池の水を抜くだけというかつてない企画のヒットは視聴者以上に業界的な関心が高いようで、それは「池の水〜」を元にしたパロディが多いことからも伺える。
そんな中、3月21日「水曜日のダウンタウン」内で放送された「SASUKEの池の水ぜんぶ抜く大作戦」という企画。「SASUKE」の番宣を兼ねたお遊び企画ではあるのだが、そのキャッチーな組み合わせや目の付け所から話題となった。
「ぜんぶ抜く」というパロディにしやすい構造もあるのだろう、この他にも「池の水~」パロディ企画は多く、目に付いたものを紹介したい。

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SASUKEの池の水ぜんぶ抜く大作戦 (2018.3.21)水曜日のダウンタウン
まず、話題の「SASUKE」の池の水抜き。いわずもがな「SASUKE」は緑山スタジオ敷地内に作られた巨大なフィールドアスレチックに一般参加者が挑戦する番組。番組開始から22年、35回目となる最新回の収録翌日に水抜きするのはワッキー(ペナルティ)と庄司智春(品川庄司)。SASUKE出場経験もある筋肉芸人というだけでなく、本家の司会ロンブー淳ともプライベートで同じ軍団に属しているニヤリとさせる人選。
そして「SASUKEの池をよく知る男」としてミスターSASUKEこと山田勝己(鉄工所社長)が、本業で700キロの鉄板を足に落とし骨折中とかで松葉杖をついて登場、パロディに華を添える。手負いの山田は「2ndステージ(の池)だけ20年間一度も水を抜いてない」という内部関係者しか知らないような情報を提供。「周囲88m 水量600t」という本家と同じようなテロップで紹介された2ndの池は、葦(あし)らしき植物が自生していて、実際本家が「抜き」に来てもおかしくないような雰囲気。
テロップや「特攻野郎Aチーム」「モンスターハンター」の曲などの「らしさ」だけでなく、グーグルアースで池の位置を示す「らしさ」もしっかり再現。さらに、私有地なのに「集まってきた地元民」風の子供たち(しこみ)と10秒前からカウントダウンして水抜き開始する徹底ぶり。
スタッフの前歯、プロデューサーの結婚指輪、レイザーラモンHGのサングラスなどが過去に落とされているという「いい前フリ」もあったのだが、結局何ひとつ見つからず。
最後、山田の骨折した足に入ってるボルトに金属探知機が反応するという「いいオチ」があったのだが、それでも尻すぼみ感は否めなかった。
プレゼンテーターの博多大吉が「この説見て本当にワクワクしてスタッフもみんなテンション上がった」と言っていた。「SASUKEの池」という題材が良すぎてある意味パロディ以上のワクワク感を纏ってしまったことが尻すぼみに感じてしまった原因かもしれない。
壺のタレ全部抜く大作戦 (2017.9.4)液体グルメバラエティ・たれ
数あるパロディ企画の中でもいち早くパロディ化したのは意外にも本家と同じテレ東。調味料の「タレ」に特化した番組内で、相模原の人気もつ焼き店「かめや」の60年継ぎ足したタレ壺の底には何があるかを探る。一度も洗っていないというその壺はタレがこびり付き表面がゴツゴツ変化し雰囲気満点、濁ったタレもいかにも美味そうで歴史を感じさせる。創業当時は醤油と砂糖だけで現在の2代目になり酒と味噌が加わったという。
「このタレ壺に沈んでいるのは肉か?ネギか?はたまた凶暴な外来生物か?」というパロディならではのフリで煽るが、その際イメージ画像として映っていたのは在来種であるスッポン。惜しい。
「蛇なんていないよ?いたらみんなで食べよう」とノリに付き合ってくれる優しい店主が、灯油を入れる時に使う手動ポンプ(醤油ちゅるちゅる)で水抜きならぬ「タレ抜き」開始。カウントダウンは10ではなく3から。途中濃厚すぎるタレの粘度で詰まってしまうも、根気よく汲み出し、その底からは溶けきれてない沈殿したドロドロの味噌が。
焼きながら串ごとタレ壺に突っ込み、またさらに焼くので、その際の肉汁は入ってるが「ちゃんと刺してるから(肉は)ポロポロ落っこちません」と言い切っていた店主は若干気まずそう。
しかし店主の言う通り「6、7年使ってればそれくらい落ちるのはしょうがない」だろうし、そういう意味では「在来種」。絶妙なリアリティを感じた。
70年継ぎ足したおでんの汁ぜんぶ抜く大作戦(2018.2.12)月曜から夜ふかし
創業103年目の浅草のおでんの名店「大多福」の大きな鍋のおでんの汁の底には何が?という企画。創業時からの汁は関東大震災と東京大空襲で店が2度焼失してるため、今の汁は戦後からの継ぎ足し。それでも70数年。SASUKEどころかもつ焼きのタレよりさらに古い。「70年前のおでんネタの残りカスが?」と煽り、やはりポンプで抜いていくと底から現れたのは原型を留めた高野豆腐と車麩!
これは!?と思われたが、店主いわく「今日の残り」、なぜなら「毎日濾してますんで」というオチ。
「なんで先に言ってくれないの?」と笑うスタッフに「最初に聞いてないじゃないですか」と笑って答える店主。
マツコも随時「くだっだらねえ(笑)」「よくやってくれたよ本当に(笑)」と楽しんでおり、オチといい尺といい、ちょうどいいパロディ。
番外編 もふもふモフモフ(2018.2.3)
動物の可愛らしい動画を紹介するNHKの番組内で、投稿動画に無理やりタイトルとAチームの曲をつけたごく短いパロディ。
「畑の土ぜんぶ掘る大作戦」→飼い犬が土を掘って畑から里芋発掘。
「粉の袋ぜんぶ開ける大作戦」→インコが器用にインスタントのポタージュスープの袋をクチバシで切って開ける。
「家の水ぜんぶ飲む大作戦」→ホースで放水される水に飼い犬が口を開けて飲みながら突入する。
今回どのパロディも「特攻野郎Aチーム」の曲とタイトル・テロップの字体は共通して使用していた。
最もこだわったパロディをしていたのはやはり水曜日のダウンタウン。金も時間も労力もしっかり費やしたことで「何か出てきてほしい!」というパロディ以上のオチを求めてしまったほど。
全て観て思ったのは、どのパロディ(もふもふ除く)もタイトルから出落ち臭が漂いつつも、その「底」に何があるのか?何が潜んでいるのか?と、本家と同じ興味で見せてしまうパワーがあるということ。
どのパロディも結局特別なモノは出てこないのだが、それでも出てくる「かも!」という期待感は本家と変わることなく、逆を言えば、それほど本家の作り出したこの企画が人の興味を強く引く作りだということ。
そんな本家の月一レギュラー放送は4月22日からスタート。
ちなみにAVでもパロディものが発売されるようで、その名も「女の雌汁(みず)ぜんぶ抜く」
サンプル動画によると「私の身体に危険な外来種がいないか、私の体液をぜんぶ抜いて確かめたい」とのこと。くだらねえ!
(柿田太郎)