画像出典：Amazon.co.jp「セイン・カミュのなぜ英語が苦手なの？」
所属事務所と揉めて表舞台から姿を消す芸能人は数多い。
近年では、能年玲奈(のん)さんや細川茂樹さんなどが代表だろうか。
元SMAPの3人も、テレビでの取り扱いが非常にデリケートなのは素人目に見ても明らかだ。
事務所独立と同時に露出が激減することが多い芸能界において、そのタイミングが最悪だったタレントというと、セイン・カミュさんを思い出さずにはいられない。90年代末から00年代前半にかけての外国人タレントのエース格だったセインさん。端正なルックスながら親しみやすいキャラクター、流暢な日本語とあって、連日バラエティに引っ張りだこ。05年夏には「好きな外国人タレントナンバーワン」(『日経エンタテインメント！』調べ)にも輝き、イクメンキャラも確立し始めた矢先、急にテレビ露出が激減してしまったのである……。
「ラララむじんくん♪」のCMで大量露出！ 宇宙人キャラで話題に
96年、セインさんはアコムの自動契約機「むじんくん」のCMでプチ・ブレイク。
コミカルな宇宙人トリオが繰り広げるコント仕立てになっており、セインさんはその中でセンター担当。
当時は消費者金融のCM全盛期で、大量ヘビロテ中。多彩なバリエーションが作られたこのCMは話題を集め、時代を代表する人気シリーズとなっている。
「じゃあ地球寄ってく？」「いいねぇ～！」「ラララむじんくん ラララむじんくん ララララ♪」の一連の流れを覚えている方は多いのでは？
また、このCMから「せんだみつおゲーム」がブームになったことを一緒に思い出す方も多いかもしれない。
大人気格闘ゲームの人気キャラクターがCMデビュー作!?
では、93年のCMデビュー作で、ゲームファンにおなじみのあのキャラクターを演じていたことはご存知だろうか？
大人気だった格闘ゲーム『ストリートファイター2』シリーズの人気キャラ「バルログ」だ。正確に言えば、セガのメガドライブ用ソフト『 ストリートファイター2 ダッシュプラス』のCM。
リリースラッシュが続いた『スト2』シリーズの1本であり、主流だったスーパーファミコン版に比べればマイナーなメガドライブ版でもミリオンセールスを記録したことからも、その人気ぶりが伺えるだろう。
バルログは白い仮面を被った悪役キャラ。
その仮面の下は美形設定であり、CMではセインさんが端正なルックスを活かして素顔部分を担当していた。
天然ボケのボビーを支える名ツッコミでブレイク
大ブレイクしたのはTBS系『さんまのSUPERからくりTV』で間違いないだろう。
日本テレビ系『ザ！鉄腕！DASH!!』が「DASH村」企画で国民的人気番組となる以前、日曜夜7時のバラエティといったらこの番組だった。
セインさんは、外国人の珍回答や珍発言をイジるコーナーを数々担当していたが、中でも「セインのファニエスト外語学院・日本語学科」がバカウケ。強烈なボケを繰り広げるボビー・オロゴンさんとアドゴニー・ロロさんにツッコむ「猛獣使い」のようなポジションでお茶の間の人気者となった。
この頃には、『笑っていいとも！』『THE夜もヒッパレ』『世界ふしぎ発見！』などの人気バラエティやクイズ番組の常連であり、特番への出演率もかなり高め。02年春にはNHKの連続テレビ小説『さくら』にまで出演し、露出のピークを迎えたように思う。
テレビ東京系『お金のソムリエ』なる番組にも出演していたが、その「お金」をめぐってのトラブルが一大転機になってしまうのだから皮肉な話だ……。
「好きな外国人タレントナンバーワン」に輝いたころにはすでに干されていた!?
04年末、セインさんは当時所属していた事務所と出演料などを巡って対立。翌05年春には、『さんまのSUPERからくりTV』やフジテレビ系『もしもツアーズ』などのレギュラーを降板し、事務所を移籍。徐々に表舞台からフェードアウトしてしまう。
そう、前述の「好きな外国人タレントナンバーワン」に輝いたのは、すでにいわゆる「干された」時期に当たる。世間の期待とは裏腹に、セインさんの露出は極端に控えめになっていくのであった。
ちなみに、この事務所ではボビーさんもトラブルを起こしている。06年1月の事務所乱入＆暴行事件だ。
マネージャーが前年10月から、ボビーさんのテレビやイベント出演を「断った」としながら実際には出演させ、ギャラを個人事務所に振り込ませたという。その総額は2,000万円とも。それを社内で協議している中にボビーさんが乗り込み、事務所で大暴れし、4人がケガを負ったとされる事件である。
そこまで事が大きくなった原因は、事務所のギャラ大量搾取にあったと言われている。
セインさんの場合、自身の著書の印税が貰えないことが事務所と対立した大きな原因と断言されたことからも、この疑惑は限りなくクロのように思えるが、真相は果たして……？
結局、両者ともに和解＆事務所独立の道をたどったが、一時期の露出激減が世間に「過去の人」イメージを植え付けた感は否めない。
近年、セインさんをたまにテレビで見かけることもあるが、ブログとYouTubeチャンネルの更新は止まったまま。Twitterでは今年4月、約1年5カ月ぶりにTwitterでつぶやきをしている。どうやら六本木のYouTube Space Tokyoで撮影を行ったようだが、2018年5月現在で動画の更新はされていない。
もう表舞台に帰って来ることはないのだろうか……。
（バーグマン田形）
