「はま寿司」はなぜPepperを使いこなせる? ユニホームを着ている大事な理由
店頭で受付・案内業務を担当するPepper

大型店舗から街の個人経営店まで、一時はあらゆる店で見かけたソフトバンクの人型ロボット“Pepper(ペッパー)”。しかし、報道によると、法人契約をしている企業のうち80%以上が契約更改に消極的だという。
考えてみると筆者も、店の隅で何を案内するでもなく佇むPepperを見かけて哀愁を感じた経験は多い……。

そんな中、大手回転寿司チェーン「はま寿司」が、ネット上で「Pepperを使いこなしている」と話題になっている。「はま寿司」に来店したら、まずPepperのアナウンスに従いながら、タブレットに人数や席種の希望を打ち込んでいく。同店舗では、Pepperに来店客の受付・呼び出し・座席案内を担当させているのだ。

一体なぜ「はま寿司」は、Pepperを使いこなすことができているか? 同社広報室に問い合わせて、その秘訣を探った。

Pepperがユニホームを着ている大事な理由


「はま寿司」では、2016年にPepperの導入を開始した。昨年12月に「はま寿司」全店舗への導入が実現するまで一体どんな課題があったのだろうか?

「当初実験で導入した際は、入店されたお客さまにPepperがご案内していることに気づいていただけないことがありました。そこでPepperの呼び込みタイミングや販促物などの変更、およびPepperに『はま寿司』のユニホームを着せるなど見やすくしたほか、いったん従業員が操作説明をするなどの対応をとりました。改良を加えた結果、現在ではお客さまがスムーズに入店できる状態になりました」

確かに「はま寿司」入り口で待機しているPepperはユニホームを身に着けているのが印象的。店員らしい見た目にしているのは、ただかわいいだけではなく、“目立たせる”という大事な意図もあったようだ。

全店舗に導入したあとも改良は続く


同社ではPepperを導入するまで、フロアスタッフが座席案内・会計・テイクアウト受付という3つの業務を兼任していた。そのため、どうしても会計やテイクアウト受付によって来店客を待たせてしまう事態が発生していたのだが、Pepperに座席案内を担当させることによって、全体のサービス向上が実現した。

しかし、ただ来店客に受け付けさせるだけならタブレットを置いておくだけでもいいのではないか?

「Pepperは、外食の基本である接客を大切にした、人対人に近いコミュニケーションを行うことが可能です。
また、お客様の目に留まりやすく、お子様を中心に待ち時間も楽しんでいただける点が当社のニーズに当てはまりました」

「はま寿司」のPepperは今年5月からは英語・中国語にも対応できるようになった。広報室は、「今後もよりブラッシュアップを続けていこうと思います」とコメントしている。

(原田イチボ@HEW)
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