校庭の隅に みんなで植えた記念樹♪

この字面だけで、メロディが脳内再生されるという方も多いのではないでしょうか。

フジテレビで放送されていたバラエティ番組『あっぱれさんま大先生』のエンディングテーマとして、有名な楽曲『記念樹』。
聴けば誰もがノスタルジックな気分に浸れる同曲は、かつて卒業ソングの定番と位置づけられ、全国各地の小学校で歌われていました。

もちろん、あっぱれ学園7年4ヶ月の歴史に幕を閉じる『卒業式スペシャル』のラストでも合唱されており、2番目のパートに入ったあたりから、生徒のうち何人かが号泣。観覧に来られていた父兄の方々も、しきりにハンカチで目頭を押さえるシーンが放送され、お茶の間の涙を誘ったものです。

さて、そんな名曲『記念樹』ですが、今から19年ほど前、作曲家・小林亜星が自作曲と酷似しているとして訴え出たことがあったのを覚えているでしょうか?

ブリヂストンのCMソング『どこまでも行こう』と似ている?


小林が「似ている」と指摘した楽曲は、彼が1966年に発表したブリヂストンのCMソング『どこまでも行こう』です。
たしかに、「どこまでも行こう♪ 道はきびしくとも♪」という歌い出しをはじめ、全体的にメロディは素人の耳でもそっくりに感じます。

この事実を知った小林は、『記念樹』の作曲者・服部克久に著作権侵害だとして抗議。しかし、服部が盗用を認めなかったために、法廷闘争へと発展したのです。

「72%の音が一致する」類似性が証明された判決


かくして始まった、小林vs服部の裁判。第一審は、小林側の請求がすべて棄却され、服部側に軍配が上がります。続く控訴審では一転して、小林側の勝訴。各フレーズの最初と最後の音が一致していること、他に類例を見ないほど多くの一致する音を含むこと(約72%)という2点が、判決理由とされました。

結局、最高裁が服部側の上告を不受理としたため、小林サイドの訴えが全面的に認められるかたちでこの法廷闘争は幕を閉じました。

公的な場では使用禁止になった『記念樹』


もちろん、フジテレビは『さんま大先生』における『記念樹』の放送を即刻中止。
さらに、小林が同曲を使用する可能性のある団体(小学校など)へ“記念樹禁止令”を発したため、オフィシャルな場での演奏・歌唱は不可能に。
こうして『記念樹』は、闇に葬られることになりました。
(こじへい)
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