記者「『妻夫木聡に似ている』『イケメン芸人だ』という記事もありましたが」
濱田「そうですね……僕はその妻夫木さんの顔もよくわからないので……(笑)」

ほぼ全盲の漫談家・濱田祐太郎が「R-1ぐらんぷり2018」で劇的な優勝を遂げてから10日。

優勝後は仕事のオファーが殺到し、大阪と東京を往復する「めまぐるしい日々」を送っているそう。
その合間を縫って、都内で行われた囲み会見で記者達の質問に答えてくれました。
R-1王者・濱田祐太郎「笑ってもらいやすい言葉で伝えないと」会見みっちりレポ
濱田祐太郎(はまだ ゆうたろう)1989年9月8日生まれ。先天性の緑内障のため左目が見えず、右目は明るさが分かる程度。「見えない」ことをネタにした漫談で、R-1ぐらんぷり2018王者に。特技は「自分の好みに合わせてちょうどいい固さでお米を炊けること」

ヘリコプターで星空を……


濱田「未だに自分が優勝したのが不思議というか信じられないというか。全員ウケてたので誰が優勝してもおかしくなかったと思います」

「ラッキーな優勝」「本当に信じられない気持ちで一杯」と繰り返す濱田。自身が出場したR-1ぐらんぷり決勝は、録画を聞いて振り返ったという。

濱田「Cブロックで言えば粗品さん、最終決戦で言えばおぐさんがめちゃくちゃウケてたんで、うーん……やっぱり不思議な感じですね、自分が優勝っていうのは。同期のゆりやん(レトリィバァ)も4年連続で決勝に残るのはすごいことだと思いますし。ぜひね、報道で霜降り明星のせいやさんと恋がどうとか言ってたんで、実ったらいいと思いますけど(笑)」

濱田が出場したCブロックでは、結果発表の際に紺野ぶるまが濱田をサポートをしたことが話題になった。記者達の「恋心が生まれたりとか?」という勘ぐりには「決勝当日はそんな余裕なかったです」と全否定。それでもちょいちょい名前が出てきてしまうので、賞金の使い道を聞く質問に「じゃぁ紺野ぶるまさんとのデート資金に(笑)」と切り返す。

濱田「R-1優勝したらご褒美特番があるって聞いたので、お世話になった劇場で何か恩返しできるイベントがやれたらいいなと思うんですけど、最悪紺野ぶるまさんとのお見合い企画をやれたらなと思いますね(笑) ヘリコプターで星空を見たいってネタをやってたんで、星空を……まぁ僕は全然楽しくはないでしょうけど」

優勝後の悩みは「ツカミが使えなくなるかもしれないこと」。「よしもとに入ってから目どころか自分の将来も見えなくなった」というツカミだったのだが、優勝ともなれば将来も見通せるようになるのでは……?

濱田「こうやってR-1優勝させていただいて、ありがたいことに注目もさせていただいてますけど、1年後どうなってるかわからないですから。1年後はもっと将来が見えなくなりましたって言ってるかもしれないですし。そこら辺はまだわからないですね」

今日の衣装はすごくいいらしいんですけど


R-1で印象的だったのは、冒頭の「迷ったら笑っといてくださいね」という呼びかけだった。白杖をついて現れた姿に戸惑った観客へ向けて、笑ってもいいんだ、という空気を作った一言だった。


濱田「『見えてない』ことをネタにしているので、なるべく笑ってもらいやすい言葉で伝えないと、というのは心がけています。『迷ったら笑っといてくださいね』と最初に言うことで、伝わりやすくなるかなと。舞台に立ったりオーディションを受けたりしてるなかで、自然とその台詞が出てきたって感じですね」

目が見えないため、ネタは音声読み上げ機能がついている携帯にメモし、視覚障害者用の時計(タイマーを読み上げてくれる)でネタ時間を計って練習しているそう。そういえば、衣装はどのようにして選んでいるのだろう?

濱田「店員さんに任せてます(笑) R-1で着た衣装も店員さんが選んでくれたスーツです」

以前は「結構軽い感じの服装」で舞台に立ってたという。スーツを着始めたのは、昨年出場した「NHK新人お笑い大賞」の本戦から。本格的に賞レースに出るならと、衣装をスーツに切り替えた。

濱田「R-1優勝させていただいてからは、よしもとさんに用意してもらえるようになったので……なんか、今日もこれはすごくいいって言われてるんですけど。自分ではわからないですが」

とてもお似合いです。

濱田「ありがとうございます。言わせてしまった感じで申し訳ないです(笑)」
R-1王者・濱田祐太郎「笑ってもらいやすい言葉で伝えないと」会見みっちりレポ
「優勝賞金500万円、いつもらえるか聞いてないんですよ。どんな感じなんでしょうね。『手元に500万ある』というのは一体どんな気持ちなんだろうっていう」

今でも活動の中心は大阪の「よしもと漫才劇場」だ。劇場ではスタッフや芸人仲間がサポートをしてくれるので、ほとんど不便は感じないという。不便なのはむしろ「通勤」のほうだ。
一人で電車に乗って劇場の近くまではたどり着けるが、特定の建物を見つけて中に入るのが難しいため、同期の芸人やスタッフに迎えに来てもらっているそう。

「基本的には漫談でやっていきたい」という濱田だが、漫才への憧れも強く、やってみたいという気持ちもある。もし誰かと組んで漫才をやるなら? という質問には、漫才劇場のメンバーの名前が挙がった。

濱田「同期で言うとコウテイとか、からし蓮根とか。ラニーノーズも。単発の企画でも、なんかのタイミングでできたらと思いますね。ただ、自分がボケに向いてるのかツッコミに向いてるのかというのは、漫才やったことないのでわからないですけどね」

ひとりのお笑い好きとして


優勝後の会見では、連覇を目指して来年もR-1に出場すると語っていた。が、冷静になると「2回目となると何をやっても難しいのかなってはある」と迷いもある。

濱田「とりあえず今まで通りですね。自分ができることをやっていくだけです。自分がやってきたことを続けて、その時その瞬間で結果が変わると思います。ただ、それこそ中山功太さんや三浦マイルドさんは優勝された後もずっとR-1に出続けてはるので、そういう意味ではすごい尊敬していますね」

今後、漫談以外にやってみたい仕事を聞かれると「トーク番組に呼んでもらえたら嬉しい」と話す。


濱田「『さんまのまんま』とか『サンデージャポン』とか『さんま御殿』とか……あとトーク番組なにがありますかね……」

記者「『徹子の部屋』とか……」

濱田「『徹子の部屋』ですか……!いやぁ出てみたいですね。徹子さんのトークにどこまで僕がついていけるのか……。徹子さんやさんまさんに限らず、全国放送のトーク番組のMCをされてる方々には憧れます。濱田祐太郎という人間に対して、そうしたすごい方々がどういう話をしてくるのかなってのは、ひとりのお笑い好きとしてとても興味がありますね」

今後の野望は「大阪で息の長い芸人になること」という濱田祐太郎。本日3月16日(金)放送の『ネタパレ』(フジテレビ系列)にも急きょ出演が決まり、新ネタを披露するそう。徹子さんとのトークバトルも期待しています!

(井上マサキ)
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