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糸魚川のスーパーローカル音楽レーベル「マハエレコーズ」の魅力

糸魚川のスーパーローカル音楽レーベル「マハエレコーズ」の魅力

先日、取材で新潟県糸魚川市を訪れた。北陸新幹線の糸魚川駅に隣接している「ヒスイ王国館」という施設内に糸魚川市観光物産センターがあり、糸魚川の特産物が販売されている。

太古の時代からの糸魚川の名産である“ヒスイ”を加工したアクセサリーや、日本海沿岸の豊かな漁場で獲れた海産物など、この地ならではの商品がずらりと並ぶ中で、目を引かれたコーナーがあった。

「真南風(マハエ)レコーズ こちらにございます。」と書いてある。
糸魚川のスーパーローカル音楽レーベル「マハエレコーズ」の魅力

「糸魚川のこころを伝えます」「すべて糸魚川市で制作された音源です」とある。要するに糸魚川のローカル音楽レーベルらしい。

いかにも手作り風なジャケットにはアイドルっぽい雰囲気のものから渋いシンガーソングライター的な感じのものまで色々ある。面白そうなので何枚か購入してみることにした。
糸魚川のスーパーローカル音楽レーベル「マハエレコーズ」の魅力



ご当地アイドルに尾崎風……YouTubeで250本以上の動画を公開


その夜、旅館についてから「マハエレコーズ」と検索してみると、YouTubeに公式アカウントがあり、そこに250本以上もの動画が上がっていることがわかった。
糸魚川のスーパーローカル音楽レーベル「マハエレコーズ」の魅力

試しにポチッと再生してみる。

「mahae-records 96 ジオ☆ガールズ みう 【糸魚川一予約の取れないレストラン】※デモ音源再生動画」


“糸魚川ご当地アイドル「ジオ☆ガールズ」の「みう」による待望のソロプロジェクト第ニ弾”という作品らしいのだが、ご覧いただくと分かる通り、どこまでもシンプルな作りの映像、そして激烈にストレートな内容の歌詞、独特の味わいを持つみうさんのボーカル、どこをとっても、普段テレビから流れてくるようなアイドル曲とは違った魅力が溢れているように感じられた。

これは相当変わったレーベルなのではないか……胸がざわつき、とりあえず片っ端から見ていくことにした。マハエレコーズからリリースされている作品は音楽性の幅が広く、前述のようなアイドルサウンドがあったかと思えばこのような感じのものもある。

「マハエレコーズ25 加藤雄一 【糸魚川の夜】」


どこか尾崎豊を連想させるような曲調でしっとり聴かせる。私は「ああ糸魚川 俺の糸魚川の夜」 「みんなでこの糸魚川の夜を焦がせ」というサビが耳について離れず、糸魚川に滞在している間ずっと頭の中でリピートされ続けていた。顔が映りそうで映らない映像も素晴らしい。

かと思えば、「湘南乃風」的な方向性を感じさせるアーティストもいる。
「mahae-records 136 ジェイド・大吉 【糸魚川のライラ・来年の今頃は】」


聴けば聴くほどに正体が分からなくなっていく印象があり、マハエレコーズのことしか考えられない日々が続いた。

家に戻り、買って帰ったCDを改めて聴いてみてもますます謎が深まっていく。


こうなったら直接連絡してみるしかない!と思い、コンタクトを取ってみたところ、マハエレコーズの代表であり、「マハエネマ」という名で自身も音楽活動をしている根間邦雄さんが快くインタビューを受けてくれることになった。

CDも動画もすべて根間さんの手製


早速「マハエレコーズ」の正体に迫っていこう。

――糸魚川駅でCDを買って聴かせていただきました! 聞きたいお話がたくさんあるんですが、まず、「マハエレコーズ」はどのような経緯で立ち上がったレーベルなのでしょうか?

「私は沖縄の出身なのですが、1998年にコシヒカリをつくるため糸魚川市に移住してきました。沖縄県出身ということで、当時は糸魚川市内の色々な場所で沖縄の伝統楽器 “三線(さんしん)”を弾く機会がありました。それを通じて糸魚川の音楽家たちとの交流が始まり、演奏活動が増えていくようになりました。そのような経緯があった上に、2009年、糸魚川に開店したライブカフェのテーマソングに私の作った曲が採用されることになり、それがレーベル設立のきっかけになりました」

――もともと根間さんは沖縄でも音楽活動をされてきたんですね。

「沖縄での学生時代に初めてオリジナル曲を作りました。これまで何もなかったものがカタチになるという、ワクワクするモノづくりの快感を覚えました。それから上京してロックバンドを結成しました。カバーもやりましたが やはりオリジナル志向が強かったように思います」

――糸魚川駅の物産センターで見たCDやYouTubeに上がっていた音源だけでも相当な数があったのですが、現在までに何タイトルぐらいリリースされているんでしょうか?

