第9週「小さな星の、小さな光」第52回 6月1日(木)放送より。
脚本:岡田惠和 演出:田中正

52話はこんな話
プロポーズ、そして立てこもり。ビッグイベントもりだくさんの回でした。
プロポーズの裏で
「幸子さん」から「幸子へ」
コーラスのあと、雄大(井之脇海)が、幸子(小島藤子)にプロポーズ。
地位も金も学歴もないが夢だけはもってる、という雄大。学歴もなかったのか・・・。
そのへん、ツッコミいれて、はたかれる澄子(松本穂香)。
でも「ふたりなら苦しくなんかないと思うんだ」と「見上げてごらん夜の星を」の歌詞を引き、結婚に前向きな雄大。もちろん、嬉しい幸子。
思わず「やったー」と手をあげて、みんなに笑われる豊子(藤野涼子)。
悲しいことばかりだったが、少しだけ良いことがあって、みんなニコニコ。
雄大の決意は、51話で、優子(八木優希)が、ひとりで雄大に何かを話に行ったことに関係あるのだろう。
幸子が結婚するのを見届けたいと思っていた優子。誰にも何も言わずに密かに善行をして帰っていくとは、なんて清らかな人なのだろう。まさに、家に良いことをもたらしてくれる座敷わらしのようではないか。
豊子の様子がおかしい
「ご安全に!」
工場での最後の作業が終わったときに松下(奥田洋平)が声をかける。
最後のこれは、散り散りになっていく乙女たちへの「ご安全に」という思いやりだろう。
「ご安全に!」という言い方が特徴的で、それがもう聞けないかと思うとさみしい。
最後の日。朝から豊子の様子がおかしかった。
はじめて仕事のミスまでしてしまう。
最後の作業が終わり、トランジスタラジオをプレゼントされて(みね子の初任給より高額だったはず)、
工場を明け渡すことになったとき、豊子が「やんだ 絶対にやんだ」と工場の中に立てこもってしまう。
立てこもり、もしくは、閉じこもり、は朝ドラではよく起こる。
岡田惠和の2作目の朝ドラ「おひさま」(11年)では、主人公(井上真央)の親友(マイコ)の父親が勝手に決めた縁談に抗議して、主人公と親友がトイレに籠城するエピソードがあった(彼女たちにとってそれは“レジスタンス”だった)
「まれ」では主人公(土屋太鳳)の幼なじみ(門脇麦)が結婚を許してもらおうと部屋に立てこもった。
「あさが来た」でも幼いあさ(鈴木梨央)が、おなごに勉強など必要ないと言われたことに反抗して押入れにこもった。
「あまちゃん」も、アキ(能年玲奈、現・のん)が種市先輩(福士蒼汰)をユイ(橋本愛)にとられたショックで小屋に閉じこもった。後に、ユイも、荒巻(古田新太)にびびってトイレに閉じこもった。
ほかにもいろいろ立てこもりエピはある。
果たして、豊子の小さな革命はどうなるのか。
(木俣冬/「みんなの朝ドラ」発売中)