
据え置き機になり、マップがシームレスになるなど、大幅な改良が加わっている
モンスターハンターワールドは全く新しいシリーズということで、従来のメインシリーズとは異なる部分がいくつもある。主にメインシリーズのユーザーとしての目線で、どの辺りが変わっているのか、見ていく。
なお、本原稿はPS4でのプレイで作成している。
細かく設定できるキャラクタークリエイト
起動した多くのプレイヤーが最初に気づくのは、キャラクター作成を細かくできるようになったことだ。今までの3DSでのメインシリーズに比べて、かなり細部まで設定できるようになった。

プリセットから大まかな顔を選び、そこから目や眉の位置や大きさなどをいじっていくといいだろう。人によっては、ここで数時間費やしてしまうこともあるかもしれない。
ここで設定した顔は、化粧などの要素を除いては、変更することができない。そして、ゲーム中ではムービーどころか、通常時にもその顔が常に表示されることになる。防具で隠れてしまう(システムのオプションで常に表示したままやムービーシーンだけ表示にもできる)かもしれないが、細かく設定すれば設定するほど愛着が湧くだろう。
ただ、クリエイト画面と実際のゲーム操作時では、若干顔のクオリティが変わるのが残念だった。できればゲームプレイ時の顔を表示してくれる機能がついていると、なお良かったと感じさせる。
ちなみに、いったんプレイして、細部を修正したいともう一度クリエイト画面に戻っても、以前に作成した顔を保存する機能が無いため、またゼロからやり直しになるのも、クリエイトに時間がかかる理由になっている。
その顔が出てくるムービー画面だが、最初にゲームを始める際に言語設定ができる。

従来は独自のモンスターハンターの言語で喋っていたのが、日本語も使えるようになった。わかりやすさ重視でいくなら日本語に、雰囲気重視ならモンスターハンターの言語だろうか。モンスターハンターの言語に設定しても、画面内の台詞表示や字幕は日本語なので安心して欲しい。後で言語を変更したくなったら、タイトル画面のオプションから行える。
シームレスになってマップ移動がなくなった
従来のシリーズとMHWの最大の違いは、マップがエリアごとに別れていて、切り替えるたびにロードするのではなく、シームレスにどこまでも移動できるようになったことだろう。

クエスト開始時に全てを読み込むので時間がかかるが、一度始まってしまえばひたすらマップ内を探索できる。エリアを移動して、モンスターを発見できなかったらまた別のエリアへすぐ行き、そのたびに読み込みが発生する……ということがないのは、非常に大きい。狩りへの没入感が増すのだ。
どこまでもいけるとはいっても、地図を表示させるとエリアは分かれているため、マルチプレイ時に「4番へ行って」「6番の方に採掘できるポイントがある」と言うことはできる。

ただ、この指示も一部の小型モンスター討伐クエストや採取クエスト以外ではあまり必要ないだろう。というのも、大型モンスターを追跡するシステムも一新されたからだ。

従来のシリーズではモンスターを発見したときに、ペイントボールをぶつけてモンスターに印をつける。
MHWではペイントボールが廃止されている。その代わりに、導蟲という、キラキラしたホタルの群体のようなものがモンスターを追跡してくれる。フィールド上に存在するモンスターの痕跡を調べていくと、導蟲が匂いを覚え、さらなる痕跡を探し出してくれる。そうして痕跡を追っていけばモンスターと遭遇できるというわけだ。
一度覚えたモンスターはより素早く見つけられるようになるし、マップ上に表示されるようになるモンスターにピンを立てれば追跡の精度も増していく。経験を積めば積むほど、モンスターや痕跡を見つけやすくなるのだ。
また、導蟲はマップ上の採取ポイントも教えてくれる。たくさん集まっているところには痕跡が、ぼんやり光っているぐらいのところには素材という感じなので、痕跡を追いながら、素材を集めていこう。
正直なところ、β体験版のときは制限時間が少なかったこともあり、従来の方式に比べて少々面倒で時間がかかるシステムだと考えていた。だが、製品版をプレイしてみると、獲物を徐々に追い詰めていく感じが実に楽しい。何度も狩って痕跡を追うのが面倒な相手は、マップ画面でピンを立ててしまえばいい。
マップ上のギミックを利用できるのも、狩りを行っている感が増して楽しい。ツタを絡ませて拘束したりできる。
モンスターの生態がわかるようになっているのも面白い。大型モンスター同士がはちあうと、こちらはそっちのけで戦闘を始めたり、小型モンスターも体力が無くなると逃げたり、モンスターの生態系がしっかりしていると思わされる。
細かいけれども大幅な改善点の数々
MHWでは従来のシリーズで面倒だと思った部分が極力改善されている。このあたりはもう別ゲームと思った方がいいかもしれないぐらいだ。
アイテムの採取は、近くにいって○ボタンを押すだけでいい。いちいち採取ポーズをとらないでいいため、モンスターを追跡しながら○ボタンを連打するだけで結構な素材が手に入るのはうれしい。ちなみにピッケルや虫網は廃止されているので、いつまでも持てるだけ採取してまわることができる。
回復薬や解毒薬を飲んでいる最中に、少しではあるけれども飲みながら移動できるようになっている。一番の隙となっていたので、この改善はうれしい人も多いだろう。
敵と会っている時以外、つまり通常時ではいくらダッシュしてもスタミナが減らなくなった。
砥石はアイテム枠を減らさずに、しかも無限に使えるようになった。「砥石忘れた!」ということがなくなったのだ。
素材と使用アイテムが明確に区別されるようになった。もちろん持つ数に限界はあるが、狩りに使うアイテムを持って行きすぎてアイテムを全く採取できないということがない。また、アイテムBOXでも使用アイテム、弾/ビン、素材をタブで切り替えて表示できる。
どこにあるアイテムBOXでも装備を変更できるようになった。マイルームや集会所のBOXにいちいち行かなくてもいい。
キャンプで食事ができるようになった。これで、クエストに出たときに「猫飯忘れた!」と言う人がいたために全員リタイアをしてやり直すということがなくなった。なお、一度やられてしまった場合でも、キャンプで再度食事をしてからモンスターに挑むことができる(一度食事をしてから10分後でないと食事ができないという制限はある)

