第1話の視聴率は10.6%と上々の滑り出しだったが、先週放送された第2話はガクッと下がって6.1%。いきなり視聴率も崖っぷち感がある。岩田剛典ファンは楽しみにしていたと思うのだが、渡辺いっけいが異様に目立つドラマだったことも影響しているのだろうか?

名門ホテルの最大の財産
番宣などでは「コメディー」であることが強調されてきたが、第2話はフルスウィングで人情話をやってきた。
ダメダメな名門ホテル「ホテル グランデ インヴルサ(ポルトガル語で“大逆転”という意味)」の総支配人・桜井佐那(戸田恵梨香)は、ホテルにやってきた謎の男――実は一流ホテル「バリストンホテル東京」の副支配人・宇海直哉(岩田剛典)に「一緒に働いてください」と要望。その頼みをあっさり引き受けた宇海は、一流ホテルの副支配人の座を捨てて「グランデ インヴルサ」の副支配人に就任する。これが第1話のラスト。
ホテルの“大逆転”に意欲を燃やす宇海がアバンタイトルで「いやー、楽しみですね。なにせこのホテルの名前は」と言ったところでメインタイトルに移るのだが、そこで『崖っぷちホテル!』だと意味が通らなくない? 「大逆転ホテル!」ならまだわかるのだけれど……。
第2話では宇海がいきなり副支配人の時貞(渡辺いっけい)と料理長の江口(中村倫也)を降格させる。2人はもちろん不平ブーブーだ。
宇海はホテル全館の改修工事を進めるとともに、ホテルマンたちに「このホテルの宝物」「歴史であり財産」である顧客名簿に目を通すようお願いする。顧客名簿にはそれぞれの顧客に関する申し送りや感想など、さまざまなデータが記されていた。
ケーキを見て泣く女子高生
顧客名簿を見ていたパティシエのハル(浜辺美波)は、かつて好評だったケーキを復活させる企画を思いつく。宇海はそれを「ケーキフェア」へと発展させ、これまでのホテルの顧客に招待状を送ることにする。
ハルが再現したのは「オリージェン」というケーキ。ポルトガル語で「原点」という意味だ。ケーキフェアは好評を博すが、気弱なダメベルマンのピエール田中(チャド・マレーン)が思いつめた表情で「オリージェン」を注文する女子高生の存在に気づく。しかし、ケーキを落として踏むという『月曜ドラマランド』でもなかなか見なかったドジっぷりで彼女にケーキを出すことができない。翌日は彼なりに気を使ってちゃんとケーキを用意しておくが、今度は彼女が泣き出して食べられなかった。
宇海は彼女に「明日は絶対笑顔で」と宣言。佐那とピエールにはこれを「ホテルマンの醍醐味」と表現する。
「今日悲しんでいた方を明日はどうしたら笑顔にできるのか。それを考えさせてもらえるんですから」
宇海たちは顧客名簿とお礼状の山の中から、彼女のプロフィールを発見する。彼女の名前は但馬茜(吉川愛)。10年前、このホテルで誕生祝いと小学校入学のお祝いをしたのだが、その半年後、両親を事故で亡くしていた。
宇海のはからいで、茜の誕生祝いと高校入学祝いをするホテルマンたち。
ホテルマンにとって最高のサービスとは?
第1話では、このホテルに思い出を持つ老婦人(松原智恵子)が、ホテルマンに「おかえりなさい」と言われたことをとても喜んでいた。しかし、それを言った時貞は彼女のことをまったく覚えていなかった。
ホテルマンにとって最高のサービスとは、客の「顔と名前を覚えること」だという。これは名門ホテル・ホテルニューオータニで“伝説のドアマン”と呼ばれたドアサービス副支配人・吉川和宏さんがインタビューで語った言葉だ(d labo 2015年5月11日)。吉川さんは顧客の顔と名前を2000人以上覚えていたという。
「ホテル グランデ インヴルサ」のスタッフたちは茜のことを覚えていなかったが、彼女の過去を知ることで、彼女の人生に寄り添ったサービスを提供することができた。それがホテルマンにとって最高のサービスということだ。
コテコテの人情話だった第2話はなかなかの出来。無理してコメディーをやろうとするよりも、こっちのほうが日本のドラマには合っているのかもしれない。今夜放送の第3話からは川栄李奈が新レギュラーとして加わるとのこと。はたして今回はコメディーか? 人情話か? 夜10時30分から。
(大山くまお)
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