1990年代末期、奇抜なカラフルファッションと強烈なキャラクターで「シノラー」ブームを巻き起こした篠原ともえ。

2000年代に入り、一時は露出が減ったが、2010年代には再びバラエティ番組などへの出演が増えた。

当時のぶっとんだイメージからは一新、すっかり美人なお姉さんタイプへと変身した篠原は現在、得意の衣装デザインや天文学の分野でも存在感を発揮しているようだ。

最近では90年代ブームの影響もあってか、当時の「シノラー」ファッションが引き合いに出されることも多い。

「ウルトラリラックス」が主題歌だったアニメ


そんな篠原は、1995年、石野卓球プロデュースでデビュー。デビュー曲は、「篠原ともえ+石野卓球」名義のシングル「チャイム」だった。
そして1997年、石野卓球プロデュースとしては最後のシングルとなったのが、「ウルトラリラックス」という楽曲だった。

この曲は、テレビアニメ「こどものおもちゃ」のオープニングテーマ(45話〜102話)でもあった。
ちなみにこのアニメ、1話から44話までのオープニングテーマはTOKIOの「19時のニュース」だったが、この時代はTOKIOのアニメ主題歌のタイアップも多かったようだ。

「こどものおもちゃ」が描いた社会問題


このアニメ「こどものおもちゃ」は、少女漫画雑誌『りぼん』(集英社)にて1994年から1998年まで連載されていた、小花美穂による人気漫画を原作にしたもの。
女子小学生が読む雑誌だったにもかかわらず、学級崩壊、少年犯罪、家庭崩壊、マスコミの闇など、深い社会問題を「こども」の視点から描くというセンセーショナルな内容だった。

ヒロインは、人気子役タレントの小学生・倉田紗南。実は壮絶な生い立ちをもつ紗南とクラスの問題児・羽山秋人を中心とした、学園物語でもありラブストーリーでもあり、社会派漫画でもある作品だ。

ヒロインの紗南は人気子役タレントだが、産まれてすぐに実の母親に捨てられた過去を持ち、養母である作家の実紗子に育てられた少女。一方、秋人は自分が産まれたときに母親が亡くなったのが原因で、姉からのひどい仕打ちを受け続けている。

個性的なキャラクターたちとコミカルな演出に彩られつつも、決して「こども騙し」ではない、親子の愛憎や恋愛の真実に切り込むような鋭い名セリフの数々。
未だに覚えている読者も多いのではないだろうか。
ちなみに、原作に登場する「中絶」というセリフがアニメ版でカットされるなど、改変されている箇所も多々あるが、原作のテーマは健在だった。

篠原ともえも本人役で登場


このように、ときにシリアスな側面も見せるアニメだが、そのオープニングを飾ったのが篠原ともえの「ウルトラリラックス」だ。テクノサウンドにナンセンスな歌詞がシノラーっぽい曲だが、登場人物たちが曲に合わせて踊るというオープニングで、アニメに子ども向けらしいコミカルなポップさを添えている。
さらに篠原ともえ自身もこのアニメに本人役で登場していて、そのぶっとんだレポーター役はちょい役ながらも印象に強く残るシーンだったはず(オープニングテーマの冒頭にも篠原と思われるキャラの度アップが登場する)。

さまざまな家族や性の在り方が話題に挙がる昨今、「こどものおもちゃ」をもう一度観直してみると、「おとな」にも気付きがたくさんあるのではないだろうか。
(空町餡子)

※文中の画像はamazonよりウルトラ リラックス
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