現在公開中の劇場版『昼顔』。多少真新しい「昼顔」なるフレーズを表題に掲げてはいるものの、“不倫愛”による家庭の崩壊と再構築という、何度も描かれたテーマの同作。
世間からの引きを期待できる最大の理由といえば、上戸彩が不倫妻を演じている点以外他にないでしょう。

私生活では子持ちの人妻として知られる彼女が、フィクションとはいえ、斉藤工と道ならぬ恋に及ぶ……そんなキャンダラスな設定が、ありきたりなこの映画における重要な付加価値となっているのは間違いありません。

振り返ってみるとこの『昼顔』に限らず、上戸彩は自身のキャリアを通して、意外性のある役どころを度々演じてきました。『金八先生』における性同一性障害の生徒役然り、『流れ星』での風俗嬢役然り……。

あともう一つ。2000年代前半に、『エースをねらえ!』と『アタックNo.1』の実写ドラマへ主演した際も、これまでの出演作と比べて異質な“スポ根路線”だったために、ちょっとした話題になったものです。

初主演ドラマが打ち切り……不遇続きだった金八以降の上戸彩


『金八先生』でのブレイク以降、上戸彩はこれといったヒット作に恵まれませんでした。 2003年に公開された主演映画『あずみ』は、興行収入8.6億円とパッとせず。

大ヒットドラマのリメイクとあって期待された『高校教師』(2003年・TBS系)は、ヒロイン役で出演したものの、平均視聴率10.8%と同じく振るわず。極め付けは、初の主演ドラマ『ひと夏のパパへ』(2003年・TBS系)。こちらは、あまりの低視聴率で打ち切りにされるという酷い結果に終わっています。

これ以上、主演起用された作品でスベれない……。そんな背水の陣のような思いがあったに違いありません。

こうした状況の中、2004年1月クールに放送開始したのが『エースをねらえ!』でした。

テレビ朝日開局45周年記念で実写化された『エースをねらえ!』


70年代~80年代に『週刊マーガレット』で連載されていた大人気少女マンガ『エースをねらえ!』。テレビ朝日開局45周年記念につき、この年、初の実写化となった同作において、上戸彩は主人公・岡ひろみ役に抜擢されます。

岡以外の主要人物でいうと、宗方コーチ=内野聖陽、藤堂貴之=吉沢悠、お蝶夫人こと竜崎麗香=松本莉緒など……。なんとなく、原作のビジュアルと顔のつくりが似ている役者がずらり。また、≪テニス監修≫を松岡修造が担当し、最終回では、実況担当者として出演も果たしました。

『アタックNo.1』は2005年4月から放送開始


『エースをねらえ!』の平均視聴率は13.2%。同局・同時間帯のドラマとしては、まずまずの結果です。

これに味を占めたのか、翌年2005年4月クールからは、同じくスポ根少女マンガの金字塔である『アタックNo.1』も実写化。前作同様、主人公は上戸彩が務めたものの、それ以外のキャストはほとんど変更。なお今度は≪バレーボール監修≫として、大林素子が登用されています。

ドラマ『エースをねらえ!』に出演したキャストが、モブシーンに登場するというお遊び的要素もあった同作は、平均視聴率13.1%。ほとんど『エースをねらえ!』と同一の数値を残しました。

やっぱりすごい! 上戸彩のスター性


視聴率だけみると、どちらのドラマも大ヒットとは呼べない出来といえるでしょう。

しかしながら、「上戸彩が岡ひろみ役をやる」「上戸彩が鮎原こずえ役をやる」という謳い文句が、両作品における最大の“引き”だったことは疑いようもありません。
そう考えると10年以上経った今もなお、「上戸彩が何か意外な役どころを演じる」ということが、ある一定の視聴率や集客が見込めるというのは、かなりすごいことではないでしょうか。

これからも、最低限の結果が欲しい作り手側から、ちょっと変わった役をやると話題になる女優・上戸彩は、重宝され続けていくに違いありません。
(こじへい)

※イメージ画像はamazonより上戸彩20歳写真集「Breath」
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