90年代の迷走も今や遠い昔か。半年足らずで番組変更が定番だったあのころ。あまりのドタバタぶりに、見ているこちらがヒヤヒヤしたものである。
悲劇は山田邦子から始まった!?
TBS系昼時間帯の迷走と短命のリレー。その原点は、95年春から始まった『山田邦子のしあわせにしてよ』にあった。
当時は、フジテレビ系『笑っていいとも』と日本テレビ系『午後は○○(まるまる)おもいッきりテレビ』の2強時代。
この牙城を崩すべく、TBSは88年から95年までNHK「好きなタレント調査」において8年連続で1位をキープしていた山田邦子を投入したのだが、これが失策となってしまう。

それまでの露出過多がたたって、そのタレント価値はすでに賞味期限切れ間近だったのだ。
そこにダメ押しとなった、平日帯番組の顔というさらなる露出。視聴者は完全に食傷気味であり、当然視聴率はふるわない。
しかも、恋愛スキャンダルを始め週刊誌のバッシングが始まってしまうのだから、あまりにもタイミングが悪かった。
低空飛行のまま2年間は続いたが、結果として山田自体の好感度は暴落。第一線から退く形になったのだから、あまりにも皮肉な番組タイトルであった。
不吉なスタート! 元巨人・宮本司会の番組は視聴率1.4%を記録
この後を受け、97年春に始まったのが『ちょっと言わせて』だ。
この1年前、テレビ朝日系が現在まで続く『ワイドスクランブル』をスタート。司会は水前寺清子という意外なキャスティングだったが、これを意識したのか、同世代のうつみ宮土理を起用している。
しかし、大きな話題にはならずに半年で『黄金のレシピ』に変更。契約上の問題だったのか、うつみが司会を続投したが、これまた半年で終了となっている。
そして、98年春からは『宮本和知の熱血!昼休み』が始まる。
巨人を引退して間もなくの起用だったが、タイトルも含め、一体どんな視聴者を想定していたのだろうか……。
ウィキペディアには、「初回では宮本が投げるボールがストライクになってから番組がスタートすることになっていたが、思うようにストライクが入らず、ボールがテレビカメラに直撃してのスタートとなった」とある。

波乱の幕開けが暗示したように、この番組は視聴率1.4%という当時のワーストを記録。テレ東の時代劇の再放送にも負けたというから笑えない。冠番組にも関わらず、途中から宮本自身は拍手するだけの飾りとなり、麻丘めぐみの旅番組となってしまうのであった。
こちらも結局半年で終了したが、本当のドン底はこの先に待っていたのである。
起死回生のクイズ番組だったが……視聴率はまさかの0.9%!
98年秋、今度は『おサイフいっぱいクイズ!QQQのQ』がスタート。
70年代から80年代初頭にかけて、この時間帯は素人参加型のクイズ番組だったが、その再来を狙ったのだろうか。
上岡はすでに芸能界引退を表明していたが、その決断にダメ押ししてしまうだけの惨敗である。
この番組は生放送に見せかけた録画式であり、しかも5本まとめて収録されていたという。その投げやりな姿勢が画面越しに伝わってしまっていたのだろうか。

結局、わずか3ヶ月での打ち切り。最終回では、最後のボーナスゲームに2組4名の出場者が参加したが、全員が失敗。「あぁ~!あかんかったかぁ~っ!!」と絶叫した笑瓶のコメントがすべてを表すかのような、最後まで締まらない番組であった。
ついに出た! 視聴率は測定不能の「0%」
99年1月から仕切り直したのが『マダムんむん』。……こんなタイトルでイケると思ったTBSはどうかしてたとしか思えない。
毎回「熟女女優(マダム)」をゲストに招き、視聴者の相談に乗るのがメイン企画だったが、これは『おもいッきりテレビ』の名物コーナー「ちょっと聞いてョ!おもいッきり生電話」を意識したものと思われる。
ネタ切れか、テコ入れなのか、途中からは男性芸能人もゲストになったが、視聴率はまさかの測定不能(事実上の0%)を記録!
同年8月末を持って、誰も惜しまない打ち切りを迎えるのであった。
宮本の悲劇再び! 今度の失敗は長嶋一茂
99年9月から00年春までは、立川志の輔司会の『スーパー知恵MON』。
明らかに、同じく志の輔司会の『ためしてガッテン』の二番煎じである。
この後は、福留功男司会の『ベストタイム』で少し息を吹き返し、4年間に渡って検討したが、この後を受けた04年春からの『はぴひる!』で再び撃沈してしまう。
視聴率は1~2%を推移し、テコ入れしても3~4%がやっと。半年足らずの打ち切りだ。
ちなみに、司会は長嶋一茂。宮本の失敗は生かされなかったようである。
04年秋から05年春にかけての半年間は『マル特情報とってもインサイト』。続いて06年秋までの1年半は『きょう発プラス!』だったが、これらの司会は恵俊彰。ある意味、『ひるおび!』の試用期間といえるだろう。
そして、福澤朗司会の『ピンポン!』が09年春までの3年半で現在の下地を作り、現在の『ひるおび!』黄金時代を迎えるのである。
捏造だ、偏向報道だ、と炎上も多い『ひるおび!』だが、言われている内が華。視聴者のジャッジは思った以上にシビアなのである。
※文中の画像はamazonよりこんなはずじゃなかった
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※文中の画像はamazonより上岡龍太郎 話芸一代