代表的なのが臨床心理士の矢幡洋(やはたよう)氏の髪型だ。
矢幡洋氏、テレビ番組でカツラを脱ぐ
矢幡洋氏は、精神疾患や心身症などの患者の援助・改善・研究などを専門に行う臨床心理士である。また、2000年ごろからはワイドショーやニュース番組に多数出演し、犯罪者の心理状態などを解説するコメンテーターとしても活躍している。
そのベレー帽のような髪型は誰が見てもカツラとわかるもので、出演のたびにネット上では驚きの声が書き込まれていた。
そんな矢幡氏が、2016年9月放送の『明石家さんまのコンプレッくすっ杯』(テレビ朝日系)に出演した際、着用しているカツラを外し、プチ話題となった。
大きな話題とならなかったのは、すでに視聴者のだれもがカツラに気づいていたからだ。
番組内で矢幡氏は「実はカツラなんです……」とカミングアウトしたものの、司会の明石家さんまから「まあ、気づいてましたけど」と言われる始末。
しかもカツラを脱ぐと、帽子のような髪の毛が醸し出すうさん臭さが消え、見るからに聡明な教授の雰囲気になってしまった。
カツラをとった矢幡氏は、正直かっこよかった。髪の毛がない方がかっこいいというのは、太っていた方がかっこよかった貴乃花親方と並んで稀有な例である――。
「フルボッコ先生事件」が発生!
メディアに登場し始めた当初から、その髪型で見る者をビックリさせてきた矢幡氏だが、特に視聴者に印象を植え付けたのが「フルボッコ先生事件」だった。
2007年5月、16歳の少年による殺人事件が発生する。少年逮捕の翌日、矢幡氏は午前中に『スッキリ!』(日本テレビ系)に出演し解説を行った。
その後、午後になって同じく日本テレビ系の『ザ・ワイド』に出演した矢幡氏は、口の上とあごに大きなばんそうこうを貼り、鼻の頭にかさぶたができた状態だった。午前中には傷はなかった。
その姿から、ネット上では「フルボッコ先生」と呼ばれる事態となる。
フルボッコとは「フルパワーでボッコボコ」という言葉を略したスラングで、ネット上で使われることが多い。『ザ・ワイド』放送直後から、「矢幡先生がフルボッコされた」という書き込みが頻発し、たちまち矢幡氏にはフルボッコ先生というニックネームがつけられてしまった。
なぜ矢幡氏はケガを負ったのか?
しかし、いくらなんでも矢幡氏が誰かに暴行されたとは考えにくい。それこそテレビで扱う事件となってしまう。では、なぜ矢幡氏はケガを負ったのだろうか?
事件発生以来10年間、矢幡氏はフルボッコ先生事件について語ったことがなかった。そのため視聴者は、事件の真相についてさまざまな仮説を立ててきた。
たとえば、顔面から転倒してしまったのではないかという仮説。人間は転んだとき、自然と手を地面について顔や頭を防御する。
しかし矢幡氏には、転んだ瞬間、無意識に本能的に、両手で押さえなければならない身体の部分が存在したのだ。これはもう頭しかない。取れてしまうから。そのため顔面から地面に衝突してしまったのではないか。
おそらくこの辺が仮説としては自然と思われた。
2017年、フルボッコ先生事件の真相が明らかに!
2017年5月11日、『アウト×デラックス』(フジテレビ系)に出演した矢幡氏は、フルボッコ先生事件の真相を語った。実に10年の時を経ての告白だった。
結論からいうと、矢幡氏は玄関で自動ドアの強化ガラスに気づかず衝突してしまい、割れたガラスで顔を切ってしまったのだった。
しかもガラスに衝突した瞬間にカツラが外れ、拾おうとするも男性看護師に「動いてはいけません!」と言われ、押さえつけられてしまう。
カツラが取れた状態で、公共の場で押さえつけられていたことについて、矢幡氏は「晒し物でしょ?」と語った。顔面の負傷と同時に精神的ダメージも大きかったようだ。
その後、処置室で治療が行われ、気づくと隣にカツラが置かれていた――。
臨床心理士として、他者の心理を分析してきた矢幡氏。今度はぜひ、誰が見てもわかるカツラにこだわる自身の心理を解説してほしい。