7月3日。『マイナビオールスターゲーム2017』の監督推薦選手が発表されました。
これにより、球宴へ出場するセ・パ両リーグ全28選手が決定。果たして今年はどんな熱戦が繰り広げられるのか、注目が集まります。

日本プロ野球とメジャーリーグの違い


さて、さかのぼること16年前。オールスターゲームに関するこんな報道がされていました。

アメリカは真剣勝負で、日本はお祭りーー

どういうことかというと、メジャーリーグのオールスターゲームはガチンコ勝負であるのに対し、日本プロ野球のオールスターゲームは、興行的色合いの強い“お祭り”だというのです。

この言説がさかんに論じられた2001年といえば、イチローの米国におけるキャリアがスタートした年。
シアトルマリナーズ入団初年度の前半戦、イチローは目覚ましい活躍を見せ、オールスターゲームへの出場権を獲得。日本人野手初の快挙ということもあって、日本国内で大々的に報じられました。

それに関連してクローズアップされたのが「日米における球宴観の違い」。アメリカと比較すると、お祭り感が強いNPBのオールスターについて、疑問を呈する声が聞かれるようになったのです。

2001年のオールスターゲームで事件は起きる


確かに、日本のオールスターゲームといえば、出場選手がペナントレースと比べて、勝利にこだわっていないのは、誰の目から見ても明らかです。
とはいえそんなヌルさも、味といえば味。熾烈な順位争いから解き放たれ、リラックスした雰囲気で野球を楽しむ一流選手たちが見られるのも、また一興と捉えることもできるでしょう。

しかしながら、この気楽なお祭りムードに便乗した演出が度を過ぎていたために、プロ野球選手会及び日本プロ野球機構を激怒させた出来事が、2001年の『27時間テレビ』内でありました。


長嶋監督vs王監督の「ON対決」に水が差される


2001年7月21日。この年のオールスターは、オールセントラル監督・長嶋茂雄、オールパシフィック監督・王貞治による「ON対決」が実現。
記念すべき21世紀初の球宴が、20世紀を代表するかつてのスタープレイヤー同士の戦いだなんて、なんとも出来過ぎた話ではないでしょうか。福岡ドームで両監督が試合前の握手を交わした瞬間、胸が高鳴ったプロ野球ファンは、多かったに違いありません。

そんな歴史的試合をさらに盛り上げるべく、第1戦の放送局・フジテレビは、『27時間テレビ』とのコラボ企画を実施。担当者たちは良かれと思ってやったのでしょうが、これが驚くほど裏目に出ました。

選手へのインタビューで、ホリケンがギャグ披露


特にひどかったのが、交代で出番が終わった選手に、スタジオの芸人たちが中継インタビューを試みたくだり。
明らかに試合展開と関係のない質問をしたり、「今度、飲みに行きましょう!」などとお誘いしてみたり、挙句の果てには、ネプチューンのホリケンが突然ギャグを披露したり……。

オールスターとはいえ、試合で集中力を消耗した直後に、有無を言わさずバラエティノリに付き合わされては、選手たちも堪ったものではありません。
インタビューされた側は皆一様に困惑していましたし、ヤクルトの古田敦也などは露骨に嫌そうな顔をしていました。また、グラウンドに投入された浴衣姿の女子アナも、神聖な試合に悪い意味での華を添えていたものです。

NPBから「フジでオールスターを中継させない!」とまで言われる


オールスター終了後、さっそく当時選手会長だった古田は、27時間テレビにおける一部始終を批判したうえで、「今後、野球中継を芸能番組に組み込まないでほしい」という嘆願書を、選手会の総意として日本プロ野球機構へ通達。

これを受けてNPB側は憤慨し、「フジテレビでオールスターゲームを二度と中継させない」と通告されるまでに至ったのでした(2004年には中継を再開)。

いくら球界の“お祭り”だからとはいえ、節度を守った中継をしないと大変なことになる……。
放送局にとって、そんな教訓になった出来事だといえるでしょう。
(こじへい)

※文中の画像はamazonより古田敦也 ~野球を愛するすべての人達のために~ [DVD]
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