「土8」。フジテレビが、この枠に特別な思い入れを持っているのは間違いありません。

なぜならかつて『オレたちひょうきん族』が放送されていた枠であり、現在は、来年3月での終了が決まっている『めちゃ×2イケてる』の枠だからです。

『ひょうきん族』は80年代、TBSの同枠に君臨していた『8時だョ!全員集合』との視聴率争いを制し、「バラエティのフジ」の礎を築いた、ある意味で創造主的番組。『めちゃイケ』は「楽しくなければテレビじゃない」の精神性を受け継ぎ、90年代後半から00年代前半までのフジを盛り上げた、いわば中興の祖。
異なる時代を代表する2つのバラエティを輩出した枠として、今後も語り継がれていくのは間違いありません。
『ひょうきん族』『めちゃイケ』の間に放送していたフジテレビ土曜8時の番組を調べてみた!
『オレたちひょうきん族』※写真はAmazonより

しかし、この『ひょうきん族』と『めちゃイケ』の間に何が放送されていたのか、『めちゃイケ』があまりに長期政権を築いていたがために、思い出せないという方も多いのではないでしょうか?そこで今回、両番組の間に放送されていた番組には、いったいどんなものがあったのかを調べてみました。

「あいつがトラブル」(1989年12月2日~1990年3月24日)


『全員集合』を討ち果たした『ひょうきん族』でしたが、次なる刺客『加トちゃんケンちゃんごきげんテレビ』には歯が立たず、89年3月、あえなく放送終了。「土8」の覇権は再びTBSのものとなりました。


あまりにも強力だった『加トケン』と真っ向勝負することを避けたいフジは、同枠で実に8年ぶりとなる連続ドラマの放送を決意。萩原健一と南野陽子の凸凹コンビによるオシャレでファッショナブルな刑事モノ『あいつがトラブル』で、TBSが取りこぼしているであろう視聴者層の獲得を狙います。
しかし、視聴率は末期の『ひょうきん族』と大して変わらず。さしたるインパクトを残せぬまま終了し、人々の記憶から消えていったのでした。

「ザ・ウォッチング!!」(1990年4月~1990年9月)


やっぱりフジの土8といえば、バラエティ……ということで、連ドラ路線は早々に諦めて、『スターどっきりマル秘報告』の姉妹番組であり、度々特番が放送されていた『いたずらウォッチング』のレギュラー版『ザ・ウォッチング!!』がスタートします。

司会は『ひょうきん族』にも出演していた、島田紳助と井森美幸。しかし、かなりの頻度で巨人戦に差し替えられるという散々な扱いを受け、わずか半年で終了してしまいます。

『ひょうきん族』『めちゃイケ』の間に放送していたフジテレビ土曜8時の番組を調べてみた!
ライバルだった裏番組の『加トちゃんケンちゃんごきげんテレビ』※写真はAmazonより

「ウッチャンナンチャンのやるならやらねば!」(1990年10月~1993年6月)


とんねるず・ダウンタウンらと共に、お笑い第3世代として頭角を現していたウッチャンナンチャンを起用した『やるやら』。
人気キャラと名物コーナーを次々と生み出し、『加トケン』、『マジカル頭脳パワー!!』(日本テレビ系)、『暴れん坊将軍』(テレビ朝日系)と、強力な裏番組がひしめき合う当時の土曜20時台においても、好調な視聴率をマークし続けました。

しかし、1993年6月24日。収録中の事故で、ゲスト出演していた香港のロックバンド「BEYOND」のメンバー・黄家駒(ウォン・カークイ)が還らぬ人に。この一件を重く見たフジテレビは、同年7月1日、番組の打ち切りを発表。
この不祥事さえなければ、『やるやら』が今日の『めちゃイケ』のように、フジの土8に長期間鎮座する、同枠の象徴的番組の一つになっていたかも知れません。

「ボクたちのドラマシリーズ」(1993年10月~1994年3月)


『やるやら』が緊急打ち切りになってからの4ヶ月間は、スポーツ中継やスペシャル番組などで穴埋めをし、その後1993年10月からは『ボクたちのドラマシリーズ』と題した5~6話で完結する若年層向けのドラマシリーズを放送。
『ひょうきん族』『めちゃイケ』の間に放送していたフジテレビ土曜8時の番組を調べてみた!
『白鳥麗子でございます!』※写真はAmazonより

『白鳥麗子でございます!』『幕末高校生』などキャッチーなコンテンツを次々とドラマ化して安定した人気を博し、番組終了後には東映配給の映画『ぼくたちの映画シリーズ』(1995年)へと発展していきました。


「ゴールデンタイム」(1994年4月~1994年9月)


土8には珍しいクイズ番組だった『ゴールデンタイム』。毎週、テレビ・新聞・週刊誌など、当時のマス・メディアに関するさまざまなテーマをクイズ形式で紹介する番組であり、司会は上岡龍太郎と松本明子がつとめていました。

「学校では教えてくれないこと!!」(1994年11月~1995年9月)


『ひょうきん族』~『めちゃイケ』の谷間期間において、『やるやら』以外でもっとも長続きしたのがこちらの番組です。
この時まではまだギリギリ売れっ子だった山田邦子をメインに据えつつ、今田耕司・ナインティナイン・山本太郎など、次の世代を担うであろう若手タレントを積極登用していた同番組は、内容もかなりラジカル。

「ミミズにおしっこをかけると、ほんとうにアソコがはれるのか?」「カラスを料理して食べられるか?」といった、テリー伊藤演出の番組でやりそうな、アナーキー過ぎる企画を次々と打ち出していました。


「BANG!BANG!BANG!」(1996年1月~1996年9月)


アメリカのスポーツ・アトラクション・バラエティ「ザ・グラディエーターズ」の版権を買い取ってつくられたのが、この『BANG!BANG!BANG!』です。

若き日のSMAP、V6、MAX、シャ乱Qらがゲストとして招かれ、グラディエーターに扮した高野拳磁・アレクサンダー大塚といった現役プロレスラーやアクション俳優、スタントマンなどとさまざまなアトラクションでバトルを繰り広げるという番組であり、今の『VS嵐』と昔TBSでやっていた『バリキン7』を足して2で割ったようなイメージでしょうか。

……以上のように、さまざまな番組を経て、『めちゃ×2イケてるッ!』へとたどり着いたわけです。同番組が21年半の歴史に幕を下ろした後、これからの「土8」は、どのような歴史を歩んでいくのか……じっくり見守っていきたいところです。

(こじへい)

※文中の画像はamazonよりオレたちひょうきん族 THE DVD 1985~1989 FINAL
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※文中の画像はamazonより白鳥麗子でございます! [VHS]