熱戦が続く夏の高校野球・地方大会。続々と各ブロックの代表校が決まり、8月7日の本戦開幕を前にして、早くも盛り上がりを見せています。


日本中を沸かせた“ハンカチ王子”


さて、近年における甲子園でもっとも白熱した大会の一つといえば、2006年の第88回大会でしょう。

特に、現・日本ハムファイターズの斎藤佑樹擁する早稲田実業と、現・ニューヨークヤンキースの田中将大擁する駒澤苫小牧による決勝戦は、今でも語り草。
2人による投手戦は、延長15回まで1-1と両校共に譲らず。実に37年ぶりの決勝戦引き分けとなります。翌日の再試合でも登板した斎藤と田中は、またもや接戦を演じ、結果は、4対3で早実の勝利。

まるで野球漫画さながらの好ゲームに世間は熱狂。特に、大会を通して快刀乱麻のピッチングを続け、マウンドで汗をぬぐう仕草も話題になった斎藤佑樹は“ハンカチ王子”と命名され、時の人となったものです。

そんなハンカチ旋風も一段落した2007年1月。あの『めちゃイケ!』が、この流行に乗っかったギャグを披露したがために、日本高等学校野球連盟(高野連)に抗議された事件が起きたのを覚えているでしょうか?

ナイナイ×中居の日本一周企画で事件が起きる


問題となったのは、2007年1月6日に放送された『めちゃ×2イケてるッ!中居&ナイナイ日本一周健康の旅スペシャル』。

この特番は、『めちゃイケ!』が『めちゃ×2モテたいッ!』だった1996年から続く息の長いシリーズ企画であり、2007年版は、結膜炎・肉離れ・骨折など、2006年に多くの厄災に見舞われた中居を癒そうという名目で執り行われました。

もちろん、それは単なる建前であり、本質はナイナイの2人が中居を連れまわしてイジり倒す珍道中。岡村・矢部⇒ボケ、中居⇒ツッコミの構図で進められる旅は、既視感満載ながらもさまざまな仕掛けがあり、私たち視聴者を楽しませてくれるのはご存じのとおりです。

斎藤佑樹が使った酸素カプセルの中で"事件"が


そんな中居×ナイナイの旅・2007において訪れた場所の一つが、兵庫県西宮市にある早稲田実業野球部の泊まった宿舎です。

番組では、選手がとった食事や滞在した部屋などを紹介。その流れで“ハンカチ王子”佑ちゃんも使った酸素カプセルへ中居が案内されたのですが、この時、岡村がカプセル内に屁をこいて、中居を困惑させるというシーンが放送されました。


ラストには岡村が、「オナラ王子」と書いた色紙を宿舎の壁に飾る一幕も。

「選手たちの気持ちを踏みにじる内容」と高野連がクレーム


この放送を見た高野連は、どういうわけか激怒。放送から4日経った1月10日に、フジテレビ・バラエティー制作センター宛に以下のような抗議文を送りつけたのです。

「放送された内容は、教育の一環として行われている高校野球の目的から著しく逸脱する番組構成で遺憾です。グラウンドでひたむきにプレイをする選手たちの気持ちを踏みにじる内容でもあり、ここに文書で抗議を申し入れます」

なぜ、酸素カプセルで芸人がギャグでオナラをすることが、選手たちの気持ちを踏みにじることになるのか……。これにはナイナイの2人も「逆に遺憾だ」との声明をラジオで発表。
「僕が“オナラ王子”だと言ってるのに、球児の気持ちを踏みにじるとは、意味が解らない」と、岡村はひたすら憤っていました。

この騒動でもっとも被害をこうむったのは、『めちゃイケ!』のロケに協力した宿舎側。
撮影を許可したがために、高野連の怒りに触れて、代表校が利用する「指定宿舎」から外されてしまったのです。おそらく、酸素カプセルも球児たちが来る前提で購入したものであるはずなのに……。

いずれにしても、高野連がいかに世間とズレているかが、露呈した事件だったといえるでしょう。
(こじへい)

※文中の画像はamazonよりナインティナインのオールナイトニッ本 (vol.1)
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