「2017年7月現在、市販されているもので70タイトルです。他に学校用の非売品として2タイトル、個人依頼分で3タイトルをリリースさせていただいております」

――個人依頼なんかもあったりするのですか!?

「ある時、糸魚川に住む還暦を迎えた女性がオリジナル曲を書いて、それをどうしても形にしたいから協力して欲しいという依頼が私の音楽仲間に寄せられました。女性に鼻歌で『フンフン~』と歌ってもらったメロディーを楽譜化して、その伴奏をもとにアレンジを施してレコーディングしました。『還暦記念の良い思い出になった!』ととても喜んでいただきました。そういった個人的な依頼もいくつかありました」

――しかし70タイトルというとかなりの数ですね。根間さんが作詞作曲されたものも多いのですか?

「70曲の中で、私が『マハエネマ』名義で作詞したものが63曲、作曲したものが67曲です」

――なるほど、ほぼすべてが根間さんの手掛けた楽曲ということなのですね! それもまた興味深いです。ホームページを拝見すると所属アーティストもたくさんいるようだったのですが、どれぐらいの数ですか?

「バンド、もしくはユニットとして数えると17組30名です。しかしながら、コーラスや演奏のみに携わってくれた方もいれば、スポット的にセッションして実演、レコーディングを行ったりもしますので、所属するアーティストは数え切れず、流動的なものです。所属アーティストのほとんどは糸魚川市内でのライブイベントを通して紹介してもらったり、私が交流のあった人たちに声をかけたりした方々です」

――CDのジャケットやYouTubeの動画も、なんというか、すごく手作りの感じが伝わってきてそれが魅力的だと思ったのですがこれは……

「CDジャケットならびにYouTubeにアップした動画は全て私の手製です。基本的に私のスマホで撮影したものです。1年前まではガラケーでした。映像については、PCに付属していたソフトで作りました」

――すごい! 本当に何から何まで根間さんが手掛けているのですね。それにしてはすごく楽曲のジャンルの幅も広いように感じました。マハエレコーズの一押し曲を3つ挙げていただくとしたらどれになりますか?

「特におすすめさせていただく楽曲というと、以下の3つですね」

1.「糸魚川よ永遠に/HINMI」

2.「ベニィドリーム/糸魚川プラッツ」

3.「我が越後/マハエネマ」


――どの曲も、とにかくこれでもかと糸魚川への愛が唄われていて思いの強さが伝わってきます。ちなみに私は「ジオ☆ガールズ」のようなアイドル路線も好きです。

「これまで糸魚川をテーマにした楽曲を約150曲ほど書きましたが、その中にはアイドル向けの楽曲もかなりありました。なかなか歌ってくれる人がいなかった時に『ジオ☆ガールズ』の二人には助けられたのです。ご存知のように、アイドル路線はいろいろな事情が重なると継続が難しくなります。その後『GEO☆25』という別ユニットの『アカリ』へ引き継ぎましたが、シングル4枚で活動が終わってしまったことが残念でなりません。これからもアイドルとして歌ってくれる女性を探し続けたいと思っています」

――「糸魚川の夜」という曲もかなり好きです!

「あの曲は私が糸魚川に来て初めて参加した音楽フェスの感動を書きました。糸魚川の音楽のレベルの高さに驚いた当時のそのままの気持ちです」

――ちなみにマハエレコーズのCDはどこで購入することができるんですか? 物産センター以外でも販売されているんでしょうか。

「現在は、JR糸魚川駅前のヒスイ王国館内『糸魚川観光物産センター』と、『道の駅 マリンドリーム能生 本館売店』の2カ所と、ライブ会場で出演ミュージシャンの作品を販売しています」

――ライブイベントも開催しているんですね

「CDの取扱店でもある『道の駅 マリンドリーム能生』で、不定期ですがライブイベントを企画、開催しております。現在までに21回開催しました」

――今後の活動予定や展望を教えてください!

「これからも糸魚川市内のアーティスト仲間を増やしてライブイベントを実施しながら、糸魚川を紹介できる楽曲や映像を制作して公開していきたいと思います。歌唱者がいれば まだまだ世に出したい曲はたくさんありますので、時期を待ち、それまでさらなる精進を続けてまいります」

――ありがとうございました!

糸魚川市に縁が無い方にとっては「マハエレコーズ」の存在を知ること自体がなかなか難しいことかもしれない。当の私もそうであった。しかし、こうしてレーベルオーナーの根間さんの話を伺ってみて、自分の頭の中に、糸魚川市の景色と重なるように「ああ、あの場所で今も糸魚川の歌が作られているんだな」という確かなイメージが生まれた気がする。

「マハエレコーズ」の他にも、世の中には自分が知らないご当地レーベルが無数に存在するに違いない。そう思うと「早く探さなくては!」とソワソワしてくるのであった。
(スズキナオ)

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