「すぐ治療を開始しろ、数分で死ぬ」
ドクターヘリにたった一人の医師として、緊急度の高い少女の命を任されたフェローの横峯(荒木優子)。救急車から指示を出す藍沢(山下智久)。

現場では厳しく、でも後からさりげなくフォローを入れる藍沢の愛情がかっこよかった。
「コード・ブルー」2話。ガッキーが母で山Pが父のようだ
イラスト/Morimori no moRi

「コード・ブルー」第2話


「親の心子知らず」を軸にストーリーが展開した「コード・ブルー」(月曜夜9時/フジテレビ系)第2話。
深刻な人材不足にあえぐ救急センターで、ちょっと…いや、だいぶ力不足なフェローを育てるベテラン医師たちの苦悩、そして救急搬送されてきた17歳の妊婦とその実父との確執が描かれた。

ガッキー(新垣結衣)演じる白石も、2ndでは内科医の父から「戻ってこい」という意向に背く形で救命医の道を選んだ。いま救命のリーダーとしてフェローたちの面倒を見る姿は、厳しさと細やかな気遣いを持った母のような強さがある。
一方、フェローに対する言い方がキツすぎると白石から注意を受ける藍沢。「ここには練習台になる患者がたくさんいる」あえてその言葉を選んでいるのか? 横峯は「ひどい!人の命をなんだと思って…」と泣き出した。
言い方ひとつ、細かなところにも気を回す白石が母なら、藍沢はぶっきらぼうな父のよう。

黒田イズムを受け継ぐ藍沢


練習台ですらうまくできなかった処置を、急行した現場で行わざるをえなくなった横峯。同行した藍沢が突き放すようにして仕向けた。初見からヘリに乗せる患者の優先順位、指示出し、処置のすべてを横峯に任せた。

「もしうまくできなかったら…」
容体が悪化する患者を前にうろたえた横峯が、遠隔で藍沢にヘルプを出すと、
「患者を救いたくて(練習を)やってたんじゃないのか。お前は医者だ。目の前の7歳の少女の命を救え」
1stシーズンで藍沢たちがフェローだった頃に、厳しく鍛えてくれた黒田先生(柳葉敏郎)の教えそのもの。
黒田イズムは健在だ。
「わかりました、やります」
汗でメイクが落ちた顔、目に力が入った横峯。

処置が落ち着いてから藍沢は横峯に、「下手くそ」とダメだしをしつつも最後に「よくやった」とフォローを入れた。人命第一で厳しい言葉を浴びてからの褒め言葉は嬉しい。これは惚れる。
藍沢は感情を表に出さないので、一見冷徹そうに見えるが、本当は情に厚い人。口数が少ない中で細やかな表情をする山Pの演技が、藍沢の役にはまっている。

藍沢のクールさは相変わらずだけど、3ndシーズンに入ってからは黒田先生が憑依したみたいに貫禄が出てきた。

冴島の妊娠が発覚、どうする藤川


1話で、同棲中の冴島(比嘉愛未)の妊娠を偶然知ってしまった藤川。自分に話してくれないことを気にかけながらも、嬉しそうに冴島に聞くと「まだ産むかどうか決めてない」。
同期にその悩みを打ち明ければ、緋山(戸田恵梨香)からは「あんたの子どもじゃないんじゃん」。相変わらずきっついなぁ。

そもそも人に話すこと自体、デリカシーに欠けると白石からも責められる始末。同期は言いたい放題だ。藍沢に至っては二人の関係すら知らなかった……。
なんだか藤川がかわいそうである。

産むかどうかを決めていない冴島が意外だった。命の現場にいても、自分のこととなると話は別か。「仕事が面白くなってきた」と言っていたので、2ndシーズンで彼との死別を乗り越え、ドクターナースとしてのキャリアを積み、後輩もできてと働き盛り。自分の積み上げてきたキャリアが一旦ストップすることに対して、気持ちの折り合いがついていないだけなのか。すんなりと産む決心をしないところが意外だった。

3話の予告では、救急で駆けつけた現場で毒ガスを吸ってしまったようで、冴島の容体が気がかりだ。
今回のフライトでちょっと成長した横峯の同期、ヘリに揺られて乗り物酔いをしてしまう灰谷(成田凌)、面倒な処置から逃げたり適当な診断をしたりする名取(有岡大貴)、フェローたちの問題もまだまだ出てきそうで、いやな予感しかしない。

(柚月裕実 イラスト/Morimori no moRi
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