土曜ナイトドラマ「オトナ高校」(テレビ朝日 土 よる23時5分〜)
脚本:橋本裕志 
演出:瑠東東一郎 山本大輔  
出演:三浦春馬 高橋克実 竜星涼 松井愛莉 山田真歩 夕輝壽太 杉本哲太 正名僕蔵 黒木メイサ

第7話 12月2日(土)放送 
「オトナ高校」7話。チェリートが二股、同棲といきなり大進歩、いよいよ最終回へ
「オトナ高校」テレビ朝日

二股、同棲、夜の学校・・・エピソードが盛り沢山


逆転、逆転、また逆転の展開が流行しているこの時代に、なんの逆転もないまま、7話まで、ひたすら、30歳過ぎて未経験の主人公チェリート(三浦春馬)の第二の学園生活を描いてきた「オトナ高校」。
最終回(12月9日)まであと2回という7話は、エピソードが盛り沢山だった。

会社のニューヨーク出張のために卒業するという悲願のため、スペア(黒木メイサ)とさくら先生(松井愛莉)とデートを二股して、大河ドラマ「おんな城主直虎」で三浦春馬が演じた“すけこまし”キャラ直親をそこはかとなく彷彿とさせるエピソードから、スペアと同棲という急展開の後、当然ながらお互いの価値観が合わな過ぎてギクシャクするというあるある尽くしへ。


さらにそれに加えて、ペガサス先生(竜星涼)をめぐる、ヒミコ(山田真歩)とヤルデンテ(夕輝壽太)の熾烈な争奪戦と、ペガサス先生がオトナ高校の卒業成績が振るわないため辞職を余儀なくされることになり、生徒たちが彼をねぎらうというさわやか青春ドラマ展開。ペガサス先生が女性だけでなく、男性とつきあっていたこともあるという重大な情報をさらっと台詞で説明してしまったのも驚かされた。どこまで包容力のある男に描かれているんだ、ペガサス先生。

それにしても、一時間のなかに、よくぞ、これだけ盛り込んだ。さすが、ヒットアニメやドラマを長年手がけていているベテラン脚本家・橋本裕志の鮮やかな手腕に舌を巻くばかり。
でも、一番の軸・チェリートの初めての体験だけはまだお預けだ。

ネタは豊富でも、内容(深い意味みたいなもの)がほんとうにないドラマではあるが、俳優たちの好感度は上がる一方。こんな馬鹿馬鹿しいドラマに出ていても誰も損してないのがすばらしい。

突き抜けきった三浦春馬の株は当然上がっているし、竜星涼もさわやかさと面白さを持ち得た若手として期待値を上げた。山田真歩は、昼の帯ドラマ「トットちゃん!」で、伝説の脚本家・向田邦子役という大役をみごとに演じたことと合わせて、頼れる俳優であることをいっそう明確にした。高橋克実も、もともとの演技派の信頼が、さらに親しみをもって厚くなったと思う。50代の未経験の男性がいたとしたら、相当希望の星になったのではないだろうか。
松井愛莉も、魔性キャラとして十分な働きをした。
夕輝壽太も、7話で、ジャングルジムで逆さまになる忍耐力と、そこから起き上がる腹筋の強さをさらりと見せていたし、7話のラストシーン、さくら先生にキスされたチェリートを見て呆然としている、黒木メイサと高橋克実の、ギャグ漫画の簡単に描いた線画みたいな立ち姿と顔に、俳優の技を見た。
「オトナ高校」7話。チェリートが二股、同棲といきなり大進歩、いよいよ最終回へ
「オトナ高校」テレビ朝日

家族で見る開放的なドラマになったら


以前も書いたが、画面がきれいで凝っているので、下品な感じがしないのがいい。
俳優たちに清潔感があるし(衣裳も好感度ある)、ロケーションもきれいだ。チェリートの部屋も広々して、家具も素敵だし、二股デート(ありえなすぎておかしい)の店の内装もすてきで、肉と魚介も美味しそう。校内も抜けがいいし、外光も明るい。7話は夜のシーンも重要だったが。そして、夜、ペガサスを励ますために、みんなが自転車で走り回る場面もただただ心地よかった。
「オトナ高校」7話。チェリートが二股、同棲といきなり大進歩、いよいよ最終回へ
「オトナ高校」テレビ朝日

それだけ、気を使っているにもかかわらず、突き詰めたらシモネタなので、家族で見ることが憚られるとかで、視聴率は芳しくなかった。
もし、つきあったばかりの彼氏彼女で見ても、微妙な空気になってしまいそうだ。
これを、誰かと見るものと思ってつくっているとしたらびっくりするが、開放的なことって確かに大事だ。男女の営みを恥ずかしいこととして、封じ込めて込めてしまったがために、日本の少子化が進行してしまった可能性もある。
だからこそエッチなドラマを親子で見て、語り合えるようになることで、少子化を阻むことができるのではないか! 
そういう問題意識の高いドラマだったのかわからないが、もう最終回だとは惜しい。

最終回は、12月9日(土) 23時5分から!
(木俣冬)
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