第18週「大丈夫、きっと」第107回 8月4日(金)放送より。
脚本:岡田惠和 演出:田中 正

連続朝ドラレビュー 「ひよっこ」107話はこんな話
美代子(木村佳乃)とみね子(有村架純)と実(沢村一樹)は蕎麦屋に入り、何を食べるか迷った結果・・・。
うまいきつね蕎麦
注文から蕎麦が届くまでの間、記憶喪失の父と2年半ぶりに食卓を囲んだ妻と娘の3人が、それぞれ気を使い、楽しい方向に持っていこうと努め、その甲斐あって、笑顔で心がほぐれていくところまでの15分。
とても美しくまとまった15分だった。
お品書きを見ながら、昔、きつねに似ているとかからわれたことがあると言い出す美代子。その相手はどうやら実らしいことが、美代子の表情でわかる。
美代子が、みね子はたぬきに似ているからたぬき蕎麦と言って、むくれるみね子に、「おかめ蕎麦は・・・」と言い出す実。
美代子をきつねに似ているとからかった時の実のユーモアは、記憶を失っても健在のようだ。
反撃するみね子。父はらくだとかウマとかに似てると言い、実はそれを受けて「うまいきつね蕎麦を3つ」と注文。実、ドラマの初期、出ていた時、そんなに笑いのセンス、良かったっけ?
仲の良い親子3人に見えるのに・・・。でも、世津子邸での出来事に今一度、ちゃんと向き合わなくてはならない3人。
美代子は、実も、世津子も、悪くないと言う。
「私、こわかったですか?」と心配し、いつもはそうでないと弁解し、正直に、世津子という上等そうな女や、贅沢な家から、実を強引に引き離してしまったことを気に病む。
そして、やっぱりこのまま奥茨城村に連れて帰らず、実に考える猶予を与えることにするのだった。
ドロドロ展開を引っぱらず、さっと爽やかな流れに。
いつもなら、脚本を書こうと思っている人は見倣って!と書くところだが、今回は、大事な人と喧嘩した時は、
美代子を見倣って! あくまで、相手の状況や気持ちを優先する構えが、円満を生む。怒ったり、自分の気持ちを押し通したりしたら、負けと心得よう。でも、こうされたらやだ(悲しい)という気持ちは、ちゃんと伝えること。
そんな、よくできたひと・美代子に、店員が茨城訛だったのも手伝ったのか、「わかりました」とちょっとなまってしまう実。
そもそも、世津子の家にいた時も、訛っていたのだろう。そうでなければ、世津子は、みね子と初めて会った時や車の中で、方言を気にしてないだろう。もしかしたら、女優たるもの、いろんな方言を身につけておきたいという職人気質もあるのかもしれないが(バー月時計の邦子のように)。
さて、いつもならほのぼの土曜日だが、今週はどうなる?
なににせよ、みね子、実、美代子(3人とも“み”がついてる)が一緒にいると、ホッとする。
(木俣冬)