
週1回、全社的に残業をしない「ノー残業デー」はすでに多くの企業で取り入れられている。一方、社員が自由に残業しない日を決められる「マイ・ノー残業デー」制度を導入している企業もある。
「マイ・ノー残業デー」制度のメリット・デメリット
濱田さんによれば、マイ・ノー残業デーには次のようなメリット・デメリットがあるという。
●メリット
「一番のメリットは、社員の自律を促すことができる点です。全社一律ではなく、自らの計画に合せたスケジュールを立てることができるほか、自ら計画を立てる自由度が高まることにより、効率化を検討するスキルの向上が見込めます。
また、もう一つのメリットとしては、緊急対応の際にも残っている他のメンバーで対応が可能になる点です」
●デメリット
「デメリットとして大きいのは、社員全員が確実に運用していないと、利用しづらい雰囲気になりがちな点です。ノー残業デーに対する個人の意識の差が出やすくなります。個人個人でノー残業デーが異なるため、メンバーを管理する管理職の負担が増えることもあります。
また、一斉のノー残業デーではないため、経営層や人事担当者などがアナウンスにより促すことがしづらいこともあります。電気代、空調代などの設備費の削減についても、あまり期待できません」
マイ・ノー残業デーを成功させるには?

このメリットもデメリットもあるマイ・ノー残業デー。導入後はどのような点に気を付けると良い効果が出るだろうか。
「自ら考えて計画的に仕事を進める、つまり自律への意識づけには有効な制度だと考えられます。
また、月曜日はAさん、火曜日はBさんというように、運用が安定してくるとパターン化するケースもあります。しかしそれでチームとしてバランスが取れているのであれば、結果的に固定化し、一斉化したのと変わらない結果になったとしても問題ないでしょう。現場が運用しやすい方法が最もよい形といえます」
運用面がしっかりしていれば、「帰りにくい」状況にはならないと思われる。普通のノー残業デーと比べて「自律」というメリットがあるのは気に留めておきたい。
(石原亜香利)
取材協力
濱田京子さん 特定社会保険労務士
エキップ社会保険労務士法人 代表社員
経営者・企業人事担当者の方に、時代のニーズに沿った労務管理サポートを提供している。特に労働行政の動き、法改正情報などをタイムリーにキャッチアップし、顧問先企業様のニーズと実態に合わせたサポートが事務所の強みとなっている。
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