第11週「あかね荘へようこそ!」第64回 6月15日(木)放送より。
脚本:岡田惠和 演出:福岡利武

64話はこんな話
初日の前半が終了し、ふがいなさに落ち込むみね子(有村架純)を、鈴子(宮本信子)が、和菓子屋・柏木堂に誘い、慰める。
みね子、疲れきる
現実世界(2017年)では、国会(赤坂)にて、共謀罪にも関係する改正組織的犯罪処罰法(テロ等準備罪)新設)が成立し、朝のニュースも緊迫していた。同じく、赤坂が舞台の『ひよっこ』(1966年)では、すずふり亭のランチ時間、慣れないみね子のせいで、行列になってしまう。
厨房をやりたい前野(磯村勇斗)が、結局、ホールを手伝うはめに。お礼を言うみね子に「料理が冷めるのやだから運んだだけ」とそっけない。本気でそうなのか優しさなのか不明だが、言動から仕事に夢中のようなのでいまのとこ後者の割合が多めかもしれない。
省吾(佐々木蔵之介)は「オリンピックでマラソン走った選手みたいな顔してるな。しかもメダルはとれなかったって感じだな」とからかう。このとき、視聴者の多くは、みね子、聖火ランナーはやってたけどね、と思ったに違いない。
女だけの新人歓迎会
すっかり凹んでしまうみね子だったが、初日前半の売上は2万円でかなりいい。
よりによって忙しい日に入った。でも、こういう経験しておくと「運がいいよねえ」という鈴子。
3時の休憩時間に、高子(佐藤仁美)と中華料理店の女房・安江(生田智子)の4人で、柏木堂にて「女だけの新人歓迎会」を行う。甘いものにすっかり安らぐ女たち。
新しい仕事に熱意を見せるみね子に、鈴子は「仕事は決められた時間の中でやること」「時間内にせいいっぱい働く、終わったら忘れる。でないといい仕事はできないよ。
雇用者がみんなこうだったらいいのに、と世の中の労働者は思っただろう。
高子の新人時代を例に出して、みね子の気持ちを楽にさせる、鈴子たち。
良かった、ここも、いい人ばかりだ。
64話は、あんみつに、ビーフシチューと美味しそうなものだらけで眼福。
夜の部を終えて「お疲れ様」と、みね子が自分をねぎらっている場面は、なんだか妙にムーディーな(酒場で流れるような)音楽だった。
たまり場がもうひとつ
柏木とその外観の新しいセットが登場。柏木も今後、みね子たちのたまり場になりそうだ。
あかね荘は、岡田惠和の朝ドラ第1作目「ちゅらさん」の一風館(主人公が東京で住んでいた場所)を思わせ、柏木堂は、岡田の朝ドラ第2作「おひさま」の村上堂(主人公が安曇野で友人と集った場所)を思い出した。
鈴子が「運がいいよねえ」というのも、「ちゅらさん」では「運命」がキーワードになっていたことを思い出す。過去作の成功パターンを踏襲することに関して、いろいろ意見もあるだろうが、いいとこどりは悪くない。
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