確かに前作(全話レビュー)が終わった時には「もっとおじさんたちの生活を見続けていたかった! お願いだから続編やって!」とは思っていたけど、まさか1年も経たずに実現するとは……。
ドラマなのか、ドキュメンタリーなのか、はたまたバラエティなのか、ハッキリとカテゴリー分けできない、とにかくバイプレイヤーのおじさんたちがキャッキャウフフとイチャついている姿を見ているだけで幸せな気分になってしまう不思議な番組。
ある意味、深夜番組ならではの悪ノリ感も込みで成立していたと思うのだが、それをプライムタイムに昇格させたらどうなってしまうのか?
バラエティ番組の場合、出演者は豪華になってるけど、企画がいちいち無難にアレンジされちゃってダメになってしまいがちなパターンだけど、『バイプレイヤーズ』は……今のところ、輪をかけて悪のりしていてサイコー!
ドラマの主役となるバイプレイヤーの面々は前作から引き続き、遠藤憲一、大杉漣、田口トモロヲ、寺島進、松重豊、光石研の5人。
前作に出演していた寺島進は残念ながら「スケジュールの都合により今作はお休みします」とのこと。
普通だったら主役の6人が揃わないなら、ドラマの放送スケジュールの方を調整しそうなもんだが、「スケジュールの都合がつかなかった」ということまでをネタにしているあたりが頼もしい。
そして「今作は」という部分がどうしても気になってしまう。……ということは、さらなるシリーズ化を狙っているということか!?

深く考えずにおじさんたちを眺めよう
前作は、とあるドラマ企画のために大杉漣の別荘で共同生活をすることになる……というおじさん版『テラスハウス』だったが、今回は、共同生活は共同生活でも、無人島でのサバイバル!
ドラマのロケが行われる島へ向かうため、大杉漣所有のクルーザーで出発したら、間違った地図を持っていったせいで遭難してしまい、無人島生活をよぎなくされる……。
「シェアハウスからいきなりそこまで飛ぶ!?」という行きすぎな設定だが、サバイバル生活をすることによって本性がむき出しに。
強面な顔に似合わず小心者な遠藤憲一。トラブルメーカーだけどメンバーに対する愛はハンパない大杉漣。エキセントリック……というかサイコパスな田口トモロヲ。様々なスキルを持っていて頼りになる松重豊。愛されキャラだけど裏がある光石研。
それぞれのキャラクター(『バイプレイヤーズ』ワールド内でデフォルメされたキャラクター)が分かりやすく説明され、前作を見ていなかった人も、虚実入り乱れた『バイプレイヤーズ』の世界にすんなりと入り込めたのではないだろうか。
サバイバルな極限生活といいながらも、相変わらずキャッキャとイチャつく楽しそうなおじさんたちを眺めているだけで楽しい。このドラマはストーリーとか深く考えずに、そう楽しむのが正解!
本田望結ちゃん、こんなことやってて大丈夫!?
前作では別荘を拠点としつつ、各自が仕事先に行くとそこで事件が起こって……的な展開だったが、今回は全編通して5人が同じ(劇中)ドラマに関わることになる。
そのドラマというのが、テレ東がはじめて手がける(という設定)朝の連続ドラマ『しまっこさん』。
要はNHK朝ドラのパロディなのだが、『しまっこさん』公式サイトが立ち上げられるなど、パロディにしてもやたらと気合いが入っている(架空のPR動画がまたヒドイので見て!)。
主人公の母・吉田羊や教師役の岡田将生あたりはいかにもありそうなキャスティングだし、なんといってもヒロインの本田望結ちゃんは「いつの間にこんなに成長したの!?」と思ってしまうくらい、朝ドラヒロイン感がみなぎっている。
現在13歳ということなので、ちょっと若すぎるとは思うが、もうちょっと成長したら、本家NHKの朝ドラヒロインにガチで選ばれてもおかしくない!
いや、逆に、ここで朝ドラパロディをやらされちゃったせいで、本家の方で採用されないんじゃないかという余計な心配もしてしまうが。
第1話では、漂流したせいで撮影に参加できないおじさんたちのサバイバル生活と、おじさんたちがいないけど仕方なく撮影をはじめる『しまっこさん』チームがカットバックしながら展開していたが、今後も『しまっこさん』が本編のとどう絡んでくるのかも楽しみだ。
出演者にもシークレットなゲストに期待!
ストーリーらしきものはあるものの、それ以上に、おじさん5人がこの変なドラマ(『バイプレイヤーズ』)に出演させられたせいで、こんな変なことをやらされた、こんな人たちと絡まされた……というリアクションを見る、ドキュメンタリー的な楽しみもある本作。
前作も、深夜番組とは思えない豪華なゲスト陣との絡みが見どころのひとつだったが、今回はプライムタイムに昇格して普通に予算が増えたのか、ゲスト陣がまたスゴイ!
漂流して撮影に参加できなくなった5人の代役として登場したのが、小日向文世、菅田瞬、野間口徹、森下能幸、甲本雅裕という、こっちはこっちで別のバイプレイヤーズが作れるんじゃないかという面々。
前作で「名前はちょいちょい出てくるけど、ホントに出てくるの?」級のスペシャルな扱いだった役所広司も初回からバッチリ登場しているし、第2話以降は、これまたバイプレイヤーズに入ってもおかしくない名脇役・でんでんや、寺島しのぶも登場するようだ。
さらに、台本上は「××」と表記されている、出演者たちにも誰なのか知らされないシークレットゲストも用意されていて、ぶっつけ本番でそのゲストと対面した際のリアクションまで収録しているという。……そんなドラマ、あるか!?
前作の制作段階では「おじさんたちがかわいい!」といった、ドキュメンタリー的な楽しみは想定していなかったようで、放送開始後のネットの反応を見て、途中からそっちに寄せていったと監督がインタビューで語っていたが、今回は最初っから「おじさんドキュメンタリー需要」に応える気マンマンだ!
何といっても無人島の名前が「雄父が島(おじがしま)」だし。
ただ、この手の楽しみ方って、ユーザー側が勝手に喜んでいるうちはいいんだけど、制作側が必要以上に「分かってる」風を吹かしてくると逆に醒めてしまうもの。
その辺は絶妙なさじ加減でやっていって欲しいところだが……。
とりあえず、本編終了後の「バイプレトーク」をちゃんと残してくれてありがとう! 分かってるね!
(イラストと文/北村ヂン)