スターダムにのし上がるため、無名の女優は時として、泥臭い仕事にも取り組まねばなりません。

たとえば昔、飯島直子が熱湯コマーシャルの熱湯に浸からされたり、篠原涼子が『ごっつええ感じ』でホンコンと無理やりキスをさせられたり、松嶋菜々子が『とんねるずのみなさんのおかげです』で卑猥な発言を連発させられたり……。


全国区のテレビに出られるのであれば、道化にもなる……。そんな気概こそが、明日のスターを夢見る女性タレントたちには、必要なのではないでしょうか。

不遇だったデビュー当時の綾瀬はるか


綾瀬はるかも、上記の女優たち同様、若き日に泥臭い仕事に取り組んだスターの一人。彼女がブレイクしたのは、2004年のドラマ『世界の中心で、愛をさけぶ』(TBS系)への出演がきっかけ。

それ以前は、イベントで極小の水着を着用させられたり、アシスタントとして出演していた深夜バラエティ『品庄内閣』(TBS系)で品川や庄司に罵倒されまくったりと、清廉な今のイメージとはかけ離れた活動をしていたものです。

こうした不遇時代における彼女の代表なメディア露出の一つに、『B.C.ビューティー・コロシアム』への出演があります。

話題を呼んだ『B.C.ビューティー・コロシアム』


『B.C.ビューティー・コロシアム』は、フジテレビ系列で2001年10月26日から2003年9月26日にかけて放送された、金曜ゴールデンタイムのバラエティ番組。

内容としては、容姿にコンプレックスを持つ相談者(一般女性)が登場し、その外見のせいでいかに苦難の半生を送ってきたか、再現VTRにより紹介。
その後、相談者が美容整形による変身願望を司会の和田アキ子と島田紳助、ゲスト出演者の前でアピール。
見事にGOサインが出れば、「美のプロフェッショナル」が登場し、美しくなるための具体的な方法を提案していきます。

165cmで58キロの綾瀬はるか、1ヶ月で7キロの減量にチャレンジ!


そんな同番組において、綾瀬は「ダイエットに挑戦する」という特別企画に登場します。
もちろん、ただ、ダイエットに励むだけでは面白くありません。まして、レギュラー回では、素人女性が原型をとどめないほどの美容整形を行っている同番組において、生ぬるい減量企画など、許されるはずもないというもの。

という事情もあってか、綾瀬には「目標体重に達しなかったら、芸能界を引退する」という、なんとも崖っぷちな条件が付きつけられたのでした。

ちなみに企画開始時、綾瀬の体重が公表されています。
165cmで58キロ。ローレル指数に当てはめると、これは標準体型。けれども、アイドル女優としては少々物足りない数値。1ヶ月の間に食事制限で51キロまで絞り込み、タレントとしての再起をかけるはずでした。

和田アキ子が説教する一幕も


しかし、綾瀬は目標体重に達することができず、チャレンジは失敗してしまいます。本人は失敗理由を「地元・広島から離れて生活する孤独感とストレスから、過食気味になってしまった」と告白。

ダイエットに密着したVTRでは、綾瀬がトレーナーの言いつけを破り、お菓子を食べている様子も流れていました。

そんな綾瀬を、事務所の先輩で司会の和田アキ子が一喝。憮然とした表情で“芸能界を舐めるな”的説教をコンコンとしていたものです。

結局、アッコさん及び番組からダイエット期間の延長が発表され、その後見事、目標体重を大きく下回る減量に成功した綾瀬はるか。
こうした温情措置が下されたのは、彼女がこのまま引退させるには惜しい人材だったからのはず。しかしよもや、その10年余りあとに、大河ドラマの主役や紅白の司会を務めるほどのスターになろうとは、当時誰も思わなかったに違いありません。

(こじへい)

※イメージ画像はamazonより綾瀬はるかフォトブック DOCUMENT