このように不倫にはさまざまなリスクがあるが、映画やドラマになると時には美化され、純愛として描かれることもある。10年以上も前になるが、ジャニーズの人気タレント2人も、映画の中で年上女性との不倫を経験している。
孤独でおとなしい大学生、岡田准一が人妻と恋に落ちる
2005年1月に公開された映画「東京タワー」は、大学生の透(岡田准一)・同級生の耕二(松本潤)の2人の少年と、年上の既婚者、2組の不倫関係とその顛末を描いている。
透は、母親の友人で青山の一等地でセレクトショップを経営する人妻、詩史(黒木瞳)と出会い、互いに惹かれ合う。母子家庭に育ち物静かで孤独を愛する透は、部屋で詩史の好きな音楽を聴き、好きな本を読みながら誘いの電話をひたすら待つ。
映画の冒頭で透は「恋はするものじゃなくて落ちるもの」と語るように、まさに落ちていくのだ。
恋愛に奔放な松本潤、平凡な主婦がと不倫関係に
一方、透の友人である耕二は、駐車場のバイトで知り合った主婦、喜美子(寺島しのぶ)と不倫関係に。
耕二は透とは違って恋愛に対して奔放でプレイボーイタイプ。同級生の母親と関係をもったことを同級生に見られて、家庭を崩壊させた過去の傷を抱えている。
喜美子は横暴な夫(宮迫博之)とクセのある姑と暮らす一見平凡な主婦だが、耕二にのめりこみ、夫を嫌悪するようになる。
濃厚で激しいラブシーンの連続だった
岡田准一は当時24歳、2003年に「木更津キャッツアイ 日本シリーズ」で映画初主演を果たしたばかり。しかも、本格的なラブストーリーは初めて。
当時の岡田は線の細い文系、草食系男子のイメージがあった。
一方、松本潤は当時22歳、まだ少年の青臭さが残る野性的な肉食系男子。
冒頭からラストシーンまで、透と詩史、耕二と喜美子のラブシーンは繰り返し出てくる。「よく事務所が許したな」と思うほど、いろいろなシチュエーションで何度も繰り返されるラブシーンは美しく、激しく、濃厚だ。
2人とも贅肉のない鍛えられた身体に若々しい肌で、表情や仕草もうっとりするような美しさ。「彼らなら私も不倫したい」と妄想にひたる女性も少なくないはず。
やがて透と詩史の関係は、透の母・詩史の夫にばれて修羅場となるが、その後、詩史は夫と別れて透の留学先へ追いかける。
耕二は喜美子に一方的に別れを告げられピリオドをうつ。
原作は、直木賞作家・江國香織の同名小説。東京タワーを望む部屋で展開される不倫映画だが、主要キャストの美しさはもちろん、東京の1年の景色や映像、音楽までも美しく描かれていた。そのため、ドロドロした不倫映画の印象は薄かった。
(佐藤ジェニー)
※文中の画像はamazonより東京タワー プレミアム・エディション [DVD]