
英ヘンリー王子とメーガン・マークルさんの結婚式に沸いたイギリス。会場となったウィンザー城周辺には10万人を超える人々が訪れ、二人の新しい門出を祝った。
ウィンザーの最寄り駅が新郎新婦の名前に
結婚式が行われた19日、筆者は朝4時過ぎの始発でロンドン郊外にあるウィンザーに入った。早朝だったにもかかわらず、ウィンザー城の最寄りであるウィンザー・アンド・イートン・セントラル駅が近づくにつれて、車内は日本の通勤ラッシュ時のような混雑に。乗客の服装は、ユニオンジャックの赤と青を基調とした服が多く、車内は混み合っているものの、皆とても楽しそうだ。

お祝いムードは最寄り駅からすでに始まった。まず最寄り駅の「ウィンザー・アンド・イートン・セントラル(Windsor & Eton Central) 」という駅名が、新郎新婦の名前を文字って「ハリー・アンド・メーガン・セントラル(Harry & Meghan Central)」に。各所に国旗と二人の肖像画が飾られ、これから始まる1日を祝福した。

警備のために警察官もイギリス各地から大量に動員された。英メディアによれば、その数は3万人。ウィンザーの人口が約3万人であるため、町の人口とほぼ同数の警察官が今回の警備に当たった。パレードを見るために訪れた10万人と合わせれば、町の約4倍以上の人が、この日に訪れたことになる。

ただし、イギリス国民の大部分がロイヤルウェディングに興味があるわけではない。英調査会社ユーガブによれば、7割の人がヘンリー王子とマークルさんの挙式に興味がないと答えている。
KFCがロイヤルウェディング限定バーレルを販売
イギリス各地では、ヘンリー王子とマークルさんの結婚を記念したグッズが、一部ブランドなどで売られた。多くは二人の写真やイラストが描かれたマグカップや皿、クッキー缶など。中でも興味深いのが英KFCが結婚式当日のみ販売したロイヤルウェディング専用バーレルに入ったチキンだ。KFCはアメリカの企業であり、フライドチキンとブラックカルチャーは関係が深い。

ロイヤルウェディング仕様のバーレルは限定50個。ウィンザー市内にある1店舗のみでの販売された。中身に入るチキンは普段と同じものだ。ウィンザー中心部から少し離れた住宅街にある同KFCには、11時の開店前から熱心なKFCファンが列を作った。
店頭でチキンが入るのは紙製バーレルだが、陶器製バーレルもある。陶器製のものはKFCのアプリをダウンロードしている人に向けて25個が抽選となった。
まるで親戚が結婚するような親しみやすさ
次男であるヘンリー王子は、優等生のイメージが強い長男ウィリアム王子と異なり、自由で愛嬌あるイメージとして捉えられている。それはヘンリー王子の今まで歩んで来た人生が影響している。

ヘンリー王子は12歳のときに母であるダイアナ元妃の死を経験。
一方で、幼い頃には母を失ったことに長年苦しみ、カウンセリングを受けていたことを告白。軍務を終えた後は慈善活動に積極的に取り組むなど、人間味ある姿がイギリス国民の間で人気を呼んでいる。

英ユーガブが今年5月に行った調査によれば、ヘンリー王子は兄のウィリアム王子を抑え、エリザベス女王に次いで二番目に人気が高い。王室という遠い存在であるにもかかわらず、完璧でない部分が人々にヘンリー王子を身近に感じさせ、どこか親戚の結婚式を見ているような親しみも覚える。
ヘンリー王子とマークルさんを乗せた馬車は、何時間も前から集まった人々の前をすぐに通り抜けて行ったが、人々のヘンリーに向けられた眼差しと温かい雰囲気は、パレードが終わった後もウィンザーにいつまでもあふれていた。
(加藤亨延)