正解は、なんと4万種類。1日にして約100種以上の種族が地球上から姿を消しているなんて、途方もない事実ではありませんか。
言うまでもなく、絶滅の一因は我々人間です。環境破壊、外来種の持ち込み、食用・毛皮目的の乱獲……。これら弊害がいかに野生動物たちへ悪影響を及ぼしているかは論を待ちません。
「ベンガルトラ」も絶滅を危惧される種の一つ。インドやネパール、ブータン、バングラデシュに生息し、大きなオスだと、体長3.2m・体重260kgにもなるこの肉食獣。森林伐採や毛皮欲しさの密猟により、年々個体数を減らしているといいます。
こうした事情があるにも関わらず、フジテレビのバラエティでベンガルトラの肉を食して、大問題に発展した事件が今から20年ほど前にありました。
伝説の特番『世界の超豪華・珍品料理』で事件は起きた
問題となった番組は、1986年秋~1998年夏の約12年間、改変期の風物詩として放送されていた『世界の超豪華・珍品料理』。タイトルが示す通り、世界中のさまざまな国にタレントたちを出向させ、現地の珍味を食べさせるというコンセプトの特番でした。
もちろん、そこはテレビバラエティ。普通の旅行客が安易に入手できるようなシロモノを取り扱っても、面白くも何ともありません。ということで同番組では、エキセントリックな食材を使用した料理が数多く登場したものです。
若手時代のダチョウ倶楽部と出川哲郎が大活躍
ラクダ・ワニ・ピラニアの食用肉程度なら、まだカワイイもの。しかし、ネズミ・ムカデ・ゴキブリ・ヒルといったゲテモノまで食わされるのだから、食レポに臨むタレントからしたら、たまったものではありません。
こうしたゲテモノの食いのプロフェッショナルとして大活躍したのが、若手時代のダチョウ倶楽部と出川哲郎。出川の「ヤバいよヤバいよ」、竜ちゃんの「殺す気か!(泣)」といった往年のリアクション芸は、この番組によって培われたといっても過言ではないでしょう。
『トラ肉の広東風炒め』を食べた
そんなタレントたちのリアクションが楽しい『世界の超豪華・珍品料理』でしたが、1998年7月9日の放送回で“事件”が発生してしまいます。
不本意ながらも当事者となったのは、美川憲一・うつみ宮士理・西村知美の3名。ご一行はとある高級中華飯店に赴き、先述の希少動物・ベンガルトラを使用した『トラ肉の広東風炒め』を実食。
さすがは、4本足のものだったら椅子以外なんでも食べるといわれる中国。日本では、動物園でしかお目にかかれないトラさえも食卓に並べてしまうのか……と、文化の違いに驚いたものです。
自然環境保護団体からの猛烈な抗議
しかし、絶滅危惧種の肉を食べておいて、「文化の違い」の一言で済ますことはできませんでした。
この放送内容を知った、世界最大規模の自然環境保護団体・世界自然保護基金(WWF)の日本委員会は当然ながら激怒。即刻、フジテレビに対して、猛抗議を行います。
実はこの数年前より「ゴールデンタイムの食事時に、グロテスクな食レポを放送するのはいかがなものか」と度々PTA・民放連などから批判を受けていたこともあり、抗議を受け入れるカタチで、番組は打ち切り処分となってしまったのでした。
かくして12年の歴史に幕を閉じた『世界の超豪華・珍品料理』。もう新作をお目にかかることはなさそうですが、2009年に『フジテレビ開局50周年記念DVD』としてリリースされているので、気になる方は見てみるといいでしょう。
おそらく、トラ肉を食らうシーンはカットされているかと思いますが……。
(こじへい)
※文中の画像はamazonよりナインティナインのオールナイトニッ本 vol.6 (ヨシモトブックス) (ワニムックシリーズ 207)