第11週「われても末に」第63回 12月13日(水)放送より。
脚本:吉田智子 演出:保坂慶太

63話はこんな話
てん(葵わかな)と藤吉(松坂桃李)は、崇徳院の和歌のように、一度別れた川がもう一度ひとつになったものの、団真(北村有起哉)とゆう(中村ゆり)は、まだ別れた川のままで・・・。
おねしょ事件
どうやら藤吉(松坂桃李)は、寄席の事務所で寝泊まりしていたらしい。
藤吉とてん(葵わかな)とがうまくいってないことを心配する風太(濱田岳)とトキ(徳永えり)。
隼也のおねしょをだしにして、てんと藤吉の仲をとりもつ。
隼也が大変!と大騒ぎして、おねしょだった・・・という流れはずいぶんとドタバタだったが、その後の、風太とトキの采配には力がある。
トキの気持ち
「やっぱりおトキさん、良い時に、居合わせているんですねえ」と「おはよう日本」(関東版)で高瀬アナウンサーにまたまた言及されたトキ(良い時にってダジャレか)。
そんなトキと風太が話しているところは、息が合っていて、お似合いだ。
仲直りしたてんと藤吉を見て、家族水入らずでライスカレーが食べたいと、結婚に憧れを抱くトキ。
現在発売中のワニブックス「プラスアクト」(2018年1月号)で、徳永えりにインタビューをしたら、ドラマの時代、トキは適齢期を過ぎていて、風太のことを「ちょっとずつ意識している」という。このときも、結婚相手に風太を意識しているのだろうか。
でも風太はてんに一途で、トキの気持にまったく気づいてない様子。リリコ(広瀬アリス)とも気が合っているふうに見えるし・・・これから、どうなるんだろうか。
カレー衛門
親子3人、ライスカレーを食べていると、藤吉と隼也の口にカレーがついて、「チョコ衛門やのうてカレー衛門になってるわ」と笑うてん。
チョコ衛門は会心のネタだったものなあ、藤吉にとっても、たぶん、脚本家にとっても。
小野文惠のナレーションで、崇徳院の和歌「瀬をはやみ〜」が詠まれながら、さっくり仲直りという展開だが、
夫婦喧嘩は犬も食わないと言うし、ある意味リアリティーがある。
藤吉へのフォローか
藤吉の怒りが爆発して、さすがの芸人たちも、考える。
キース(大野拓朗)が、なにか「ええことを思いついた」らしく、突然、アサリ(前野朋哉)とコンビを組もうと言い出す。
4人が前向きになった頃、寺ギン(兵藤大樹)が、団吾(波岡一喜)を口説きに来ていた。
2万円出すという寺ギンは、自分のとこの芸人50人のクビを切れば済むと言う。
昔からの仲間を大事にする藤吉とは真逆である。
これまでずっと無能、無能と云われてきた藤吉を良く描こう週間なのか。
そうなると、団真(北村有起哉)が寝っ転がって小声でぶつぶつ落語を練習しているところも、松坂桃李がいつもぼそぼそしゃべっているという指摘が多いが、ぼそぼそ語るのもリアリティーですよーという援護射撃のように思えてくる。
今日の、わろ点
風太がトキと長屋の路地でしゃべっていて、団吾師匠のとこに行かなきゃと慌ててハケていくところが、商業演劇などで、花道を通って登場人物がハケていく雰囲気があった。ちょうど路地が、花道みたいな役割をしている。
俳優のキャラクターで押していく商業演劇だと思うと、話がポンポン飛んだり、細かいことが省略されたりしていても気にならないので、いっそのこと、SEで、拍手とか笑い声とか入れてはどうだろうか。
(木俣冬)