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CIAにスパイ容疑をかけられ…太平洋戦争の映画を撮った米国出身監督の数奇な半生

CIAにスパイ容疑をかけられ…太平洋戦争の映画を撮った米国出身監督の数奇な半生
ロジャー・パルバース監督。小説家、劇作家、演出家、映画監督。72歳にして『STAR SAND ─星砂物語─』で映画監督デビュー。脚本も自ら日本語で書いている。

僕らの知らない戦争のリアリティー


8月に入ると広島、長崎の原爆の日、そして終戦記念日と、戦争について考えさせられる日が続く。戦争なんて遠い世界のことだと思う人もいれば、緊迫した世界情勢を受けて対岸の火事とは思えないという人もいるかもしれない。いずれにせよ、戦争を知らない僕らが今一度そのリアリティーについて考えてみることときちっと向き合うことも必要だろう。

その絶好の機会を与えてくれる映画『STAR SAND ─星砂物語─』が8月4日(金)から公開される。
沖縄の戦火から離れた島を舞台にしたこの映画を撮ったのはロジャー・パルバース監督。オーストラリア人であるパルバースが、なぜ太平洋戦争の映画を撮ったのだろうか?

事実は小説より奇なりとよく言われるが、本作の公開にまで至るパルバースの半生は凡百の映画よりも奇なるものだった。
CIAにスパイ容疑をかけられ…太平洋戦争の映画を撮った米国出身監督の数奇な半生
『STAR SAND ─星砂物語─』。8/4~10まで、渋谷ユーロライブにて公開。


CIAにスパイ容疑をかけられ新聞の1面に


1957年10月4日、人類初の人工衛星がソ連によって打ち上げられ、アメリカを始めとする西側諸国がショックとパニックに陥っている中、パルバース少年はロサンゼルスの街から上空数百キロで周回を続けるその衛星にロマンを抱いていた。

少年の宇宙に対するロマンはそれを打ち上げた国へも向かった。青年となりUCLAを卒業するとハーバードの大学院へ行きロシア語とソビエト近代史を学び、ソ連を訪れるようになった。

当時のアメリカ人としては珍しいソ連のスペシャリストとなりつつあったパルバースは、ポスドク(非常勤の研究員)のために渡ったポーランドでとんでもない事件に巻き込まれる。

「CIAから濡れ衣を着せられ、スパイの嫌疑をかけられLAタイムズの1面に大々的に報じられたのです」(パルバース)


ベトナム戦争を避け、日本へ


パルバース青年は冷戦という圧倒的な現実に飲み込まれる。スパイの嫌疑をかけられもはやポーランドにいられなくなったものの、祖国アメリカに帰れば当時戦火が激化していたベトナム戦争にすぐにでも徴兵されかねない状況だった。

見も知らぬ罪のないベトナム人を殺さなければいけないというのは、最もロマンティックでない行為だった。

行き場を失ったパルバースは気づけば縁もゆかりもない極東の地に降り立っていた。言葉もまったくわからぬその地に降り立ったその日、パルバースは不思議な感覚に襲われたという。

「1967年の9月に羽田空港に降り立って、目黒にあるホテルに向かうタクシーの窓から見る黄昏の東京の景色を見ながら、『僕はこの国に一生住むんだ』と独り言ちたんです」

その予感は的中し、以後パルバースは今日に至るまで日本を主要な活動の拠点とする。

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