武器作成や強化時に、派生表が表示されるようになった。さらにはウイッシュリストも作成できるため、登録しておくと必要な素材が集まったときに教えてくれる。
モンスターの生態が詳しく表示されるようになったのも非常に大きな変更点だ。


何度も遭遇し、痕跡を集めて研究レベルを上げれば上げるほどモンスターの細かい点がわかるようになっている。どの武器がどの部位に有効なのか、どこを壊すことができるのか、どこを壊せばどんな素材を落とすのか、全てゲーム内で確認できる。
スキルのポイント制がなくなった。装備ごとに設定されているスキルが、身につけるだけで発動する。さらに、剣士とガンナーの装備も統一され、別々に作成する必要がなくなった。
「探索」では、制限時間がなくマップを探索し、採取したりできるようになっている。また、フリークエストならいちいち戻らなくてもキャンプでさらにクエストを受けて延々と遊び続けることもできる。マップが広くなったため、探索して地形を把握するのは、何回かやった方がいいだろう。
武器も大幅に変わっている。狩猟笛中心に使っているので、笛の話になってしまうが、武器を振って曲をストックするところまでは一緒でも、連続演奏にいちいちボタンがいらなくなった。
他の武器も、闘技場で触ったり使用している友人に話を聞いてみると、よりシンプルにストレスを軽減する方向に進化しているようだ。
モンスターに攻撃を加えたときに、どれぐらいのダメージを与えたのか数字が表示されるようになった(設定でオフにもできる)。新しい武器を装備したときに、与えるダメージがどれだけ変わるのかがわかるのは結構うれしい。
常にオンライン前提のゲーム
PS4という据え置き機でのプレイのため、持ち寄って遊ぶというよりはオンラインで遊ぶ方が中心になるだろう。そのためか、常にオンラインに接続して遊ぶことが前提となっている。ソーシャルゲームのような、ログインボーナスもあるぐらいだ。
ゲームを始める際には「他人の集会所」へ行くか、「自分の集会所」を作成するかを選ぶことになる。常にマルチプレイをしなければならないというわけではなく、他人の集会所へ行っても自分のクエストを一人で黙々とこなすこともできる。
常にオンラインで遊んでいるメリットとしては、自分一人で遊んでいるときにどうしてもクリアできないとなったら「救難信号」を出して他のプレイヤーに助けを求めることができる点だ。集会所から「救難信号のクエスト」を受けることができる。

ただ、そうはいっても、常にオンラインで遊ぶことに抵抗がある人はいるかもしれない。一応自分で作成したときもプライベート設定をオンにすれば知らない人は入ってこれないが、強制的にオフラインにしたい場合は、一度PSボタンを押してPS4のメニューを少しいじるなど、セッションが切れる行為をすると、「セッションが切断されました」というエラーメッセージが出て以後はオフラインになる。
友人と遊びたいときには、フレンドを自分の集会所に招待できる。


フレンドではない場合は集会所番号を伝えればいい。いちいち書いたりするのが面倒な場合には、スマートフォンのカメラで写真を撮って送るようにするといいだろう。
今のところ、マルチプレイ時もシングル時も受けられるクエストに変わりはないようだ。シナリオを進める「任務クエスト」などを手伝ってもらったり、素材を集める「フリークエスト」を一緒に遊ぶことができる。
マルチプレイをすると、活躍したプレイヤーの記録が最後に表示される。

採取した数などもわかってしまうため、あまり戦わずにさぼっていたことがバレてしまうようになったのはご愛敬だ。
ただ、残念な点もいくつかある。
シナリオを進めているときのムービーを他のプレイヤーが見ているときに、少し暇になってしまうということ。さらに、一部のシナリオで必要な任務クエストは、マルチプレイ不可になっていることだ。
せっかくオンラインで遊ぼうと集会所に集まっても、任務クエストを進めているうちに一人のみのクエストが出てくると、そこで進行が止まってしまう。ここも手伝えるようにして欲しかった。
18:18追記
クエストリーダーがイベントシーンを見終わると手伝えることがわかったので訂正したい。チャットや音声チャットでコミュニケーションを取りながら、タイミング良くクエストに参加しよう。
オンラインとはあまり関係ないが残念な点としては、画面内の情報量が多すぎるのも若干つらかった。3D酔いをするために画面から結構離れてプレイをしているのだが、情報量が多く、文字が小さいため、重要な情報などが少し見づらくなってしまっている。文字の大きさや、配置場所などを自分でいじれるようになるとかなりうれしい。
全体的には、今までのストレスを感じている部分を解消した、全く新しいモンスターハンターだ。画面が綺麗になり、ストレスを減らしたことで、没入感がかなり増している。従来シリーズの癖が染みついていると最初は戸惑うが、遊んでいるうちにだんだんとこちらの方がいいと感じてくると思う。まだ10時間ほどしか遊べていないが、今回もかなりの時間を費やすことになるだろう。
モンスターハンターワールド(Amazon)
(杉村 啓)