
僕たちがやりました編スタート!
市橋(新田真剣佑)の自殺を目の当たりにし、罪の重さを再認識したトビオ(窪田正孝)は、自首する決意を固める。マル(葉山奨之)、伊佐美(間宮祥太朗)に部室に集まるよう久しぶりに呼びかけると、2人はすでに部室で待っていた。
伊佐美は、今宵(川栄李奈)のお腹にいる子供のために罪を償いたい、マルは爆破事件を経て友情の大切にき気付いた、そしてパイセンは父親の輪島(古田新太)に自分の存在意義を証明するため、それぞれがそれぞれの理由で自首を決意した。
しかし、普通に自首をしたのでは闇社会の首領である輪島に揉み消されてしまう。そこで、揉み消されないほど大々的に発表するため作戦会議を始める。そして決行日の前日、4人は思い思いの夜を過ごす。
ここだけで1話分くらいイケそう
伊佐美は、家の前で今宵が出てくるのを待っていた。おそらく自首を決意した日から毎日来ているのだろう。そしてこの日、ようやく今宵は顔を出す。冷たく伊佐美をあしらい、部屋に戻ろうとする今宵に伊佐美は、言葉を投げかける。
「子供触らせてくれ!」
うおぉ、最後に気持ちを伝えるとか、謝りたいとか、自首への決意を表明するとか、そっち系かと思っていたのに、まさか伊佐美が父親としての自覚を持っていたなんて思わなかった。SEXと遊ぶことしか考えていないと思われた伊佐美は、すでに次の段階に眼を向けてたのだ。
パイセンはマルと風俗で童貞を捨てた後、菜摘先生(水川あさみ)を呼び出した。
だがそれでも思いを伝えなかったのは、パイセンにとって自首が、理由は違えど輪島を共通の敵として認識している菜摘先生の敵討ちという意味が込められていたからだろう。それが告白よりも、菜摘先生のために出来る事だと考えたのだ。
マルだけは変わらない。偶然再会したキャバ嬢のうらら(おのののか)にまたしても騙され、パイセンに貰った金を使い込んでしまう。しかしマルは、相思相愛と思い込んだまま、「もうこないよ俺」と別れを告げた。
勘違いしたまま、調子に乗ったまま、翌日に自首するという自分の意思を貫いたのだ。うららからすれば、鬱陶しいことこの上ないが、それでもこの瞬間のマルは男らしかった。ずっと最低野郎だったマルが、己を否定しないままで、精一杯カッコ付けてくれたのがスゴく嬉しい。
トビオは、大好きな蓮子(永野芽郁)と過ごし、別れを告げた。「別れよう。もう一生会いたくない」。
もうこんなの33歳男の僕でさえ涙腺がグッてなったのに、バリバリ恋愛をしている女子高生なんかはどんな気持ちで見てたのだろう?視聴率はたった6.2%だが、その6.2%はもれなく泣いてるだろこれ。
この4人の前夜エピソードだけで1話イケるだろという濃密さ、それがたったの十数分間で展開されるのだからスピード感がスゴイ。次々に重要なシーン、重要なセリフが展開していく。そのスピード感のまま、ラストの作戦は決行され、「僕たちがやりました!!」のタイトルバック、最終回かと勘違いしそうになる。
倫理観がぶっこわれる
トビオ達は、自首作戦決行中すごく生き生きとした表情を見せていた。時折ジョークを交えながら、意味のない英語を交えながら、4人らしく笑いながら作戦を進めていった。唯一残された自由である自首を目一杯楽しんだ。
だが、トビオ達がしたことは殺人であり、罪を償うためとはいえ、冷静に考えるとこのテンションはいただけない。被害者遺族がこの様子を見たらどう思うのだろう?すごくすごくデリカシーのない行為だ。普通に自首しても揉み消されてしまうのはわかるが、これは絶対に悪手だ。
にも関わらず、「イケートビオー!やっちまえー!」という気持ちにさせられる。絶対に悪いのに、トビオ達が1話から見させられた地獄と、死ぬ覚悟を持ったことを考えると、どうしても応援したくなるし爽快な気分になってしまう。
おそらく、このドラマが大好きで1話からずっと見続けた筆者は、一般的な倫理観をぶっ壊されてしまったのだ。何が正しくて何が悪いかなんてどうでもよくなってしまう。おそらく、あらすじだけ聞いてこの回だけを観ていたら、絶対に嫌悪感を抱いていたに違いない。
今夜放送の最終回は、どうやら原作を越えるラストが用意されているらしい。最後の最後で輪島の部下達らしき覆面男に自首を邪魔されてしまったトビオ達は、一体どうやって罪を償うのだろう?楽しみでしょうがない。
(沢野奈津夫)