土曜ナイトドラマ「オトナ高校」(テレビ朝日 土 よる23時5分〜)
脚本:橋本裕志 
演出:瑠東東一郎 山本大輔  
出演:三浦春馬 高橋克実 竜星涼 松井愛莉 山田真歩 夕輝壽太 杉本哲太 正名僕蔵 黒木メイサ
第3話 10月28日(土)放送 
「オトナ高校」3話。チェリートなのに百人斬りの濡れ衣を着せられる三浦春馬
「オトナ高校」3話より(テレビ朝日)

4話では、SNS連動企画が


11月4日(土)、第4話の放送中、主演の三浦春馬とスタッフが、Twitterのドラマ公式アカウント宛の質問にリアルタイムで回答する企画「リアルタイムツイート祭り」が行われる。
番組の内容的に、きわどい質問などもあるだろうか。
楽しく盛り上がりそうな4話を前に、3話を振り返っておこう。


3話めにして、チェリートが女の子といい感じに


勉強や仕事はできるが、恋愛下手で、30歳過ぎても未経験という不器用なオトナたち(やらみそ)が、“オトナ高校”という、少子化を阻むための国家規模のシステムのもとで教育されていく日々を描く、異色の学園コメディー「オトナ高校」。

本来笑い事ではない少子化問題を、頭を空っぽにして肩の力を抜きまくって笑い飛ばせるドラマとはいえ、だからこそ毎回レビューを書くほどでもないような気がしていたが、気づくと3話め。
ただただ、主人公の三浦春馬が演じるエリートくん(チェリート)の、天まで高いプライドが、とことん低いところに突き落とされる、その飛距離の鮮やかさを書き留めておきたくて、レビューを続けている。

彼のあたふた具合がツボって仕方ない。よく表情や動きに引き出しがあるなあと関心。3話では、まさに棒のように気をつけの姿勢で固まってしまう身体や、出る幕がなくビールをグビグビ飲み続けている表情がうまくハマっていた。
だが、さすがに毎回、恋愛がうまくいかずに屈辱を受けるみたいなパターンだと飽きるかと思っていたが、少しだけ話が進んだ。
チェリートの卒業の可能性に光が灯ったのだ。

オトナ高校生活3週目、3人が卒業した。
残された者たちをダメ扱いするペガサス先生(竜星涼)が課した、今回の体験学習は「恋人代行サービス」で、サービスする側にまわること。
そのサービスは、エッチなお店にギリギリならないやつ。肉体的なサービスなし(添い寝も耳かきもNG)で、
手つなぎと腕組みはOK。
オトナ高校の生徒たちは、写真に修正をかけて(パネルマジック的なやつ)、偽名で登録し、異性が自分たちを選んでくれるのを待つ。

みごとに選ばれたチェリートだったが、その相手・遥香(松井玲奈)は、幼馴染だった。

ここで、チェリートがなぜ30過ぎても未経験なのか洞察できる


子供の頃、チェリートはとっても太っていて、女の子にいいようにあしらわれていた。
遥香にはコンパスで背中を刺された苦い思い出が。
過去にコンプレックスを抱えながら、あるときがらりとイメチェンした人間には、どんなにかっこよくなっても、過去のトラウマを忘れられないことがある。
背が高くてイケメンなのに、なぜか自信なさそうにしている人は、よくよく聞けば、子供のとき、クラスで一番背が低かったとか、太っていたとか身体的なコンプレックスをもっているなんてことがあるのだ(少なくとも私はそういう人を知っている)。
チェリートが、恋人がいないこと以外、申し分ないのに、なぜ、ソコだけ(もともと興味ないわけでなく、興味津々なのに)うまくいかないか、その謎は、彼の過去に成功体験を積んでいなかったと考えていいと思う。
そうすると、いまの成功体験にやたら執着することにも納得だ。

では、ヤルデンテの場合は?


目下ヒミコ(山田真歩)にロックオンされているヤルデンテ(夕輝壽太)が未経験なのも謎だ。
仲間思いで、性格はいいし、気が利くし、スポーツ万能で、女の子にもモテているにもかかわらず、なぜ? 
そのわけを探ろうと、家庭訪問が行われる。
どうやら、女きょうだいばかりだった反動か、男とつるむほうが楽しいらしい。チェリートとサショー(高橋克実)と飲んでいるときは、すごく楽しそうだから。
だが、これ、ヤルデンテはLGBTではないか、という伏線のようにも見える。
3話のクライマックス、チェリートが、ありのままに弱みを晒す「ありのままに作戦」によって、遥香とうまくいきかけたとき、遥香のケータイに、チェリートは百人斬りというまったくの濡れ衣メールが届いて、ふりだしに戻ってしまう。姫谷さくら先生(松井愛莉)が、邪魔してるんじゃないかと思えば、違うらしく、ヒミコか、ヤルデンテか、スペア(黒木メイサ)か・・・という疑惑を残して、4話につづくとなった。

もっとも、犯人がヤルデンテではあまりにわかりやすいので、ミスリードという可能性もある。

こういうライトな仕掛けで揺さぶりつつ、このまま、このオトナ高校が単なる少子化対策ではなく、物凄く巨大な国家プロジェクトで、チェリートたちが陰謀に巻き込まれていく、みたいな壮大な話になったらいいのに。

と妄想の翼を大きく広げていたら、第4話は、嘘メールの犯人の謎も引っ張りつつ、1泊2日の合宿研修旅行。混浴もあるでよー。というふうに、順調にオトナの卒業もののようだ。

三浦春馬の「リアルタイムツイート祭り」も楽しみだが、ドラマの公式サイトには、赤い太字で、「※日本シリーズ中継延長の場合、放送時間の変更または休止の可能性があります。」という不穏なお知らせが。どうなる「オトナ高校」、そして三浦春馬。

オトナの授業


オトナ高校の授業は、オトナの現代国語、オトナの数学、オトナの保健体育、オトナの地理、オトナの科学、オトナの音楽・・・とあって、こういうのをまとめた、おもしろ本が出せそうですね。
(木俣冬)
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