で発酵させたもので、色は白濁。もちもち、ツルッと歯ごたえがあります。
本わらび粉でできたわらび餅は、黒っぽいです。材料があれば、お家で簡単に電子レンジを使って作ることができます。栄養分では、わらび餅もくず餅もでんぷんなので糖質です」

いずれもプルプル感は似ているが、わらび餅は「モチモチ傾向」、くず餅は「ツルン傾向」があるようだ。

わらび粉…ワラビ(厥)の地下茎を水洗したのち、臼でついて細砕し、水洗、沈澱の操作を操返してつくったもの
「信濃, 第 31 巻」信濃史學會, 1979より)

くず粉…クズの根からとったでんぷん。
白い粉。食用。くず。
(「大きな活字の三省堂国語辞典」より)


わらび餅とくず餅の魅力と欠点


それぞれの魅力や欠点について、池ノ内さんはこう語る。

「本わらび粉でできたわらび餅の食感は、なんともいえないモチモチ・プルプル感、舌触りがあります。くず餅は、喉ごしが魅力です。両方とも、甘さや味を加えるなどして、アレンジができます。また、両方とも作りたてが一番美味しいため、日持ちしないことが欠点といえるかもしれません」

「桔梗信玄餅」はわらび餅やくず餅とどう違うのか


わらび餅とくず餅と桔梗信玄餅の違いとは?
桔梗信玄餅(c)桔梗屋

わらび餅とくず餅の違いがなんとなく分かったところで、今度は、桔梗信玄餅との違いを確認してみよう。わらび餅やくず餅との違いを桔梗屋の担当者に聞いてみた。

「桔梗信玄餅のお餅の原料は、国産餅粉・グラニュー糖・水あめです。わらび餅はわらび粉、くず餅はくず粉を用いるので、材料が異なります」

もち粉:もち米を製粉して作られた米粉
(実用日本語表現辞典より)


わらび餅やくず餅と比べての魅力を尋ねると、「桔梗信玄餅は『餅粉』を使用しているので、柔らかいだけでなく、弾力があり伸びる餅に仕上がります」とのことだった。

わらび餅とくず餅と桔梗信玄餅の違いとは?
桔梗信玄餅(c)桔梗屋


わらび餅はもちもちプルプル感、くず餅はツルンとした喉ごし、桔梗信玄餅は弾力と伸びる感覚が好きな人に向いているようだ。
(石原亜香利)


取材協力
デコ和菓子 認定講師 池ノ内裕子さん
埼玉県比企郡(自宅サロン)と船橋市サロンでデコ和菓子教室を開催
http://pinknoise0.wixsite.com/annerner

桔梗屋
http://www.kikyouya.co.jp/
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