居酒屋と違ってスナックは、メニューが店頭に書いてあるわけでもないし、もちろん値段も分からない。初心者には入りにくいイメージ。
特に女性にはなおさらハードルが高い……。

そこで、女性たちにもスナックに来てもらおうと、熊本県PRとコラボしたスナックで女子向けスナック初心者講座が開催された。

減りつつあるスナック


東京・赤坂にある期間限定スナック「スナックくまちゃん」で開催された「スナック女子入門講座」。講師は全日本スナック連盟の『玉ちゃん』こと玉袋筋太郎さんと、スナック大好き女子代表のPRコンサルタント五十嵐真由子さん。

「スナック女子入門講座」でカラオケの選曲テクを教わってきた
玉ちゃんと五十嵐さん


2010年には全国に10万件あったスナックが現在では7万件に減少している。「ってことは、全国で3万人のママさんが職を失ってるわけですよ」と玉ちゃん。「日本中どこに行っても見たことのあるチェーン店の居酒屋ばっかりじゃ味気ないですよ」とぼやく。

五十嵐さんは「だから女性にもどんどんスナックに行って欲しいんです」とスナックを取り巻く環境に危機感をにじませる。

「スナック女子入門講座」でカラオケの選曲テクを教わってきた
玉ちゃんの話を聞く参加者


しかし、スナックに足を運びたいけれどなかなか難しいという人も多いだろう。知り合いにスナックの常連客でもいればいいが、一見さんの初心者が、まして女性があの「扉」を開けるはちょっと、いや、かなり勇気がいる。

そこで、スナック玉ちゃんが熊本県のPR活動とコラボして期間限定でオープンした「スナックくまちゃん」で、スナックデビューの第一歩を応援する情報を教えてもらった。

「スナック女子入門講座」でカラオケの選曲テクを教わってきた
乾杯の音頭は熊本県の職員さん

「スナック女子入門講座」でカラオケの選曲テクを教わってきた
おつまみは熊本のお菓子

「スナック女子入門講座」でカラオケの選曲テクを教わってきた
玉ちゃんとくまモン



参加者はスナック初心者女子


当日は約20人の女性が集まった。ある参加者は「最近一緒に飲みに行く友達も減ってしまって……。ひとりでバーもいいんですが、肩に力が入りますよね。
スナックならリラックスできるかと思ったんですけど、さすがに初めてだと入りづらくて」と話してくれた。ほかの人も口々に「興味はあるけど入りにくいよねー」と言っていた。

「スナック女子入門講座」でカラオケの選曲テクを教わってきた
この階段を一人で降りていくには勇気がいるかも?


そこで参加者には「スナック女子入門教科書」が配られた。お店の選び方や会計システムなどが書いてあり、説明を聞いた参加者は「そういうことだったんだ」「知らなかった」と講師二人の話に聞き入った。すると玉ちゃんは「もうみんな真面目だなぁ。このまま健康食品売っちゃうよ!」とみんなを笑わせてくれる。

「スナック女子入門講座」でカラオケの選曲テクを教わってきた
配られた教科書は五十嵐さんの両親が製本を手伝った手作り

「スナック女子入門講座」でカラオケの選曲テクを教わってきた
玉ちゃんは気さくに参加者のテーブルへ



スナックの良さはママとの会話


「深夜のコンビニでさ、仕事帰りのスーツ姿の女性がレンタルDVDの袋持って、缶チューハイとお弁当買ってるのを見るとさ、だったらスナック行きなよ!って思っちゃう。スナック行ってママと話した方がいいって」と玉ちゃん。

五十嵐さんも各地で出会ったママとの人情話を披露。「ママと仲良くなると人生相談に乗ってくれたりして。心の鎧を脱いで楽になれる。スナックの良さはママの存在ですね」

「スナック女子入門講座」でカラオケの選曲テクを教わってきた
スナック玉ちゃんのさやママ


店内には、玉ちゃん行きつけの中野のスナック「カプリコーン」の平塚由美子ママの姿も。由美子ママは熊本の出身で、今回熊本とのコラボスナックでのイベントということで応援に駆けつけた。


スナックを経営しながら女手ひとつで娘たちを育てたというベテランママだ。そんなベテランママのいる店を玉ちゃんたちは愛情を込めて「ババスナ」と呼んでいるそうだ。

「スナック女子入門講座」でカラオケの選曲テクを教わってきた
由美子ママの娘さんと玉ちゃん



スナックのカラオケでのおすすめ曲


スナックではカラオケは、玉ちゃんでさえ「選曲には気を使うよねー」。玉ちゃんはリモコンの「履歴」をチェックしてそのお店の傾向を掴むそうだ。

ちなみに女性にオススメなのが“山口百恵”とのこと。そして幅広い年代に受け入れられるキラーチューンが『涙そうそう』。そこで歌う漫画家・ちえさんが三味線を持って登場した。

「スナック女子入門講座」でカラオケの選曲テクを教わってきた
暖かい雰囲気にしてくれる三味線の音色


ちえさんは漫画家として活動する一方、四谷の荒木町で三味線を持って「流し」の歌手として夜の街を彩っている。荒木町が花街であったことから、和服に日本髪姿だ。ちえさんの得意は歌いながら似顔絵を描くこと。この日も一曲歌いながら、玉ちゃんの似顔絵を描き上げ、店内は一気に盛り上がった。

「スナック女子入門講座」でカラオケの選曲テクを教わってきた
マイクを固定して歌いながら描く

「スナック女子入門講座」でカラオケの選曲テクを教わってきた
玉ちゃんの似顔絵を描き上げた

「スナック女子入門講座」でカラオケの選曲テクを教わってきた
ちえさんの手書き看板



今度は街のスナックにトライしたい


最初は渡された教科書を見つつ、真剣な面持ちだった参加者たちも、お酒がまわってきてリラックスムード。一緒に『涙そうそう』歌って、見知らぬ者同士、すっかり打ち解けたスナックの客の顔に。


参加者は口々に「今度は街のスナックに行ってみます!」と話していた。イベント担当者は「予想以上の盛り上がりでした。またやってくださいとの声も頂いたので、二回目も検討したい」とのことだ。

「スナック女子入門講座」でカラオケの選曲テクを教わってきた
カラオケで盛り上がる参加者

「スナック女子入門講座」でカラオケの選曲テクを教わってきた
似顔絵を描いてもらった参加者もいる

「スナック女子入門講座」でカラオケの選曲テクを教わってきた
みんなで記念撮影


なぜスナックに入るのが怖いかというと、居心地悪い思いをするんじゃないかとか、ぼったくられるんじゃないかと思うからだろう。

でも、玉ちゃんは「失敗すればいいんだよ。それもスナック。みんな失敗を恐れ過ぎる」と言う。さらに「スナックには人生失敗したような人がいっぱいいるの。でもみんな生きてる。そういう人見てると勇気もらえるよね」とも。

もしかしたらスナック巡りは悩んだり、失敗したり、人情に触れたり、人生経験を手軽に楽しめるエンターテイメントなのかもしれない。

「スナック女子入門講座」でカラオケの選曲テクを教わってきた
アルバイトレディ募集Tシャツ

「スナック女子入門講座」でカラオケの選曲テクを教わってきた
「スナックくまちゃん」は2月16日までの期間限定


(前田郁/イベニア)
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